11月10日:狂像炎讐⑥
「オイ!隠れてないで出て来やがれ!ダンテ・クストォ!」
……なぜ俺のフルネームを知っている?
確かにトジくんはさっき俺をクストさんとは呼んだ、だがダンテとはここでは誰も呼んでいない
やはり内通者が居たのか……?
「……」
「黙ってないで出てこいやテメェ……ッ!あああめんどくせェなァ!」
一旦周囲を見わたす
民間人は見えない、恐らく避難済みだろう
クルスは……意識がない、でも呼吸はしているな
左手に火傷痕があるが致命傷はない、ならこの痛みで気絶したか、魔法の反動かのどちらかだ
吹き飛ばされたトジくんの方は……
「ッ……チクショウ……!すんませんクストさん……!」
「ダメージは!」
「ちと……時間をください……!」
意識はあるな、ただ先程の魔法がかなり効いているようで、食らった腹を抱えて動けていない
まずはクルスをここから離れさせておこう
「トジ君!一旦クルスを頼む!鉄板・滑」
クルスの下に少し滑りやすい板を作り、トジくんの方へ滑らせる
救援が来るかトジ君が立ち直るまでは俺一人でやることになる……
覚悟を決めると同時、時間で鉄壁が消えた
「なァ!お前ダンテ・クストだろう!なァ!!!!」
男は激昂しながらこちらに叫び続ける
「……ああ、そうだ」
「やっぱりなァ……!」
男は更に声に怒気を乗せ始め、額には血管が浮かんでいる
……まずは
「こちらからも聞かせてもらう……お前は誰だ」
「あ゛ァ!?テメェ……!ヴェールを殺しといてこの俺を……アエス・フレクシをわかんねェとか言うんじゃねぇぞ!」
「そう言ったつもりだ、そちらの話すヴェールという人物も知らん」
「……ッ!」
「もし戦争に参加していた人物なら申し訳ない、こちらが覚えていないだけだ」
……もしそうならコイツも俺と同じ復讐に身を焦がしているのだろう
だが死んでやる気はないし、こちらもまだ聞いていないことはある……
「ハァ?違うだろうがァ!俺の兄貴はテメェが半殺しにしたんだろうが!」
「……半殺し?」
なんだ?言い方的に戦場ではないしつい最近のこと……戦争以降に戦ったのはトレインジャック位のはずだが……
「……ああ分かッたよ、もうテメェはヴェールの事は知らねェッてことでいい……だってよォ」
男は殺気をさらに強めて、底から叫ぶ
「俺が殺せばお前が何を知ってようが関係ねェよ!」
言い放った瞬間、アエスはダンテへ肉薄する
「炎砲ォ!」
ダンテを押すかのように向けられたアエスの手の平から炎が出力される
……あの炎と全く同じ緑色だ
「……ッ、鉄壁!」
左に避けつつ壁で魔法を受け止める
アエスの手から出た炎は鉄壁に触れた瞬間に爆発し、煙を散らす
「避けてんじゃねぇ!」
「鉄腕……フンッ!」
そのまま左腕に鉄を纏い、アエスの右腕を狙って……
「銅盾!」
ガキンッ!
鉄と銅がぶつかり嫌な音と共に双方の腕に反動を与える
「グッ……!」
「ッ……てェなァ!」
アエスの左手がダンテの軍服を掴む
まさか自爆覚悟で……!
「燃え……」
「鉄棘!」
「イッ……」
腹から棘を伸ばし痛みで魔法をキャンセルさせて……
「離れ……ろっ!」
咄嗟で腹に蹴りを入れて距離をとる
……左腕の反動が思ったよりも痛いな、骨にちょっとダメージが入ったか
時間稼ぎついでだ、アレを聞こう
「グッ……めんどくせェんだよォ!」
「それはこっちもだよ……その緑の炎はなんだ、お前の異能は銅じゃないのか」
さっきからずっと気になっていた
緑の炎、しかもその色は……
「あ?俺の異能は銅に決まってんだろうが」
「じゃあその緑の炎は……」
「ヴェールの異能ッてんだろうが!」
「……」
……訳は分からないが、一つだけ確実にわかったことがある
異能は、ある程度遺伝する
つまりこいつらかその親族に……
……頭が急速に冷えるのを感じた
「なら……話は戦いの後で聞かせてもらおうか」
「は?おちょくってんのかテメェ」
武器は銃一つと弾丸19発、トークルから借りたダガー2つ
「はは、おちょくってるかって?当然」
「テメッ!」
「だってこうでもしないと俺が落ち着かないからね」
銃を取り出し、ポケットから5発装填する
「死なないようにはしてやるよ」
発砲音が街に響く




