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前編第終章 再会する三人 5(パトリック視点)

コンラン、ローカン、リアムの力で魔獣キャンベルを打倒することができた。切られた魔獣の身体部分はあっちこっちに落ちているが本体の絶命と共に霧になって消えていった。魔獣は倒しても他の生き物のようにその死体は残るはず。僕たちは目の前の現象に戸惑い、リアムの同僚、キリアンは前に聞いた話を基に自分の推測を語った。


「師範から聞いたことがありますが、この世には確かに魔法や呪い、そういった妖術使いは存在する。彼らは何かを媒介にその術を放つ。倒し方は極めて単純、術者を真っ先に倒す。そうすれば術が消えるのだと、そう聞きました」

「つまりキャンベルは何かの術で自分の身体を変化したというのか?」

「ええ。自分の身体を媒介に魔獣に変化する術。術者がそのまま術になったので、本体を倒したことで術で具現化した魔獣の身体が消えたと思います。あそこを見てください。キャンベルの人間の身体だけが残っています」


キリアンが指した場所には確かにキャンベルと思わしき身体が転んでいた。思わしきというのは頭の部分が離れていたからだ。そしてその場所にある建物の屋根の上にはキャンベルの首を落とした三人の剣士が立っていた。

三人とも、最初の不意打ちで身体はボロボロだった。特にリアムはお腹が刺されていた。動くのもつらいはずなのに、魔獣を倒すために無茶をした。せざるをえなかった。我々では力不足だからだ。悔しいと思った。その間にエームル達も安全が確保できたからこちらに来ていた。


「パトリック様...ご無事で、よかったです」

「...ありがとう。とにかくこれで災難は去った。皆、後片付けを頼む。そしてあそこにいる三人の手当てを...!」


全部が終わって後片づけしようとしたら、向こうにいる三人が動いた。それは、三人の戦いを再開しようとしていた。なんで?などと考える暇もなくすぐに騎士たちに彼らを止めろと指示を出した。今度は三人とも疲れていて、騎士団の力でなら止められるはず。そう思った。

騎士たちが彼らの場所にたどり着く前に決着が早速についていた。三人とも疲れていてその中でもすぐに動けるのがローカンだった。近くにいるコンランを最初に狙い、コンランは斬撃を防ぐことはできたが力がもう残っていないのかそのまま体ごと飛ばされた。そしてコンランはその下にある流水に落ちた。


「コンラン!!」

「待ってクイーン公女!おい、三人ほど彼女について行け!さっき落ちた人を外に流される前に救い上げろ!」

「はっ!」


クイーン公女と三人の騎士はコンランが落ちた方向に向かって残ってる人たちはそのままローカンとリアムのいる所に向かった。だがそれもすぐに終わった。コンランを飛ばした後に隙ができたローカンにリアムが攻撃したが、腹が痛いからか、一瞬だけ動きが鈍くなってローカンはそれを見逃さずにリアムの攻撃を受け流して蹴りでリアムは建物の下に落とした。落とされたリアムは本当に力が尽きたか立ち上がることもできなかった。それを見届けた後、ローカンはどこかへ行ってしまった。


「くっ。まずはリアムの手当てを急ごう。確か腹が瓦礫に刺されたんだ。至急に治療を!」

「もう行かせました。しかしなんであいつらこんな喧嘩を...?女の奪い合いか?」

「いや、女の奪い合いじゃ...!!!イーアン・ケインは...?イーアン・ケインはどこだ!?」

「え…彼なら住民避難を任せた若い騎士に頼んだんですが...まさか!?」


キリアンは何かを察してすぐに後輩の若い騎士に訪ねて、どうやらイーアン・ケインはどさくさに紛れて逃げて行ったようだ。すぐにキリアンと僕は、そしてロシェーン嬢も後ろからついてイーアン・ケインを探した。

そう遠くは行けなかったと思った。近くで悲鳴が聞こえてその場所に行くとやはりイーアン・ケインはいた。そして、剣を握っているローカンも一緒にいた。どうやらイーアンは何とかローカンに、弟に説いてみていたのだった。


「待ってローカン!どうしてだ!?俺は、ずっとお前を探していた...やっと帰ってくれたのになぜこんなことに...!?」

「......」

「か、カロル伯爵のことか...!?彼はロシェーンを自由にするつもりは微塵もなかった!あまつさえお前を危険な場所に連れ込んで...彼こそお前を殺す気じゃなかったのか!?お前は...こんなに優しい子なのに...あんな過酷な戦場に...ロシェーンとの関係も、自分を倒すのが条件など...あの化け物を倒せるわけないだろうにっ...!だから...!!」

「だから...殺したのか?」

「だってしょうがないじゃないか!?俺はただ...お前とロシェーンと...昔のように三人でずっと一緒にいたかったんだ!お前はきっと戻ってくる...そう信じてロシェーンをお前の代わりに守ってきたんだ...!なあローカン...もういいだろう。俺たちの所に戻ってくれ。ロシェーンはずっとお前を待っていた。彼女を苦しみから救えるのはお前しかいないんだ」

「だったら、なぜキャンベルの下で人身売買をする必要があった?」

「それは...父さんから、キャンベル侯爵の支援をもらえるためにやらなきゃならないんだと言った。俺たちは小さな子爵の家だ。キャンベル侯爵の支援をなくせば貴族でいられない。犯罪なのは分かっている!でも貴族でいなきゃお前はロシェーンと結ばれない...だから、多少の平民を犠牲にしても...王国にとっても損害にならないはずだ...」

「そうか...分かった」

「分かってくれたのか!?嬉しいぞ、ローカン!」

「ああ。お互い悪い人に変わってしまったな。兄さん」


ローカンの言葉に対して喜びになったイーアンは次の瞬間にその表情が絶望に変わった。ローカンは一切の容赦もなく彼を斬ったからだ。


「いやああああああああ!!!!」


遅れてきたロシェーン嬢と数人の騎士はその結末も見ていた。ロシェーン嬢はすぐにイーアンのそばに行って彼を抱いた。多量の出血で死に際にあるイーアンはただローカンに問うた。


「なぜ...だ...?俺、は...ただ、三人で...」

「他人を犠牲にしないと一緒にいられないなら、俺たちは一緒にいるべきではないかもしれない。ただ、それだけだ」


ローカンはその問いに冷酷に答えた。

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