③ 三人目の役目
「そんなわけないでしょ!」
「狐様を呼んだのは、そっちだよ?」
「これは占いなの!」
「狐様に聞く占いでしょ?」
「だからって、本当に狐が来るわけ――」
赤毛の少女は、途中で口を閉じた。
木箱の上に狐の絵がある。
銅貨は、三人の指が離れた場所で止まっている。
倉庫が急に静かになった。
外を通る荷車の音が、やけに遠く聞こえる。
金髪の少女が赤毛の袖を掴んだ。
「帰ってもらわないと」
「誰に?」
「狐様に決まってるでしょ!」
「本当に来てるんだ」
「あんた、少し黙って!」
ノラは銅貨を見た。
「でも、おかしいね」
「何がよ」
「私が動かしたって、どうしてすぐ分かったの?」
「私達は動かしてないから」
「赤毛さんは、自分が動かしてないことしか分からないよね。金髪さんが動かしたかもしれない」
「この子はそんなことしない!」
金髪の少女も頷く。
「私だって、この子を疑わない」
「じゃあ、最初から二人で答えを決めてる」
二人が黙った。
「自分達の欲しい答えが出れば狐様。違う答えが出たら三人目のせい」
ノラは指を一本立てる。
「だから一人ではできない」
二本目を立てる。
「二人でも駄目」
三本目。
「三人目に、疑っても困らない人を呼ぶ」
「違う!」
二人の声が、また揃った。
「でも、私のこと知らないよね?」
「……知らない」
「なのに連れてきた」
「三人必要だったから」
「うん。狐様じゃなくて、濡れ衣を着せる相手が」
赤毛の少女が木箱を叩いた。
銅貨が小さく跳ねる。
三人とも、それを見た。
「今のは赤毛さん」
「分かってるわよ!」




