花の献上
「勇者よくやった!」
あれからすぐに王城に行き、摘んできた花を万病の薬と伝え、国王に献上した。花は、一角獣の姿を見たことからすぐに信用された。
「国王様、この一角獣と純潔の乙女も仲間に加わることになりました。必ずや魔物を根本から退治して参ります」
って勇者は力強く国王に宣言していた。
私、純潔の乙女って名前じゃないんですけど…
※※※※※※※
「ロゼッタ!大丈夫?心配したわ。怪我はなかったのね」
宿に戻ると、聖女が私に抱きついてきた。
聖女は背が高いので、聖女の胸が私の顔に来て、私は聖女の胸に埋もれて息がしにくい。
「せ、聖女様…苦しい」
「あっ、ごめんね」
聖女はハッとして私を胸から離す。
「一角獣によると、魔物隔離の核となる場所が北の森の奥にあるらしい。俺は明日、一角獣とロゼッタと共に行ってくる」
「しかし、北の森は魔物が一番増えている場所だろ。彼女が危険すぎないか?それにどうして俺達は行かなくていいんだ?」
聖騎士が不思議そうに勇者に聞く。
「一角獣に乗って行った方が早い。背中には2人しか乗れないし、一角獣がロゼッタに懐いているからな」
明日の出発に備え、私は宿の空室に泊まる事になった。なぜか一角獣も一緒だ。私は一角獣とペア扱いなんだろうか。
「ロゼッタ、疲れたな」
部屋に入ると一角獣が話しかけてくる。
「あなたは、私達を乗せて走ったから相当疲れたでしょ。無理させてごめんなさいね」
「それは大丈夫だ。久しぶりに大勢の人間と会ったから疲れた」
「それより、あなた床で寝るの?ベッドが良かったら、私ソファに行くわよ」
「大丈夫どこでも寝れる。…ロゼッタ、誰かこの部屋に来る」
一角獣がそう言うと、ドアをノックする音がする。
「どちら様?」
ドア越しに私は聞く。
「ロゼッタ、僕だよ。ジェイムスだ」
「え?ジェイムスさん!?どうしたんです?」
「開けてくれないか?どうしても話がしたいことがあるんだ」
「でも…もう遅いですし、明日じゃいけません?」
「明日には君は旅立つんだろ?お願いだ少しでいいんだ」
どうしよう。ジェイムスさんに抱きしめられた事を思い出す。ジェイムスさんにまた抱きしめられたらどうしよう?どうしようって嫌なの?私はジェイムスさんとどうなりたかったの?わからない。でも今言えるのは、今は明日の事で頭が一杯でジェイムスさんどころでないから、正直困ってしまうという事。
私は振り返り、一角獣を見る。一角獣は部屋の隅に足を折り曲げて横になっている。一角獣が部屋にいるから安心かもしれない。私はそう思い、ルームワンピースの上に一枚上着を羽織ってルームワンピースが隠れるように着てから、ドアを少しだけ開けた。開けた瞬間ジェイムスさんは、ドアをおもいっきり開き、すぐにドアの内側に入り込んできた。
「ロゼッタ、ずっと会いたかった。勇者にどこか触られてない?あの勇者、箝口令がひかれてるから君は知らないだろうけど、毎晩色んな女性を部屋に呼んでる奴なんだ。だから君が勇者と帰って来ないって聞いてすごく心配したよ」
「ジェイムスさん、心配してくれてありがとうございます。もう遅いですし。私もこれから寝るので。また話しましょ」
「ロゼッタ」
ジェイムスさんが私の手首を掴む。
「ジェイムスさん、帰って…」
「僕は後悔してるんだ。もっと早くに勇気を出して、君に気持ちを伝えれば良かったなって」
私は後退りする。そうだ、一角獣は?一角獣に助けを…
そう思って後ろを振り返ると、一角獣がいない。窓が開いている。窓から逃げた?何で?明日の森行きはどうなるの?
ジェイムスさんが掴んだ私の手を引き寄せる。引き寄せられた私の体をジェイムスさんがきつく抱きしめた。
「ロゼッタ、好きだ。行かないでほしい」
「てめえ何してんだ!」
勇者の声がしたかと思うと、ジェイムスさんの姿が私の目の前から消えた。




