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女王の束ねた混沌  作者: GGGolem
15/15 女王の束ねた混沌
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 後日、女王の指令により、僕を含むカオス全軍がパールへと侵攻を開始した。カオスの狙いがパール側に漏れていることを予想した女王は、下手に部隊を分けず主力全員を一つの部隊にまとめ、一点突破で鉱脈まで突き進むことを選んだ。


 パール領内へ侵入すると、鉱脈への道中にある広い草原地帯でパールの全戦力が僕たちを待ち構えていた。カオスの女王リヴィとパールの王サカズキ、二人が進軍の号令をかけると、互いの戦力が一気に衝突し乱戦状態となる。


 カオスの祈り手により草原地帯を覆うように結界が張られ、パール後衛に陣をとる魔導士たちは一斉に魔法の詠唱を開始し、無数の火の球が途切れえることなく放たれた。僕は魔人化の能力を開放し火の球をかいくぐりどうにか前進したが、前方から一人の男が僕に狙いをつけて襲い掛かっきた。彼の顔は知っている。皇国騎士第二席、皇国最強の格闘家だ。


 第二席は僕に向かって拳を振ったが、また別の男が介入し僕の目の前でそれを受け止めた。


「行け。こいつは俺が相手をする」


 皇国騎士第一席、無刀流。彼が剣を抜き第二席の拳を止めている。


「すみません、ありがとうございます」


 僕は礼を言い、この場を第一席に任せて前を向いた。


 再び前進を続けたが、今度は強烈な風が吹きつけて、またすぐに足が止まる。直後に上空から一人の女性がこちらへ向かって滑空し、その尖った鉤爪で攻撃を仕掛けてきた。


 僕は黒い剣でそれを受け止めると、彼女は怒りのこもった声を上げる。


「アラン……!なんでそっちに居るの……!」


 背に翼、目に黄緑色の輝き、元ルインブラッドのアヤだ。


「アヤさん……どいてください……」


「は……?ふざけないでよ……!」


 僕がアヤの鉤爪を弾くと、彼女は一度高速で旋回し再度僕に向かって攻撃を仕掛けた。しかし、今度は僕が受けるより先に、アイカが目の前に飛び込んできて手に持っていた血の盾で庇う。


「行って、アラン!」


「ごめん、アイカ。ありがとう」


 僕はまた礼を言って前を向いたが、少し進むと今度は急に足元が凍結した。走っていた僕が体制を崩すと、その間に周囲を水で囲まれ、魔法により一気に冷却され氷の中に閉じ込められる。


 前方では更に続けて魔法を詠唱するアーティアの姿が見えた。どこか悲し気な表情を浮かべる彼女に罪悪感を抱きながらも、魔人の力で氷を砕こうとしたが、その必要もなく蒼い炎によって氷は溶かされていく。


「大丈夫か?」


 僕の元に蒼炎が駆けつけ、彼は一瞬ふらついた僕の体を支えてくれた。


「ありがとうございます。大丈夫です」


 蒼炎は立つ続けに蒼い炎を放つことでアーティアの詠唱を妨げようとしたが、彼女は盾で身を隠し防いでいる。アーティアが詠唱を終え次の魔法を発動させると、雷を帯びた水流がこちらへ押し寄せてきた。蒼炎はそれに合わせて力を凝縮させた火球を前方へ飛ばすと、直後に凄まじい威力の爆発が引き起こされ、それによって水の流れをせき止めている。


 僕は彼らの戦場を迂回して前へ進み、ようやくパール後衛の魔術師のところまで到達した。


 四つの能力全てを開放し、黒い剣に気力を込めて空を薙ぐと、大気を振動させる黒い波動が魔術師たちを吹き飛ばしていった。アキトと二人、島で長年培ってきた皇国の剣術の一つ。それにルドラの毒を加えた一撃だ。


 自ら切り開いた道を進むと、その奥では最後の一人が僕を待ち構えていた。パールの王サカズキ、彼は僕を見て教団の力を開放する。


「アラン……君は、何がしたいんだ?」


「今は女王と、世界を獲りたい。それが、自分の中の正義に従い出した結論です」


「そうか……。非難はしないよ。結局僕も君と同じだ。君の行動に値する罰を、僕の正義に従って計上し、今この場で下そうと思う」


 次の瞬間、何の前触れもなく唐突に身動きが封じられた。呼吸も喋ることもできず、魔人化の力で無理やり振りほどくことさえできない。サカズキの能力によって僕の周囲の空間が制御されているようだ。


 彼の能力は強い弱いの次元ではない。技も力も、これまで培ってきた全てが無視される。彼は僕と戦闘する気なんてない。ただ能力を使う、それだけで僕を無力化できる。


 呼吸が出来ず意識が途切れそうになったが、不意に空間の制御が解かれた。身動きが取れるようになり、同時に呼吸も戻る。


 隣には女王が立っていて、その瞳には漆黒の輝きが宿っていた。


「ここは私が引き受けるよ。さあ、君は走って」


「あ……ありがとうございます……」


 彼女の力で空間の制御が解除されたようだが、いまだにどういった能力かは分からない。僕はただサカズキを避けるようにして前へ進み、そのまま暫く走り続け、そしてようやく坑道への入り口を見つけた。

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