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前編第三章 騎士の剣 7(エームル視点)

遅れた分を取り戻したい気持ちもありますので、とりあえず切りのいいところまで達したら上げることにしました。

数日後、今度はわたし達は貴族街に出かけていた。今日は視察ではなく、リアムとの密会の約束の日であるためとあるカフェに向かっていた。表向きはわたしとパトリック様の親交を深めるためのお出かけですが、そのカフェでは先にリアム、そしてクイーン公女がすでに待っている。クイーン公女はリアムの案内役として今回の密会に参加している。貴族の中で公にリアムと関係を持っていると知られているのは彼女だけだから。


少しでも逢引に見えるようにわたし達は外で待ち合わせをすることにした。もちろん、二人のお出かけといっても王族とその関係者が一人に行かせることはなくわたしは従者としてロシェーンを連れていた。これも口実であった。待ち合わせ場所でパトリック様が馬車と供に迎えにくる予定。わたしは平然であったが本命はロシェーンをリアムに会わせることだからロシェーンの方がとても緊張していた。




「まだ時間もありますし、気分転向で少し散歩に行きませんか?」


「いいんですか?」


「わたしも、建前とは言え、パトリック様との逢引することになりましたから少し緊張してしまいした」


「...ありがとうございます。エームル様」




待ち合わせの場所を離れすぎないようにわたし達はゆっくりと貴族街の街道を歩いていた。その途中で困った子供を見つけてどうやらペットの猫を探していた。その子供を手伝おうと、手分けした探すとロシェーンに提案した。最初は反対されたが、周りに近衛騎士がいるので心配ないと説得して三人で探しに行くことになった。ただ、待ち合わせ場所から2ブロック以上離れない範囲で、一通り回って元居た場所に集合で誰も見つけなかったら近衛騎士団に任せることが条件。


早速わたしは自分の担当の場所を探し回った。運よくすぐに子供からペットの特徴とあった猫を見つけたが、その子は木の上を上っていた。どう拾うか悩んでいると横から男の人が現れた。戸惑ったわたしを無視するように男の人は木の上にいる猫とにらめっこしているかのようにずっとその猫と目を合わせていた。すると、突然彼は腕を広げ、そしてその猫が木の上から彼の腕の中に飛び降りた。




「よし。よくぞ俺を信じて飛び降りてくれた。勇敢な子だ」




そう男が言い、猫の背中を撫でていた。それをうれしく思うように猫は鳴き体を丸めていた。よくよく見ると、男は黒い服を着ていて首には紅く長いスカーフを巻いていた。どう見ても貴族の方ではない。そう認識すると警戒したくなるが、彼の猫の扱いを見るとどうにも危険人物として見れなかった。彼が顔をこちらに向くとぎょっとした。彼の頬には大きな傷跡があった。




「見苦しいものを見せてすまん。こちらを」


「い、いいえ。わたしの方こそ初対面で失礼しました。この子を助けていただきありがとうございます」




男は無言で頷きそのまま何も言わずに去った。わたしは不思議な感じを抱いたまま集合場所に戻り猫を子供に返した。うれしそうな子供を見送った後にわたしの異変を感じたのかロシェーンは様子を聞いてきたがその前にパトリック様が馬車と供にきたので保留となってとりあえず出発した。


そして例のカフェに着き、わたし達はVIPルームに案内してもらった。入ったら案の定、リアムとクイーン公女は先に待っていた。当日は非番と聞いていたが王族に会うためか騎士団の鎧を着ていてただ兜を外したの姿だった。わたし達を気づき、二人は王族大しての礼をしてくれた。




「良い。楽にしてくれ」


「「はっ」」


「では、まずは紹介しよう。こちらがカロル伯爵の令嬢、ロシェーン嬢である」


「は。初めまして」


「お初お目にかかります。ロシェーン嬢。自分はリアムと申します。どうかお見知り置きを」


「相変わらず違和感はすごいわね」


「ショーナ様、殿下の御前で勘弁してください」


「最初に会った時の印象の方が強かったからね。私にだったら素でいいって言ったのに」


「そうはいけません。お決まりですから。それに...」


「ハイハイ。私が成功したらの楽しみという約束でしょ。わかってるわよ。ほんと真面目なんだから」




初対面の二人は挨拶を済ませ、それを見たクイーン公女がリアムとじゃれあう。仮面なしで親しく会話する二人を見てやっぱり胸が痛んだ。その気持ちはだれにも気づかれることなく話は本題に進んだ。わたしとパトリック様とクイーン公女は席に座りロシェーンとリアムは立ったままに。




