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前編第三章 騎士の剣 6(エームル視点)

久しぶりです。長い間更新できなくて申し訳ありません。パソコンが壊れてなかなか修理に出す時間を作れなかった。前の話も変えたのでやっぱり少し流れ的にまだエームルに正体を知られていないようにしたいんで、改めてよろしくお願いします。

数日後、わたしとパトリック様は街に視察しに出かけていた。大道を歩き色々な人と話すリアムとのお出かけと違って、移動は馬車で話す相手は重要人物だけ。業務が目的だからと頭には解るけど、どうしても街に出たらリアムと過ごした時間が思い出してしまう。それが顔に出てたのかパトリック様がわたしを注意した。




「エームル。今ここに僕しかいなうから良いが、目的地に着いたら気を引き締めてくれ。そんな顔で訪ねたら相手に失礼に当たる」


「申し訳ありませんパトリック様。気を付けます」




今回の目的は下町に存在する教会。貧しいのところでありながら来るものを拒まず受け入れ多くの身よりない子供を預けている。中には没落した貴族の子供もいる。そして、あのクイーン公爵令嬢が育った場所。


そして間もなく馬車が止まって扉が開いた。パトリック様が先に降りてそしてわたしに手を差し伸べエスコートしてくれた。降りるとわたし達を出迎えたのは物腰が低くて、優しいそうなおじいさんみたいな神父でした。挨拶をそこそこにして、神父様の案内にわたし達は教会を見て回った。お世辞にも綺麗な場所ではなかったのですが、あそこに引き取られた子供たちが若干痩せ気味だが活気があって優しい子ばかりだった。神父様の指導の下、最低限の教育も届いているようだ。そして、何よりも彼ら彼女らはショーナお姉ちゃん、クイーン公爵令嬢をとても慕っていた。ことあるごとに彼女の事を子供たちから聞かれたのだが、それを神父様が止めた。




「はいはい。皆さんそこまで。王子様たちはわざわざ来てくださったのですから迷惑をかけないように」


「だってせっかくショーナ姉ちゃんの話を聞けるのに。コンランはケチで話してくれないし」




文句を言いながらも子供たちは解散した。ここがクイーン公爵令嬢が育った環境かとわたしは感心した。壁に穴が開いているような住宅、みすぼらしい格好、痩せた体、それでいてみんなは笑顔でいられる。




「ここはとても良い場所なのですね。クイーン公爵令嬢がそんな堂々たる姿勢がどこからきたのか少しわかった気がします」


「そう言ってくださると嬉しゅうございます。こんな場所で育ってしまったから少々気も荒いかもしれませんが」


「いいえ。とても芯が強いお方です」


「ここは帰る場所を失い行く宛てもない子供たちの拠り所だと理解した。中には貴族の末裔もいる。ぜひこれからは支援させていただきたい」


「ありがとうございます。しかし、失礼ながらそれは遠慮させてくださいませ」


「え、なぜだ?」


「もし私たちが王族から支援をいただくことになりましたら、格差がついてしまいますから。我々は同じ環境でいるからこそ助け合うことができたんです。もし教会(うち)だけ王族からの支援という格差を受ければ我々は下町のみんなと助け合うことができなくなります。それは、わたくしの本位ではありません」




断れるとは思わなかった戸惑い、その理由を神父様が説明してくれた。同じ環境で助け合う。それはお互い利用しあう貴族社会にはいない理論だった。




「ですが、殿下たちの気持ちにはすごく嬉しいと思っています。どうかその気持ちを国民全体にも向けてくださいませ」




戸惑ったわたしたちを神父様が笑顔でフォローしてくれてそして引き続き案内してくださった。一通り教会を回って子供たちの生活や祈りや教会の助けまたは教会を助けに来る人々も見れた。本当い助け合うことをこの目で見えた。


そして、出発時間になりわたし達は馬車が待っているところに行くと、そこには馬車の護衛をしていた近衛騎士たちが倒れていた。




「これは一体…?」


「あそこに誰かがいます」




倒れた近衛騎士たちの横に男が一人立っていた。その男は細い体していたがどこか危ない雰囲気を感じた。手に剣を持っているのを見るには近衛騎士たちを倒したのはこの男で間違いない。そう確信して怯え始めたわたしは、パトリック様が前に出た。それはわたしを守るように見えた。




「貴様は何者だ!?」


「これはこれは王子殿下。失礼ながら私は名乗るほどの人物ではないので」


「何をしているのですか?フィン」


「言ってそばからそれはないでしょう神父さん」


「お知合いですか?」


「彼もまた下町の人間です。それで?どういうことか説明してもらえますか?」


「いやね。この人たちがちょっとナメたことしたのでちょっとこりしめただけですよ」


「任務中の騎士を害するのは立派な犯罪だ。しかるべき場所に連行してもらう」


「へえ、それはあなた自身の手で、ですか?」


「その必要があらば…」


「ありません。下がってください。王子殿下」




パトリック様が自分の剣を抜こうとその時に別の方向から声がした。彼は中央街の騎士の鎧をしていた。兜で顔は見えないがその声は聞き覚えがある。とても久しい声だ。




「派手にやりましたね。フィンさん」


「恥ずかしいところ見られたな…巡回ご苦労さん。リアム君」


「できれば大人しくついてきてほしい」




リアムがそういった後にその男、フィンがちらっとこちらに見た。




「…いやだね」


「フィンさん…」


「お前もいつまでいい子のふりをするつもりだ。考えなおしだ。さっき何者かって聞きましたよね?王子様。元中央騎士団所属、アレックス隊の副隊長のフィンです。以後お見知りおきを。そして、よくも我らが隊長をコケにしてくれたな貴族ども。おかげで元隊員のおれたちもこのザマだ」


