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それゆけ、孫堅クン! 改 ~ちょい悪オヤジの三国志改変譚~  作者: 青雲あゆむ
第3章 中華分裂編

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幕間: 呂布クンは最強になりたかった

 俺の名は呂布 奉先。

 并州出身の益荒男ますらおだ。


 若い頃から弓馬に優れ、古今無双の強者と噂された。

 やがてそれを聞きつけた并州刺史の丁原さまから、仕官の誘いを受ける。

 丁原さまもまた無類の強さを誇るお方で、俺は素直に仕えることにした。


 しかしその仕事は、主簿として机に向かう日々だ。

 こう見えて俺は、書類仕事もできるんだが、どうにも物足りない。

 それに強いと思ってた丁原さまも、案外大したことがなかった。

 これはまあ、俺が強すぎるのかもしれないがな。


 そんなある日、丁原さまが洛陽に招請された。

 なにやら大将軍 何進さまからのお呼び出しだとか。

 それで俺もついていったんだが、状況がコロコロ変わって参った。


 まず俺たちを呼び出した何進さまが、宦官に暗殺された。

 おまけに天子さまが都を抜け出して、それを保護した董卓という男が、朝廷で大きな顔をしているんだとか。

 俺には関係ないと思ってたんだが、ある日、その董卓に呼び出された。


「ほう、お前が呂布か。なかなか頼もしい面構えをしているな」

「は、はあ……」


 そう親しげに話しかけられたんだが、俺はひどく緊張した。

 董卓はゆったりしているようで隙がなく、猛獣のような威圧感を発していたからだ。

 しかしそれでも、しばらく話していると、少しは打ち解ける。

 で、ちょっと気を抜いた途端に、凄いことを言われた。


「呂布よ、俺のところに来ないか? 聞けばお前、丁原の下で主簿をやってるそうじゃねえか」

「え、ええ、そうですが」

「そんなのはお前に似合わねえよ。お前はもっと戦いを好む男だろ? 俺の下でなら、いくらでも戦わせてやるぜ」

「いえ、お誘いは嬉しいのですが、その話は遠慮させてもらいます。何より、丁原さまには恩がありますから」

「ほう、見かけによらず、義理堅いんだな。ますます気に入った。ここで結論を出さないで、じっくりと考えてみてくれよ」

「は、いや、その……少し考えてみます」


 本当は断りたかったが、董卓の迫力に負けて考えると言ってしまった。

 その後、どうやって断ろうかと頭を捻っていると、いきなり丁原さまから呼び出される。


「呂布! 貴様、董卓に寝返るつもりか! この恩知らずめっ!」

「え、いえ、どうやって断ろうか、考えて――」

「やはり董卓と会っていたのか! おのれ、この裏切り者!」

「いや、ちょっと待ってください。うわっ!」


 頭に血が上った丁原さまが、いきなり斬りつけてきた。

 俺は必死になだめようとしたものの、聞く耳を持たない。

 そうしてしばし揉み合ってるうちに。


「ぐはあっ!」

「て、丁原さま? 丁原さま~!」


 無意識に反撃したら、それが致命傷になってしまった。

 俺はしばし途方に暮れたが、やがて董卓を頼ることを思いつく。

 すぐに彼の家に走り、面会を求めると、すぐに通してくれた。


「おい、呂布。こんな時間にどうした?」

「は、はい、それが――」


 事情を話すと、彼は即座に手を打ち、丁原の手勢を吸収してしまった。

 それも丁原に謀反の疑いがあったため、俺が勅命で彼を討ったという筋書きで。

 気がつけば俺は并州兵の取りまとめ役で、董卓の側近ということになっていた。

 それどころか彼は、俺を養子にしてくれたほどだ。


「これからは親子の仲だ。よろしく頼むぜ」

「はい、命を懸けてお守りします」


 こうして俺は、相国閣下の護衛として、居場所を得たのだ。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 しかし董卓さまの政権運営は、容易ではなかった。


