王命
翌日、出勤するなり、旦那様に連れられて、勇者達が朝食をとる部屋に案内された。そして聞かされたのは、一角獣捕獲で勇者に協力するよう私に王命があったという事だ。勇者以外、その事を初めて聞かされたようで、聖女が勇者に食って掛かっていた。
「あなた正気?この子を巻き込むなんて!?」
「その女連れてりゃ、また一角獣が来る可能性高いだろ?国王様がどうしても見たいという事なんだ。捕まえなきゃな」
「国王様に一角獣の事、報告したの!?どうして勝手に報告するの!」
「国王様に報告は当然の義務だろ?善きに計らえという返事だから、そうさせてもらうさ」
「あなたの魂胆はわかってるわよ。一角獣手みやげに、王様に取り入りたいんでしょ。お姫様の病気が治るなら国王様も反対はしないでしょうしね」
「嫌だねえ聖女様は。どうして穿った見方しかできないんだろ」
「俺も反対だ。来るかどうかもわからない一角獣を探すより、魔物の討伐の方が先だろ」
聖騎士も勇者に意見した。
「討伐しないとは言ってないだろ。この女を連れて討伐して、そこに一角獣が来たらラッキーなだけじゃん。」
「訓練も受けてない人間を森に連れていくなんかどうかしている。彼女に何かあったらどうするんだ」
「国王様の命令は絶対だろ?反対するなら俺はパーティー抜けるぜ。国王様には追い出されましたって報告すればいいだけだしな。ただ、俺の力がないとお前達、今頃死んでたろうけどな」
そう言うと勇者はテザートの果物を食べ始めていた。
「そんなにその女を連れて行きたくないなら、聖騎士と僧侶、お前らが女装でもするか?お前ら神に仕えてるから純潔なんだろ?僧侶なんか女みてえな顔してんだし、女装似合うんじゃねえの?それか、聖女様が代わりになるか?それはそもそも無理だろ?」
聖女は怒りで震えてるし、聖騎士と僧侶の顔は強ばっていて、場の空気は最悪だ。この勇者の食べている果物に毒でも入っていればいいのに。
その後、私は勇者に動きやすい服に着替えてくるよう言われたけど、家に戻って来ると時間がかかるので、旦那様から隣の自宅裏の納屋にジェイムスさんの少年時代の服がまだあるから、それを着ればいいと言われた。ジェイムスさんが家にいるから聞けばいいって言うけど、こんな状況で会いたくない。
私は複雑な気持ちで旦那様の自宅へ向かったのだった。




