↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/28

② 狐の答え

三人は木箱を囲んだ。


銅貨の上へ、それぞれ人差し指を置く。


「力を入れないで」


「絶対に動かさないで」


「目も開けないで」


注文が多い。


ノラは言われたとおり目を閉じた。


見えなくなっても、耳は塞がれていない。


赤毛の少女が、低い声で呼びかける。


「狐様、狐様。おいでください」


金髪の少女も続けた。


「いらっしゃいましたら、『はい』へお進みください」


指先の下で、銅貨が震えた。


ゆっくりと動き出す。


ノラは指を置いたまま、その動きについていった。


やがて止まる。


「来た」


赤毛の少女が息を呑んだ。


「目、開けないでよ」


「閉じてる」


「じゃあ聞くね」


赤毛の少女は一度、咳払いをした。


「同じ組のレオンは、私のことが好きですか?」


銅貨が動いた。


さっきより速い。


右へ滑り、少し迷うように揺れ、止まった。


沈黙が落ちる。


「……違う」


赤毛の少女の声が低くなった。


「何が?」


ノラは目を閉じたまま尋ねる。


「何でもない!」


今度は金髪の少女が身を乗り出した。


「狐様。食堂で働いているニールは、私を将来のお嫁さんにしたいと思っていますか?」


ノラは心の中で首を傾げた。


ずいぶん具体的だ。


銅貨が再び動く。


円の中を横切り、ある文字の上で止まったらしい。


金髪の少女が声を上げた。


「友達!?」


答えを読み上げてくれたので、目を閉じていても分かった。


「友達なんだ」


「黙ってて!」


「質問したのはそっちなのに」


二人が何やら小声で相談している。


ノラには、ところどころ聞こえた。


おかしい。


そんなはずはない。


もう一度。


今度こそ。


「狐様」


赤毛の少女が尋ねる。


「レオンには、ほかに好きな人がいますか?」


銅貨が動いた。


止まった瞬間、二人が叫んだ。


「あんたでしょ!」


ノラは目を開けた。


少女達が、揃ってこちらを睨んでいる。


「何が?」


「動かしたの!」


「私じゃないよ」


「嘘!」


「私達は動かしてないもの!」


「私も動かしてない」


「じゃあ、誰が動かしたのよ!」


ノラは紙の中央に描かれた狐を見た。


「狐様?」


二人の顔色が変わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。