12/28
① あと一人
「見つけた」
路地を歩いていたノラは、突然、腕を掴まれた。
見習い魔術師らしい少女が二人。
同じ学院の外套を着ている。
片方は赤毛で、もう片方は金髪だった。
「何を?」
「三人目」
「人を数で呼ばないで」
二人は聞いていなかった。
そのまま、ノラを空き倉庫へ引っ張っていく。
倉庫の中には、古い木箱をひっくり返した台が置かれていた。
上には一枚の紙。
大きな円の中に、文字と数字、東西南北、それから「はい」と「いいえ」が並んでいる。
中央には、狐の横顔が描かれていた。
紙の端に、小さな銅貨が置いてある。
「狐呼びの占い?」
ノラが尋ねると、赤毛の少女が頷いた。
「一人ではできない」
金髪の少女が続ける。
「二人でも駄目」
「どうして?」
「決まりだから」
「誰が決めたの?」
「昔から!」
質問を打ち切るように、赤毛の少女が銅貨を指差した。
「三人で指を置くの」
「目を閉じて」
「狐の精霊を呼ぶ」
「帰ってもいい?」
「駄目」
二人の声が見事に重なった。
ノラは扉を振り返る。
相棒は、別の通りへ買い物に行っている。
戻ってくるまでには時間があった。
「見るだけなら」
「見るんじゃない。参加するの」
「人数だから」
「やっぱり数で呼んでる」
二人は再び聞かなかった。




