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女王の束ねた混沌  作者: GGGolem
15/15 女王の束ねた混沌
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 僕が城へ戻ってから全ての部隊が帰還するまでに十日以上がかかった。その間僕はリサと毎日アポピスの元へと通い、必要であれば再び赤い雷撃をアポピスの体に流し続けた。死なない程度に動きを封じ、女王の帰還と彼女の判断を待った。


 ある日、朝目が覚めると黒い服の女性が僕の部屋を訪れた。彼女は女王に雇われているミラという名前の使用人だ。


「おはようございます。今日は一度教会へ向かっていただけますか?魔物の情報が沢山届いているようなので」


「分かりました。急ぎですか?」


「そうですね、それなりに……。通常の部隊では対応出来ないレベルの魔物ばかりで……大変かと思いますが、今はアランさんの力が頼りです」


「ではすぐに準備します。あの……ミラさんは、リヴィ様の計画をどの程度聞いているのですか?」


「ほとんど何も。彼女のことが信用できませんか?」


「いえ、その……迷いはあります。すみません、迷ってばかりで……あの頃から、ずっとそうです」


「あの頃……ええ、そうでしたね。少なくとも、私はリヴィ様のことを信じていますよ。彼女の思い悩む姿を誰より見てきましたから……」


 ミラと話していると、戦闘服を着たリサが部屋に入ってきた。彼女は呆れた表情で口を開く。


「まだ準備できていないのですか?早く着替えなさい。今日は依頼も多いみたいですから」


「あっ、すみません。すぐに行きます」


「教会で待っていますので、今日の動きはそこで話し合いましょう。それでいいですね?」


「はい、大丈夫です」


 僕の返事にリサは優しい顔で頷き部屋を出て行った。




 後日、女王は帰還してすぐに僕を呼び出した。部屋で二人になると、彼女は難しい表情で口を開く。


「まずはカオスでの防衛お疲れ様。リサとも上手くやれてるみたいで良かったよ」


「はい……。彼女の剣にはいつも助けられています。魔物の力を封じるなんて、カオスの技術は凄いですね」


「まあね。でもその技術を使って魔物を討伐すれば、また進化して対応される。街への被害を考えると討伐しないわけにもいかないし……だから、これで根元を絶つんだ。上手くいけば、この世から魔物は消え去る」


 女王はそう言いとある装置を取り出した。赤い液体が入った注射器のような装置で、掌に乗るくらいのサイズだ。


「これは?」


「我々カオス勢力が長年利用してきた紫色に輝く石、あれの力を奪うための装置だよ。リサの剣にも同じ成分が使われているんだけど、本来の目的は魔物の力を抑えることじゃないんだ」


「えっと……どういうことですか?」


「君が落とした浮遊大陸、あの土地で紫の石が大量に見つかったことは知っているかな?」


「はい、確か大陸を浮かせる原動力にもなっていた……」


「そう。大陸が落ちた時、異形の血を目当てにしていたブラッドに対して、カオスは石を目当てに共同開発を申し出た。最初は掘り出して加工するつもりだったんだけど、とある報告から嫌な予感がして思いとどまった。暫く経過を見てみると、やっぱり新種の魔物の報告が急激に増えていたんだ。つまり、浮遊大陸に埋まっていた石の力が海に溶け出し、その影響で魔物の進化が加速していたことになる。それに気づいて、私はすぐメアに手紙を書いたよ。魔物の進化の要因が分かったってね。そしたら色々な資料を送ってくれるようになって、彼女と共に完成させたのがこの装置だ。浮遊大陸で実際に試してみたんだけど、効果が実証された変わりに土地が枯れてしまった。ついでに、石の力は時間経過で元に戻ってしまうことも分かった。もちろん、枯れた土地はそのままにね」


「そういうことですか……話は見えてきました。それで、どうするんですか?その装置では不完全ということですよね?」


「そうだね。でもこれ以上改良もできない。メアの協力があれば何か案が出たかもしれないけど……。だから、装置はこれで完成だ。私は石の力が戻ってしまう原因の方を探った」


「分かったんですか?」


「だいたいはね。付近にある石から力が移っているみたいなんだ。つまり……まあ、ここまで話せば分かるかな。大陸の全ての鉱脈を同時に絶つ必要がある。そうすれば、この大陸は一度魔物と共に完全に死ぬ」


「そんなの……人が住める場所も無くなってしまいますよね?」


「このまま魔物を放置したら、それこそ住める場所は無くなる。でも、土地は枯れてもまた再生する。これまで魔物に費やしてきた労力をそっちに回すだけでいい。皆が武器を捨て土地を耕す、そんな未来が私には見えてる」


 女王の計画を聞き、僕は彼女を支えたいと思えた。そこへたどり着くまでに支払う代償と、背負うべき責任、彼女の分を少しでも肩代わりできたなら、それがきっと僕にできる一番正しい選択だ。

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