現れた勇者
ジェイムスさんはどこ?私は急に消えたジェイムスさんを目で探す。いた!廊下の隅に仰向けで寝転がっている。
「ジェイムスさん!大丈夫です…」
私がジェイムスさんに駆け寄ろうとした瞬間、勇者が私の腕を掴む。
「アイツは気絶しているだけだ。ほっとけばいい」
え?勇者、上半身裸?髪も濡れてない?下は?下は、はいてるの?私はびっくりして勇者の下半身を見る。
「ちょっと…あなた…何なの?その格好…」
勇者の下半身は、腰にバスタオルを巻いただけだった。
「俺の事はどうでもいい!大体、お前もお前だ。明日森へ行くって夜に、男引きずり込んじゃねえよ」
そういうと、勇者は私を肩に担いでどこかへ連れて行く。
「嫌!下ろして」
半裸の男に担がれるなんて嫌!背中も汗なのか水分なのかわからないけど、じっとりしているし…私の抵抗もむなしく、しばらくすると、どこかの部屋に連れて来られ、大きなベッドの上に下ろされた。
この部屋って、最上階の一番大きくていい部屋…確か勇者の部屋になっていたはず…
それに…
「…何で?」
ベッドの上には、いなくなった一角獣がくつろいでいた。
「一角獣が、お前の部屋に男が来たって俺に知らせに来たんだ」
…それでいなかったんだ。でも何で勇者に言いに行ったんだろう?
「お前が心配だ。明日の事もあるし、今日はここで寝ろ。」
「そんなの無理です」
「俺が、部屋にいるから大丈夫だ」
「そういう問題じゃありません!」
「ロゼッタ、俺はこの部屋気に入った。ベッドも広いから俺も寝られる。俺が隣で寝るから安心だ」
一角獣が私を見つめて言う。さらに
「ロゼッタ、もう寝たい。一緒に寝よう。勇者が部屋を守ってくれるし安心だろ?君が一緒にここで寝てくれないなら、俺は悲しくて明日行けないかもしれない」
とも言ってきた。
何なの?この一角獣…私をどうしたいのよ。
「先に休んでくれていいぜ。俺は風呂に入っている途中だったから、また入り直してくる」
勇者はそう言うと、浴室に向かって歩いて行く。
勇者が浴室に入るのを見届けて、一角獣が私に話しかける。
「あの勇者、ロゼッタの部屋に男が訪ねて来たって伝えたら、慌てて風呂からでてきた。その時の顔が面白かった」
「…何で勇者に言いに行くのよ」
「ロゼッタ、君が困っていたからだ。勇者に言ったのは、その方が面白いからだ」
「面白いって何も面白くないわよ」
「俺から見たら面白い」
何なの本当に…でも一晩の辛抱だ。私は一角獣に背中を向ける。
確かに、大勢の人に会うと疲れる。何だか瞼が重たい。
私は気がつくと眠りについていた。