「閣下、関東士人に遠慮しすぎではないですか?」

「そうは言うがな、連中抜きでは物事が進まんのだ。なに、適当におだてておいて、実権はこっちで握っておけばよい」

「そうは言いますが、奴らは好きなように人事をいじっています。これでは実権など――」

「やかましいっ! それぐらい儂でも分かっておるわ。ちゃんと要所は押さえてあるから、お前は護衛に徹しろ」

「……は、失礼いたしました」


 ちょっと諫言したら、酒の器を投げつけられた。

 しかも護衛に徹しろとは、それが息子に言う言葉か。

 なんだかんだ言って董卓は、洛陽での贅沢な生活に慣れ、ふぬけになりつつある。

 最初に会った時のようなあの凄みが、感じられないのだ。

 これでは先が思いやられるわ。



 案の定、その後も状況は悪化し続けた。

 とうとう各地の要人が蜂起して、反董卓連合を組織される始末だ。

 3方に敵を抱えた親父はうろたえ、長安への遷都を口にするほどだ。

 しかしある男が、その潮目を変えた。


「ありがとうな、孫堅。お前のおかげで、本当に救われたぜ」

「それほど大したことはしてませんよ。それに俺たちは、戦友じゃないですか」

「ああ、そうだな。一緒に戦った仲間だ。俺もお前のためなら、なんでもしてやるぜ」


 長沙太守の孫堅が援軍に駆けつけ、敵の包囲網を崩したのだ。

 その後もヤツは奔走し、連合を崩壊させたばかりか、関東士人との関係も改善してみせた。

 親父はその働きにいたく感激し、下にも置かない歓待ぶりだ。


「ゴホン……閣下にはお立場というものがあります。そのように気安く接するのは、示しがつかないかと」

「かてえこと言うなよ、呂布りょふ。この部屋には俺たちしかいないんだ」

「いえ、それでもです」


 あまりに親しげにするので諫言したが、董卓は不満そうにするだけだ。

 それが当然のようにしている孫堅にも、無性に腹が立った。

 この男は危険だ。



 そんな鬱屈した思いを見透かされたのか、王允おういんという男が近づいてきた。

 彼は司徒を務めるほど有能な男であり、俺と同じ并州士人でもあった。

 故郷を同じくする仲ということで付き合いはじめたが、ある日、とんでもない話を持ちかけられる。


「閣下を暗殺するだと?!」

「しっ、声が大きいですぞ。董卓が実権を握ってから、この洛陽は乱れるばかり。最近も豪族に言いがかりをつけ、財産を没収しているではありませんか」

「いや、あれは豪族どもが法を守らないからで――」

「それに貴殿が董卓に誘われたことを、丁原に漏らしたのも董卓でしょう。おかげで貴殿は、恩人である丁原を殺さざるを得なかった」

「は、なんだと?」


 彼は今、なんと言った?

 董卓が俺をはめて、丁原を殺させただと?


「し、証拠はあるのか?」

「そんな都合のいいものはありません。しかしちょっと考えれば、分かることではないですか。誰が一番、得をしたのか」


 そう言って王允は、うっそり笑った。

 言われてみれば、その通りだ。

 董卓が最も得をし、俺は取り込まれた。

 そして仇の手助けをしていたということか。


「詳しい話を聞こう」

「賢明な判断です」


 その後、王允の計画に乗って、董卓を暗殺しにいった。

 しかし何者かの邪魔が入り、ヤツを逃がしてしまう。


「フンッ、何者かはしらんが、深手は与えた。じきに死体で見つかるだろう」


 そう思っていたのだが、見込みが甘すぎた。

 短期間で孫堅に洛陽を追われたばかりか、董卓も生きているというのだ。

 こちらは中原のほとんどを制圧したものの、孫堅も官軍をまとめ上げ、対抗してくる。

 なんとも忌々しい話だ。


 しかしこちらは名だたる名士が手を組み、20万人もの軍勢を擁するのだ。

 しかも官軍の中にも協力者がいるのだから、負けるはずがない。

 そう思っていたのだが……


「ま、待て! 俺は役に立つぞ。俺が騎兵を率いれば、中原で敵うものはない。この中華を手に入れることだって、不可能ではないだろう」

「ほほう、やけに自信があるんだな?」

「当然だ! 俺はこの日のために鍛えてきた。そうだ、俺は孫堅どのに仕えるため、今まで生きてきたのだな。これからは心を入れ替えて――」


 気づけば俺は孫堅に捕らえられ、その眼前でひざまづいていた。

 彼の目は冷酷で、好意のかけらもない。

 俺は必死に自分の有用性を訴えたものの……


「いや、ダメだ」

「が、ガハッ……な、なぜ?」

「董卓という盟友を、殺されかけたんだ。それにお前は危険過ぎて、信用できない」

「ば、かな。こんな、ところで、おれ、が……」


 血が流れ出して、体が冷えていく。

 俺はただ、最強になりたかっただけなのに……

呂布がはめられたような描写は、筆者の想像です。

こんなこともあり得たんじゃないかな~と。

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前作の”それゆけ、孫策クン! 改”はこちらから。

それゆけ、孫策クン! 改

孫策が暗殺を回避して、新たな歴史を作ります。

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逆行の劉備 ~徐州からやりなおす季漢帝国~

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