11月10日:狂像炎讐⑧
「泡砲・拡」
「またですかぁ!凝固!」
トークルが作る玉はイメージ通りになる前にアザレアの魔法で凍って止まる
「チッ」
もうちょい時間が稼げりゃ泡砲が機能するんだがな……
既にレンツ軍曹を逃がして10分、こっちはノーダメージとはいえそろそろ魔法疲れが蓄積してやがる
アザレアの方は……ダメージを蓄積できてはいるが重傷には至っていないように見える、魔法のイメージが雑なせいで魔法疲れがそこまで無さそうな分消耗はこちらの分が悪いな
そろそろなことも考えると……
「……やることは一つか」
「はい?なにか言いましたかぁトークル中佐ぁ?」
「ああ、そろそろ終わらせようと思って……なっ!」
短剣を一つ投げる
「チィッ!」
アザレアがハンマーで短剣を弾く
その隙を狙い短剣を2つ取り出し、右手に持って息を整える
「スゥー……」
この魔法はイメージと体力が全て、事前に頭でどう作るか、イメージを固定する……
アザレアは様子を見ている……警戒してくれる方がいいから助かるね
……こうだな
「……水糸、フッ!」
短剣2つを同時に投げる
「?」
その2本はアザレアの横を通り抜けていく
それに気を取られたアザレアは一瞬トークルを視界から外して……
投げた短剣2つを結ぶ水糸を握って前へ飛び接近するトークルが見えない
「一体なに」
「オラァッ!」
「ヴォッ!」
アザレアの首に左腕のラリアットが決まる
このままアザレアを叩きつける……!
「混成:」
「……!」
イメージを固め続けろ!土と水が混ざった壁のイメージを……!
「濁水土壁!」
アザレアの後方数十cm、水糸の繋がった短剣どうしが転がった場所
そこから水膜を伴った泥が壁を作り出す
壁が天井まで到達したと同時に……
アザレアが壁に衝突する
水膜が割れ、更に泥土の壁に打ち付けられる
二重の壁、頭に2回の衝撃を与えて気絶を狙う
かくして作りだした壁に頭がめり込んだアザレアは体をピクピクさせて動かない
体力のほとんどを使ったトークルは床に崩れ落ちる
「ッ……はぁ……はぁ……や、やっぱキツイな混成は……」
トークルは少しふらつきながらも立ち上がる
15秒経過したのか、壁が消えアザレアも床に倒れる
「とっととコイツを連れて上の状況を確認……」
アザレアの状況を確認しようと近づいた
「氷拳……ッ!」
「!?水面……!」
アザレアから突如氷の拳が放たれる
咄嗟の守りを作るが、イメージが足りない
「グッ!」
ただそれでも少しは時間が稼げた、氷の拳は脇腹を掠めて空に止まる
「なんっで……今のもギリギリで耐えるんですかねぇ……!」
「こっちのセリフだっての……!」
まずい、コイツまだ意識が!
「氷拳!」
「クッソ、昇波!」
またしても飛んでくる氷の拳、これじゃジリ貧の防戦一方……!
「火矢!」
「ッァアアア!!!!!!!」
アザレアに意識外からの火矢が足に突き刺さる
……どうやら、援軍は間に合ったらしい
「レンツ軍曹から報告を受けて急行しましたが……事実でしたか」
「助かりました……トーム少佐。あともうちょっとでこっちも危うかったので」
「アアッアツ゛ッ熱いッ!」
「アザレア少尉……いやアザレア、話は尋問の時に聞きます。その炎で反省していてください……気がつかなかった私も反省が必要ですが」
「レンツ軍曹も知った時だいぶ憔悴してたからな……被害者のことも考えるとまだまだ足らんがとりあえずそれで反省しておけ……」
全く……面倒な内通者がいたもんだ……
……そういやダンテはこっちに来てねぇのか
「……今ダンテ……クスト中佐はどうしてます?」
「その件で報告が、レンツ軍曹が報告に来る直前に北地区で魔法戦が発生、そちらの鎮圧に回っています」
「マジか……!?クッソ、体力残せばよかった……ッ、今すぐに向かうので場所を!」




