ジェイムスさんとの再会
宿屋の隣の旦那様の家のベルを鳴らす。
ガチャっとドアが開き、中から男性が出てくる。ジェイムスさんだ。
「あれ?ロゼッタ?」
やだ!格好いい。心臓がドキドキする。どうしよう、上手く喋れない。
「久しぶりだね。どうしたの?中に入る?」
どうしよう…私に笑いかけてくれてる。素敵すぎる…
「あの、私、旦那様に言われつ…」
やだ!噛んじゃった。
「父が何?」
「あの…。ジェイムスさんが…子どもの頃に着てた服を取りに行くように言われて…」
「僕の服を?持っていってどうするの?誰か着るの」
「あの…。私が着ます」
「ええ?君が?何で?」
私は緊張で、噛みながらジェイムスさんに理由を話した。ジェイムスさんの顔は険しくなる。
「やめた方がいい。いくら勇者達と一緒と言っても魔物が増えてる森なんて危険だ。騎士団だって立ち入り禁止の区域だろ?」
「ええ…でも…王命で…」
「そうだったね。仕方ないんだね。でも君も行きたくないだろ?」
「…ええ…でも王命が…」
「ロゼッタ…君が純潔でなくなれば行かなくてすむんじゃない?純潔ってどういう意味だろうね。もし、皆が思うような意味だとしたら?」
そう言ってジェイムスさんは私に近づいて来た。近い!
「ロゼッタ、僕が協力するよ。帰る度に君が綺麗になるから、誰かいい奴でもできたのか、いつも気が気でなかった…ずっと、こうして2人きりで話したかったんだ」
ジェイムスさんの腕が私を包む。ジェイムスさんの匂いがする。ジェイムスさんの温もりが伝わる。私もジェイムスさんの腰に手を回そうとしたその時…
「遅いと思ったら、男といちゃついてたのかよ」
「勇者様!」
勇者は私の首根っこをつかみ、ジェイムスさんから引き離す。
「おい、この女は俺のもんだ!体に触るんじゃねえ!お前もお前だ、粉撒いてんじゃねえよ!」
「勇者様、聞いて頂きたい事があります。…ロゼッタは純潔の乙女ではありません」
ジェイムスさんが勇者に言う。
「はあ?何言ってんだ」
「ロゼッタと私は恋人です。昨夜、体の関係も結びました」
え?ジェイムス様!そんな生々しい嘘を!恋人だなんて!私は恥ずかしくて顔が真っ赤になる。
「へえ~体の関係をねえ」
「ですから純潔の乙女とは呼べないと思います」
やめて!純潔、純潔言われ過ぎると恥ずかしくなる!
「こいつ、お前に抱きしめられてから、ずうっと顔が真っ赤だぜ?どうみても生娘の反応だろ?森に行かせたくないからって適当な事言うんじゃねえよ。まあ、男を知ってようが知らなかろうが、一角獣が来りゃ何でもいいしな」
そう言うと、勇者はジェイムスさんに剣を向けた。
「早くこいつの服を用意しな。俺に逆らうという事は国王様に逆らうという事だ。切られても文句は言えねえぞ」
何なの?この人?本当に勇者なの?魔王の間違いじゃないの?
ジェイムスさんは、勇者に脅されるまま、私達を納屋に案内する。
「これと、これでいいんじゃねえか?」
納屋にある箱からジェイムスさんの少年時代の服を勇者が勝手に選び、私に渡してくる。
「もう用事はすんだから、お前は向こうに行っていいぜ」
勇者が剣をジェイムスさんに向けて追い払う仕草をする。
「あ、お前はここで着替えろ。俺は外にいるから、着替えたら出てこい」
私は言われるがままに納屋に残る。ジェイムスさんが着ていた服…ジェイムスさんの家の匂いがする。ジェイムスさん、どんな子どもだったんだろう?昔から格好良かったんだろうな、きっと。
「おい!まだか!?」
外で勇者の声がした。
「もう少しです!」
私は急いでスカートとブラウスを脱いだ。その時だ。
「え!!勇者様!?」
勇者が突然、納屋に入って来た。
「なんだ、まだ着替えてたのか。遅えから逃げたかと思って慌てたぜ。サイズでも合わなかったのか?」
「ちょっと!今着替えてるんで出ていって下さい!」
私は慌てて手で胸を隠し、その場にしゃがみこんだが、勇者には下着姿がバッチリ見られていた。
「お前、結構胸でかいんだな」
「お願いします。向こうに行って下さい!」
「女の裸なんか見慣れてるから気にしなくていいぜ」
「そういう問題じゃありません!」
何とか勇者を追い出し、すぐに着替える。
最悪だ…あんな男に下着姿見られるなんて…
私の気分はどんどん落ち込む。せめてジェイムスさんだったら良かったのに…