「ではどこから話しましょうか...」


「そうだな...」


「あの...よろしければ最初から話してくれませんか?」


「最初からですか?」


「はい。私はローカンと幼いころからお付き合いしていたのですが、一度もリアムさんと会ったことも名前を聞いたこともありません。お二人はどこでお知合いになられたのですか?」


「そうね。”あいつ”も絡んでるんでしょう。なのに私も今まであんたとあのローカン・ケインという坊っちゃんを知らなかった」


「”あいつ”?」


「おそらくショーナ嬢の下町で暮らしていた時の友達のことです。そうですな...まあ今まであったことも話しをきいていなかったのは納得できます。自分たちは昔、一回しか会ったことがありませんから」


「は?」


「一回、ですか...?それなのに...」


「ええ。その一回の出会いで自分たちはそれぞれの命をお互い預かって一緒に戦っていた」


「一緒に戦っていた?それは一体いつの話なのよ?」


「約10年前です」




その言葉を聞いてわたしを含めて皆さんが言葉を失い程驚いていた。10年前と言ったらケイン子爵の弟君はまだ10歳ぐらいのはず。リアムも話によると同年代のはず。つまりは三人は子供でありながら何かと戦っていた。そしてリアムは順に自分とローカン・ケイン、そしてクイーン公女の幼馴染との出会いを語ってくれました。


曰く、三人は偶然にも中央街で最初は泣き虫貴族坊やのローカン・ケインと意地悪な性格のクイーン公女の幼馴染とは合わないと感じていたがそこで三人はある事件を巻き込まれてしまった。




「正確には自分たちは馬鹿にも自ら首を突っ込んでいきました」




リアムによると三人はただ目撃しただけ。女の子が攫われた現場を。本来は騎士団に報告するべきところを三人とも人攫いの犯人たちを自分で止めようとした。もちろん子供が大人に敵うはずもなく三人とも酷く傷つけられていた。そんな絶体絶命の状況から助けたのが当時のカロル伯爵の当主クレーグ・カロルとリアムの父親”騎士の剣”アレックスが助けてくれたようだ。




「三人がかりでも女の子一人を助けられなかった。そんな悔しさを二度と味わいたくないと三人とも同じ気持ちだった。もっと強くなる。そう誓いあって...俺は父アレックスに、ローカンはカロル伯爵に、コンランは旅の剣士に本格的に剣を学ぶことになりました。それから、お互いに二度と会うことがなかったとしてもどこかでお互いの動向を気にかけていた」


「あの時にそんな出来事が...なんでいつも肝心なところを話してくれないんだよバカコンラン...」


「ローカンのあの時の傷が...そんな...」




クイーン公女とロシェーンがそれぞれリアムの話に出ていた幼馴染と恋人を想って悔しがり顔を青ざめた。わたしは、リアムとは幼いからの知り合いではないのでわからなかったがもしその時、傷づいたリアムを見て経緯が何も知られていなかったら二人と同じ思いになると思う。


二人の代わりに、今度はパトリック様がリアムに質問した。




「君とローカン・ケインの関係が分かった。ただ、ますます不思議に思った。ただそれだけの関係でなぜ彼は恋人を君に託したんだ?」


「託したなどそんな大した話ではありません。ローカンはわかっていたと思います。自分がこの事件を探ることを」


「では、君はこの事件の真相がわかっているというのか?」


「確証はありませんが...その前に王子殿下。お願いがあります」


「なんだ?」


「ロシェーン嬢を座らせてください」


「な、なにを...私はへいっ」


「お願いします」




そうしないと続きを話さないといわんばかりにリアムは頑固に頭を下げて続けていた。そう感じたパトリック様もロシェーンをわたしの隣に座るように勧めた。それを確かめた後リアムは決心したように目を閉じて深い息をとった後にその事実を話した。




「おそらくカロル伯爵を毒殺したのはローカンの兄、イーアン・ケイン子爵です」




それを聞いた瞬間、ロシェーンを座らせたことを本当に正解だと思った。

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