表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
11/12

「ワイド」パーティ

 紹介所の職員がグレンに言った。


「あんたのところは、ディフェンダーはハワードとグプタの二人がいただろう」


 すると、グレンは答えた。


「自慢のディフェンダーだ。ただな、グプタが年で引退したがっていてな。グプタに、技を引き継いでやるから元気な奴を探してこいと言われている。


 変な癖もなくて、力がある奴という条件付きでな。


 トリフェインと言ったな。お前の故郷はどこだ」


「ソン区地方だ」


「そりゃ遠いな。そのプレートアーマーを持って、ソン区地方から来たのか?」


 トリフェインは胸を張った。


「そうだ。このアーマーとシールドには、故郷の想いが込められている。大切なものだからな」


 グレンは笑いながら言った。


「合格だよ。体力もありそうだ。主人、こいつを『ワイド』パーティへ登録してくれ」


 グレンは組んでいた足を解き、トリフェインに向かい合った。


「俺のパーティは、厳しいぜ。グプタの特訓に耐えられるかな」


 それが、「ワイド」パーティとの出会いだった。


 「ワイド」パーティは、全部で八人だった。


 ディフェンダー二人、アーチャー二人、アタッカー三人、ヒーラー一人。


 そのヒーラーがグレンだ。


 ディフェンダーの技術は、グプタから叩き込まれた。


 本当に容赦のない、実践的な指導だった。


 指導は厳しかったが、その技術はほれぼれするものだった。


 特に、「いなし」の技術は一級品だった。


 相手はトリフェインを崩したと思った瞬間、別の場所へ動かされている。


 訓練でトリフェインがグプタに体当たりを何度も連続でいなされたときは、驚きしかなかった。


 トリフェインは、プレートアーマーとシールドに誓って、必死にグプタに食らいつき、技を覚えていった。


 対魔戦闘とは、魔獣系、魔人系、死体系、粘体系などと呼ばれる魔物を相手にすることである。


 「ワイド」パーティは、魔獣系の魔物退治を専門としたパーティだった。


 対魔戦闘において、魔獣系は一番需要があった。


 場合によっては毛皮などの副産物もあるので、収入もよかった。


 魔獣の行動原理は、熊や狼などと変わらない。


 姿は、単に獣が大きくなったものから、首が二本あったり、鱗があったりと、でたらめではある。


 戦闘になったら、ディフェンダーは先頭に立ち、相手の勢いを殺すことが役目だ。


 勢いをつけてくるものや、飛び回ってくるものを抑える能力が求められる。


 何度も、何度も、トリフェインは実戦を行った。


 グプタから教わった動きの反復練習を、欠かしたことはない。


 一年経ったとき、グプタは引退した。


 トリフェインはアタッカーの経験がなかったので、アタッカーの動きを先読みして動くことが苦手だった。


 もう一人のディフェンダーであるハワードからは、「遅い」と何度も檄を飛ばされていた。


 情報屋から、トリフェインの故郷であるソン区地方に、頭を二つ持つ巨大な双蛇が出たという情報があった。


 トリフェインは、修行してきたのはこんな時のためだと思った。


 トリフェインは言った。


「私個人から、『ワイド』パーティに依頼を出したい。双蛇退治だ」


 グレンは尋ねた。


「双蛇は強いぞ。大丈夫か」


 トリフェインは答えた。


「私は双蛇と戦ったことはない。だが、このパーティならやれる」


 パーティのメンバーから笑い声がした。


 グレンが言った。


「違う、違う。双蛇の強さに見合う成功報酬が、今までお前の貯めた金で足りるのか心配でな。大丈夫かと聞いたわけさ」


 トリフェインは慌てた。


「いくら……いくらかかるのだ?」


 また笑い声がして、グレンも笑みを浮かべながら言った。


「さて、さて、いくらにするかなあ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