「“騎士の剣”の元隊員…」


「おれ等はな、お前たちがどんな駆け引きしても別に構わねえよ。でも、そのおかげで守りたいものも守れずになりゃさすがに頭にきたんだよ。なあ王子様、少しばっかり八つ当たりになってくれないか」




敵意をさらけ出しながらフィンはわたし達の方に向かったがリアムは瞬時に先回りしてわたし達とフィンの間に立った。




「背後から切りかかればよかったのに」


「俺が素通りした時にそのままを切ることもできたはずだ」




そう、お互いの甘さ、あるいはそれぞれが持つルールを確認しあったやり取りをした後二人は動き出した。瞬きはしていた。その瞬きの間にも二人の剣は無数にぶつかり合った。騎士団の剣技は主に両手剣で力で押すカロル流と違って片手剣で疾く鋭く敵を切り裂く剣技である。そんな剣技を用いる二人の剣士がぶつかった時、彼らの動きを見とらえる者はただわずかでしょう。それこそ、武を極める者しかない。だからわたしは瞬きするのを忘れるほど彼らの動きを見ることができなかった。隣のパトリック様もどうやら必死で二人の動きを見ようとしていたが、表情から見るにあまり追いつけなかったようだ。




「なるほどなるほど。確かに腕を上げたね。しかし、」


「...ちっ」


「動きが素直すぎ...!?」




攻防の末、フィンはリアムの剣を弾き飛ばし、そのまま自分の剣をリアムに突き刺さろうとしたが、リアムは剣を飛ばされても突進をやめなかった。これにはフィンも驚いたらしくその勢いのままでリアムはフィンを素手で押し倒し、自分の体重をかけるように彼の上に乗っかり上に弾かれた自分の剣をキャッチしてフィンに向けた。



「あまり手ごたえがなかったと思ったらそういうことか。参ったな」


「最初からあんたを切り捨てるつもりなどないからな。あんたまた昼から呑んでただろう。本気を出さない相手に自分も本気を出す必要があるまい」


「言うねえ。ていうかやっぱりばれてたんだ」




リアムはフィンを乗ったまま騎士団の拘束道具で彼を押さえました。そこにいつの間にか立て直した近衛騎士たちが二人に近づいた。




「ご苦労だった。この人は我々の方で連行する。王族が使用している馬車を襲ったんだ。王宮の牢にぶち込む」


「...わかった」




リアムは立ち上がり、そしてわたし達に頭を下げた後に去ろうとした。その時に、パトリック様がリアムを止めた。




「待ってくれ!君に聞きたいことがある。君の名前はリアムで間違いないな?」


「はっ。左様です」


「まずは、助けてくれて感謝する。君がいなければ僕と僕の婚約者も無事じゃなかったかもしれない」


「勿体ないお言葉。騎士として自分の責務を全うしたにすぎません」


「それで、聞きたいことについてだが、君はローカン・ケインを知っているか?」


「はっ。かのケイン子爵の行方不明の弟君。我々中央騎士団も探索に尽力をー」


「いや、そうではない。個人的に彼を知っているかと聞きたいんだ」


「...失礼ながら、質問の意図を聞いても?」


「うむ。そのローカン・ケインの恋人、カロル令嬢であるロシェーン・カロルがローカンに騎士リアムと会うように言われたらしい」


そういわれたとき少しだけ、リアムが動揺した気がした。そして最初に小さな声で何かを言った気もしたけど、すぐにリアムはパトリック様の意図を了承した。



「あいつが...分かりました。自分もぜひカロル令嬢に合わせていただければ」


「ああ。僕も同行する。カロル家の事件には興味がある」


「承知しました。ご同行するのは王子殿下だけでよろしいですか?」


「それは...」


わたしはリアムと話す機会だと思って咄嗟に言った。


「殿下、わたしも同行の許可をお願いします。ロシェーンはわたしの侍女であり友です。少しでも彼女の力になりたいと思います」


「...わかった。聞いての通りだ。リアム」


「御意に。では自分からも当日のお願いがあります。ケイン子爵は必ず待ち合わせに連れてこないでほしいとできればこのことも彼に内緒にしてほしい」


「それはなぜだ?」


「今は理由を言えません。しかし、それができなければ、おそらく自分はローカンが自分にカロル令嬢に伝えてほしいことを伝えられないことになります」


「当日では、その理由がわかるということか...承知した。そのようにしよう」


「ありがとうございます。では、失礼いたします」




リアムは挨拶した後すぐに去りました。わたしの顔をリアムは気づかなかったでしょうか。確かに忍びに出たときと違ってヘアセットも化粧もしていなかったから、そのせいなのでしょうか。それでよかったはずなのにどこかで寂しいとも感じていた。リアムに関するだけわたしは我儘になれるらしい。


リアムが去っていく方向の途中でフィンが彼に声をかけた。




「リアム君や。少しいいかね」


「任務中なんで、本当に少しだけですよ」


「真面目だね~。いや本当に立派になったよ...それなのにな...父親が不当に扱われて母親が追い詰められたこの国に君は何を守るために剣をふるっているんだ?」


「...愚問ですな。騎士は国のため、そしてその国に暮らしている人々を守るために剣を振るう。相手が誰であろうとも。そうだろう。フィンさん」


「なるほど...確かに愚問だった。だけど、聞けて良かったよ。じゃ達者でな」


「ああ。フィンさんこそ、牢の中で腐らないでくださいよ。じゃまた」




こうして本日の街視察がおわった。

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