勇者が恋人
「勇者、ロゼッタが目を覚ました」
一角獣の声がする。え?私どうしてた?
起き上がると、勇者の部屋のベッドだった。
「ロゼッタ、勇者と口づけして、そのままベッドに倒れてた」
「口づけで倒れるなんて、お前本当に初で可愛いな。俺はもう朝ご飯食べてきた。お前の分ももらってきたから、食べたら支度して出発するぞ」
勇者が笑いながら私にサンドイッチの包みを渡してくる。
朝食食べて帰ってくるくらいの時間、気を失ってたのね。私は起き上がり、包みを受け取る。
ん?あれ?あそこの椅子に掛けてるの、私が着てたルームワンピースだけど…私、着替えしたっけ?
「ロゼッタが起きないから、勇者がロゼッタの服、着替えさせていた」
一角獣が言う。え?勇者が着替え?え?胸当てもしてるけど、これも勇者が?…裸見て触ったってことよね!?私は、声を出して抗議しようとしたけど、声が出ない。どうして!?もうやだ。恥ずかしすぎる。
声が出なけれ、直接行動しかない。私は拳を握り、勇者に向かって殴りかかる気で飛びかかったんだけど…なぜか体がぐらついてしまったのを勇者に抱き止められた。
「おっと!どうした?急に飛び付いて来て。びっくりするだろ。食べないのか?俺とこうしていたい気持ちも分かるけど、準備だけはしてくれ、な。」
目を合わせて、私の髪を撫でながら、勇者が優しく声かけしてくれる。何なのこの甘さ!?勇者って恋人になるとこんな感じなの?何だかこっちが恥ずかしい!
私は調子が外れてしまう。ふと、目線を一角獣に向けた。動物なので表情はわからない。ん?まって?私は嫌な直感がわく。もしかして、あの一角獣が私に何かしたのでは?
(あなたでしょ!)
私は心の中で一角獣に問い詰める。一角獣はプイッと顔を横に向ける。
絶対そうだ…
「せっかくだからテラスで食べようぜ」
勇者は、ひょいと私を抱き上げて、テラスのイスに運んでくれる。
そして、お茶を入れたり、手拭きを用意してたりと甲斐甲斐しく世話をしてくれた。
※※※※※※※
勇者が、私を一角獣の背中に乗せ、自分も乗った後、草紐で私達の腰を結びつける。
勇者が私の顔が見えないと心配になると言い、勇者と向かい合わせになるように乗せられた。
「俺にしっかり捕まるんだぞ」
そう言って、勇者は、私の腕を取り、自分の腰に回させる。
「一角獣、こちらは大丈夫だ」
私が大丈夫でない。今日も勇者とずっと抱き合って移動なんて恥ずかしい。
でも、嫌ではなくなっている自分にも気づく。なんでなの…
「では行くぞ」
そう言うと、一角獣は走りだした。




