11月10日:狂像炎讐⑨
「ヴェールゥ!ここに来てたんだなァ!」
「テメェがちんたらやッてッからだろうが!」
「ごめんよヴェールゥ!」
「……誰と……喋っている……?」
……意味がわからない
アエスが土魔法を使った後
奴は虚空に向かって一人芝居をし始めた
さっきからイカれたことは口にしていたがここまでは……
「クストさん!」
「……トジくんか!」
トジくんが戻ってきたのか、ならクルスを逃がすことは出来たようだ
トジくんはまだ先程のダメージがあるようで少し腹に手を当てている
「問題はないのか?クルスは?」
「俺はとりあえず大丈夫ッス、頼まれた子の方はちょっと離れたとこの家の影に、気絶したままッスけど呼吸が落ち着いたんでコッチに戻ってきたんスけど……」
「全く使えねぇなぁアエスゥ!」
「ヴェールが早すぎるんだよォ!」
トジくんもアエスの現状を見て困惑している
未だ虚空と一人芝居を続けているのだ
「あれは……イカれたんスか?」
「戦場でも数人しか見なかったぞあの狂い方は……」
「……異能はなにかわかったんで?」
「さっきトジくんが見た通りだ、コイツは異能を2つ持ってる……前例は俺も聞いた事がない」
「眼が2色なのが原因なんスかね……」
言われてアエスの頭をよく見る
土魔法……銅に高い適性があることが分かる茶髪
それと同じで左目は茶色だが……右目が赤色になっている
「おいそこの2人!コッチ見て何くッちャべッてやがんだァ!?」
アエスが突然こちらに声を向ける
「さっきからアエスを殴りやがッてよォ……テメェら覚悟はできてんだろうなァァァ!?!?」
「……アエスはお前だろ」
「はァ!?俺が見えてねェのかよゴミが!俺はヴェール・フレクシだ!」
「ハァ……」
頭を抱えながらもコイツらの情報を整理する
さっきから話してる通りならフレクシ兄弟は兄のヴェール・フレクシと弟のアエス・フレクシの2人組のことなのだろう
で、ヴェールは何らかの理由で死亡……方法は分からんが異能をアエスに移し……
(ええ、7〜15程の……両目が揃ったヒト、と)
(……最近は隻眼に2人あったり目に変に縁があるな)
……魔法を使う力は目に宿る
これは俺を含めた戦場帰りなら誰もが知ること
戦場で目に負傷を負った者のみ、魔法出力が乱高下したためだ
魔法の適性が皆無だった一般兵が、負傷後魔法部隊の隊長格になるほどの才能を振るいだしたことがある
歴戦の魔法使いが負傷を受けて以降、まともに魔法を使えなくなった例まである
軍部はこの事実を重く受け止め、結果として箝口令が敷かれ、市民にこの事実は知らされていない
確定したことは、両目を失うと魔法を何一つ使えなくなることのみ
(その緑の炎はなんだ、お前の異能は銅じゃないのか)
(あ?俺の異能は銅に決まってんだろうが)
(じゃあその緑の炎は……)
(ヴェールの異能ッてんだろうが!)
腕が無い者に義手を付ければ、ある程度の役割を果たす
腎臓病を患ったものに腎臓を移植すれば、回復することがある
なら……他者の眼を移植したらどうなる?
例えばその適性が異能を持つに至るまでのものだったのなら
……!
「アエスにやッてくれた礼だァ、たッぷり喰らえやァ……焔砲ォ!」
アエスが最初に放った魔法と同じ詠唱、しかし……
その範囲は、砲弾程から人一人分にまで拡大していた
今日で初投稿から1年ですね……
この作品を読んでくださっていることに改めて感謝を
ほんとにマイペースとしか言いようのない更新ペースではありますし、拙い文字、描写等あると思いますが、楽しんで頂けると幸いです。




