光の先
声のする方に目を向けると、そこには、美しい、若い男がいた。体全体から発光しているような不思議な体。魔物でもなく人間でもなさそうな不思議な存在。
「神様なの?」
「神様?あはは。久しぶりに言われたよ。君たち人間は僕の事をいつもそう言うよね。君たち、もしかして人間達の言う生け贄?まだそんな儀式してるの?」
生け贄?その言葉にドキっとする。あの祭壇、もしかして何かの儀式の場所だったとか?
「俺達は、一角獣を追っていたらここに迷い込んだんだ」
「一角獣?ああそうか。あの子、可愛い人間の女の子が好きだから、昔からすぐ人間世界に行きたがるんだよね」
「あの、ここはどこなの?」
「ここは君たちとは違う次元だよ。次元同士が重なる場所に隙間ができてるんだ。ずいぶん昔から僕らは行き来して遊んでたんだよ。僕らの姿を見た人間達がどう勘違いしたのか、そこに建物作って僕らの事を神様って名前つけて踊ったり生け贄捧げたりしててね。最近は僕も行けてないから分からないけど」
「私達帰れるの?」
「僕が次元の隙間に送ってあげるよ。僕も最近、隙間の方に行ってないからついでに行きたいしね」
その瞬間、私達の体が勝手に動き、また上るのか下りるのか分からない感覚になる。お互いの体の感覚だけが唯一感じる感覚だ。私達は離れないよう、再び強くお互い抱き合った。
※※※※※
私を抱く勇者の足が、地面に着地したようだ。私はゆっくりと目を開ける。祭壇があった場所に戻ってきているようだ。
「わあ~、久しぶりに来た。ずいぶん変わってる。ここに、僕の姿を絵にして飾ってくれてたのにそれもなくなってる」
別次元の美しい男は、辺りを見回しながら入り口まで歩いていく。そして、建物の外を見て驚いたように叫んだ。
「えー!今こんなになってんだ!この草花、こっちの世界のなのに…隙間が広がってきたのかな」
「隙間が広がるとどうなるの?」
「侵食されるよね。君たちの世界の方が。僕の次元の方が強いから、君たちの世界は縮小するよ」
「俺達の世界が縮小するとどうなるんだ?やがて消えたりとかするのか?」
「そうなるね。でも僕が直しとくよ」
「直せるの?」
「隙間には君たちのいうとこの蝶番みたいなものがあって、そこをすんだよ。完全に隙間を閉じてもいいんだけど、僕らの世界には人間世界が好きな奴らが多いから僕一人の意見で勝手な事は出来ないけどね」
「勝手なお願いだが、一角獣に会えないか?俺達はお姫さまの病気を治す為に一角獣を探していたんだ。俺達の世界の言い伝えには、一角獣が病気を治す力があるとされてる。頼む、このとおりだ」
勇者が頭を下げた事に驚く。この人、人の為に頭下げられるんだ…
美しい男は勇者をじっと見ている。
「それはお願いかな?」
「ああ、お願いだ。頼む」
美しい男は目を伏せる。やがて、こらえきれずにフフフと笑いだす。
「あはははは。ごめんね。人間からのお願いなんて久しぶりすぎて笑えるんだ。あははは。懐かしいや。すっかり忘れてたよ。そうか、お願いか。あははは。そうそう、人間ってすぐお願いしてくるんだった。本当に久しぶりだよ。確か、人間達はお願いする時、いつも対価を出してたよ」
「対価?お金なら国王に掛け合う」
「そうだなあ、いつも何くれてたっけ?ああそうだ。若くて美しい女性を嫁にって捧げるパターンも多かったな。君が抱いてるその子くれるならいいよ」
え?私?




