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女王の束ねた混沌  作者: GGGolem
15/15 女王の束ねた混沌
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 数日後、カオスは皇国とブラッドの制圧に成功し、新たにカオス領となった土地の人々は大きく三つに分けられた。一つは支配を受け入れカオスに従う者、一つは最後まで抗い戦死した者、そしてもう一つは死線を潜り抜けパールへ逃れた者だ。


 これで世界は分かりやすく二分された。カオスとパール、各代表同士の交渉は既に決裂し、女王の指令一つで大規模な戦闘に突入するだろう。


 その日、僕がリヴィの元へ行くと、彼女は不安を隠そうとせず表情に出したまま、赤い液体の入った装置を手に口を開いた。


「強行することにしたよ。隙を見てこれをパールの鉱脈に打ち込む」


「他の手筈は……」


「全て整った。あとは実行するだけだ」


 彼女は装置を僕に手渡し、そして続けて言った。


「これを使う役目は君に託したいと思ってる。私たちが開いた道を、君はただ進んでほしい」


「分かりました。引き受けます」


「悪いね、重大な責任が伴う役目で」


「いえ、僕はあまり人と戦闘するのが得意ではありませんから。これくらいの責任は負わせてください」


「ありがとう。それじゃあ、具体的な話をしようか」


 女王はそう言い机の上に地図を広げた。僕たちはパールの鉱脈の位置と、そこへ辿り着くまでの道を確認していく。


「作戦が開始されたら、猶予はあまり無いものと考えてほしい。具体的には半日くらいかな。それまでには鉱脈を潰したい」


「半日……何の時間ですか?」


「装置によって石の効力が失われるのが三時間くらいなんだ。だから、作戦開始の凡そ三時間後に他の鉱脈を潰すよう伝達してある。その前後の六時間がリミットってことだね」


「本当に大役ですね……。強行する以外にないのでしょうか」


「パールへの侵攻は何度も試みたけど、全て上手くいかなかったよ。硬すぎるんだ。あの勢力は」


「じゃあ、潜入は?僕なら王とも面識がありますし、迎え入れてくれるかもしれません」


「それも考えたけど、今はもう遅い。皇国のシルヴィアがパールに逃れていてね、彼女の力を使われたらすぐにばれてしまう」


「そうですか……。やるしかないんですね」


「うん。もう数日後には指示を出そうと思ってる。準備しておいて」




 女王との会話の後、僕はミラに頼んで現時点での各勢力構成員と、戦死者についての資料を見せてもらった。


 新たにカオス側に加わったメンバーとして、皇国騎士からは第三席と第十席、ブラッドからは赤髪の名前が記載されている。パールへ逃れた人物としては皇国騎士の第二席、第五席、第十二席、ブラッドのアヤとフィオ、そして女王の言っていた通りシルヴィアの名前もある。


 戦死者のリストは膨大だったが、見る恐怖を抑えて上から順に目を通していった。


 皇国からはギルバード統括を筆頭に皇国騎士の残りの席、第六席、第七席、第八席、第九席、第十一席は全てここに記載があり、それ以外にも知っている名前を幾つか見つけた。皇国のレナ、ジーク、元ブラッド現カオスであったラビ、ナギサ、ナナミ。


 自分の加担する計画の犠牲者。あまりにも重い代償に手の震えが止まらない。僕はもう引き返せないところにいる。みんなが笑顔で、みんなが幸せに、そんな未来はもう来ない。


「大丈夫ですか?」


 震える手をミラに握られていた。僕は一度深く呼吸をして頷く。


「はい。女王が指令を出すまでに、しっかり覚悟を決めておきます。屍を踏みつけて、進む覚悟を」

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