純潔の乙女
白い馬のような動物は、私を乗せて森入って行く。魔物が増えたはずの森だというのに、不思議と辺りは明るく感じ、魔物がいそうにもない。動物が動きを止める。見ると、綺麗な泉が沸いていた。私は動物の背中から降りる。
「綺麗な泉ね」
動物は泉の側まで歩いて行き、水を飲みだす。私も泉の近くまで行き、しゃがんで水をすくい、口元へ運ぶ。その時、物音がして振り向く。
「泉の女神なのか?」
見ると聖騎士が惚けた顔をしてこちらを見ている。私の事を女神と勘違いしているらしい。他にも勇者、僧侶、聖女が来ていた。いつの間にか、魔物退治をする勇者達の近くまで来ていたのだろうか?
「あそこ見て!一角獣だわ」
聖女が白い動物を指指して叫ぶ。その瞬間、勇者が持っていた剣を一角獣と呼ばれた動物に投げつけた。剣は避けられ、地面に突き刺さる。勇者は一角獣に向かい走りだし、飛びかかっている。
「何してる!やめろ!」
聖騎士が勇者に向かって叫ぶ。
「こいつを捕まえて、国王様の土産にするんだ。お前らも手伝えよ!」
勇者に飛びかかられた一角獣は激しく暴れている。
「やめなさい!一角獣は聖獣なのよ!危害を加えたら災いが起きるって言われてるのよ!」
聖女が勇者に向かって叫ぶ。
「お前らバカか!連れて帰るだけだろ?怪我させなきゃいいんだよ!早く手伝えよ!おい僧侶!こいつに唱法かけろ!おい、早く…ああ!」
一角獣は勇者を振り落とし森の奥に走って行ってしまった。
「くそ!お前らが早く手伝えば捕まえられたのに」
勇者は地面に尻もちをついた姿勢のまま、悔しそうに言う。そして、顔を上げた瞬間、私と目があった。
「ん?お前は…確か宿屋にいたよな?」
※※※※
「つまり、一角獣があなたをここまで運んできたんですね」
僧侶が言う。その横で勇者が私を見て言う。
「てことは、あんた純潔なんだな。一角獣は
純潔の乙女に懐くって言うもんな。可愛い顔してるし、体も悪くないのに純潔なんて信じられねえな」
何なの?この勇者。ホント感じ悪い。魔物に殺られちゃえばいいのに。
「純潔の意味の捉え方は様々で、心の清らかさとも言われています。それにしても、一角獣に会えるなんて信じられません。とりあえず、彼女を安全な場所まで送りましょう。」
僧侶が提案する。とりあえず、勇者の側にはいたくない。私は聖女の近くにそっと近づく。すると、
「ロゼッタ、安心して。私もあの勇者大嫌いだから」
聖女が私だけに聞こえるよう囁いてくれ、私は少し元気が出たのだった。




