第十六話 体感済み
さて。
目の前の現実から逃げるのはこの辺にして、返事を返してきた四人にその理由を問おうかしら?
「いやに自信ありげなのね。どうしてかしら?」
「そりゃ姫さん。アタシらを舐めちゃぁいけねぇよ……?」
にたりと笑う料理長。
頷くテノール。
なにやら楽しげに無言で会話している双子ども。
「あら。そんなことないわ」
「くくっ……アタシらはなぁ。姫さんと違って、いろんなもん持ってんだ」
にやにやしながら言う料理長。
いやね。
そんなこと知っているわよ……。
何度あなたたちに殺されたと思っているの?
数えることすら怖くなって数えるのをやめたけれど、二十回以上よ……?
でも、だからこそ。
あなたたちに頼んでいるんじゃない。
「そうね。ちなみに、いつなら出来るかしら?」
「いつでもさ。姫さんが望むなら、アタシは今すぐでもいいぜ……?」
「ありがとう。じゃぁさっそくで悪いけれど、お願いできるかしら」
「あぁ。もちろんだ」
頷き、何かの魔術を展開させ始めた料理長。
それを横目に見たテノール。
「お嬢様。俺も行きます」
「「…………」」
テノールの言葉に頷くルシオとゼシオ。
……あぁ。
本当に、貴方たちは私が拾った貴方たちなのね……。
それを再確認すると、胸が――――心が……温まるような気がした…………。
「ありがとう。貴方たちが一緒に来てくれるのなら……とても心強いわ」
えぇ。
だって、貴方たちがとても強いのは体感済みですもの……。
……それはそうと、ミリーを連れて行く準備をしなくてはいけませんね。
私はミリーの頭に人差し指を当て。
次に肩。
そして足と、順に当てて行く。
ちなみに、指の先には小さいですが、黒い陣を展開しています。
「さぁ。【行きましょう。ミリー】」
私は彼女をベッドから起し、立ち上がらせて料理長の傍に向かわせ、その後に続いた。
あぁ。
ネグリジェ姿でした……。
着替える時間すら惜しいのですが、とりあえずサッと着替えましょう。
私は料理長たちに言って、クローゼットからドレスをだし、着替えるために別室に向かった。
持ってきたドレスは皆簡素で着やすいモノ。
だからすぐに着替え終わりました。
と言うことで。
料理長の術で王の寝室に飛びました。
王は目を見開いて驚き。
そしてさらに、眠ったままのミリーを見てさらに目を見開いたのです。