決まっていた未来
誰もいない部屋。
どこも同じつくりのため、どの部屋にするかは少し悩んだ。
結局選んだのは最上階最奥の部屋。
どの未来でも、あいつは一部屋ごとに私がいないか確認していた。だから最もあいつが疲れるであろうこの部屋を選んだ。
椅子の位置、家具の位置を調整し、私は優雅に席に着く。
しかしその所作に反し、私の心はかつてないほど高鳴っていた。
ここから先のショーは普段とは違う、特別な意味を持つ。
何せ、視ようとしても視えないのだから。
それでも私は知っている。私の未来に、害が及ぶことなどありえないことを。
だからただ楽しむだけ。不意に現れたイレギュラーな時間を、またとない娯楽として享受すればいい。
「……ふう」
深呼吸を一つ。
もうすぐ、あいつはこの部屋にやってくる。巨大なリュックを背負い階段を駆け上がってきたため激しく息を乱しているが、それでも笑顔だけはいつもと変わらない。
胡散臭い、満面の笑みで私に語りかけてくる。
ドン
強く扉が開かれる。
勢いあまって額を扉にぶつけたらしい。
真っ赤に色づく額を惜しげなくさらし、彼はこう言うのだ。
『「長らくお待たせしてしまい大変申し訳ありません! あなたの考えた幸福な人生の一ページに、感想を伝えに参りました!」』




