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名門貴族の変嬢 作者:双葉小鳥

第一章 名門貴族の変嬢

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第十五話 物騒

 ミリーの記憶から出た私は、彼女の前髪を手で持ち上げて額に手を当てた。
 それから、藍色の光を放つ小さな魔術の陣を組んだ。
「【おやすみなさい。ミリー】……【朝まで、起きてはダメ】よ」
 私が仕上げの言葉を告げると、藍色の光は収まった。
 ……さぁ。
 これでミリーは朝までぐっすり。
 例外と言えば、術をかけた私自身が日の出前に術を解くこと。
 それだけ……。
「さぁ。テノール、料理長、ルシオ、ゼシオ。居るのでしょう……?」
 私はミリーを見つめたまま、問う。
 案の定。
 四人が部屋の隅などの暗からスッと、姿を表した。
「お気づきでしたか……お嬢様」
「えぇ。テノールは私が気づかないと思ったの?」
 そう問うと彼は困った顔で笑って、『もしやと思っただけです』と言ったわ。
「酷いわね。私が貴方たちに気づかない訳がないでしょう?」
 心外だわ。
 もう……。
 優しい貴方たちの存在に気づかいほど、私は落ちぶれてなどいません。
「はっはっは! さすが、姫さんだな」
「あら、ありがとう。料理長」
 豪快に笑う料理長。
 無表情な双子。
 そして。
 表情を引き締め、魔術を展開し。
 部屋中を何かの術で覆った執事のテノール。
「それで、お嬢様。お話とは……?」
「…………昼間も言ったでしょう? 『誰の目につかず、王に会いたい』と」
「……………………それは、何故に……?」
「そのままの意味よ。ミリーを――彼女を王に会わせるの。じゃないと私、殺されるの」

「「「「?」」」」

 笑ってさらっと暴露すると、四人はポカンとしたわ。
 あぁ。
 ちなみに双子は分かりにくくだけれどね。

「え、えっと……。どういうことでしょうか?」
「そのままの意味よ。暗殺されるか、冤罪で処刑されるか。もしくはミリーの記憶を封じ、彼女の二年もの年月の成長を遅れさせた人間にね」
「…………そいつは何処のどいつだ……?」
 怒りの表情に低音吐きつつ。
 スッと腰に巻いている包丁の一つに手を伸ばした料理長。
 彼女同様。
 物騒な雰囲気を醸し出し始めた双子とテノール。
 後ろに手を回してるけど。
 足元に月明かりを反射している長い何かが見てるわよ……?

 ……って!
 どこに隠してたのよっ?!

 なんて考えている私の顔はひどく引きつっていると思うわ……。

「さぁ……。顔は分からないわ。ついでに皆。顔と雰囲気が物騒よ。あと、手に持っている物も、ね……?」
 暗に『しまいなさい』と言ってみます。
 でも、料理長が腰から包丁を抜きました。
 思い出の出刃包丁です。
 あれで殺されそうになりました。
 現に過去の【私】は殺されました……。

「アタシの姫さんに、手を出す輩は…………くっくっくっ……」

 …………どうやら通じないみたいです……。

 だって。
 テノールの目が殺意を帯びていますもの……物騒なんですもの…………。
 無表情な双子ですら笑みを浮かべています。
 料理長なんて、嬉しそうに包丁を月明かりに反射させ、凶悪な顔をさらに凶悪にしているわ……。 

 怖いわ。
 とても……。
 だから話を進めます。
 何が何でも進めるんですっ!

「で。出来るかしら? ――いえ。出来るわよね? テノール、料理長、ルシオ、ゼシオ……」
 表情を引き締め、四人に問う。

「「「「もちろんだ」」」」

 簡単なことだと言わんばかりに返事を返してきた四人。

 しかも…………双子まで、返事をしたわ……?!
 明日は槍でも降るのかしら? 
 だって、この双子。
 どちらか一方しか返事をしないのよ?
 日替わりでどちらかが返事をするの。
 そして基本しゃべらないわ。

 ……明日は天変地異でも起きるのかもしれないわね…………。
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