第6話:最初の拠点とプロジェクト発足
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第6話は、ついに洞窟を抜け出した修平たちが異世界の「惨状」と直面するエピソードです。
第1章の締めくくりとして、いよいよ本格的な「魔王討伐プロジェクト」が動き出します!
まぶしい日差しに目を細めながら、一行は洞窟を抜け出した。
「うわあ……外だ! 本物の空だ!」
レンが叫び、源さんが深々と新鮮な空気を吸い込む。
だが、広がっていた景色は感動的なファンタジー世界とは程遠いものだった。
目の前に広がっていたのは、黒く焼け焦げた木々、崩れ落ちた石造りの家々――かつて村だったと思われる無惨な廃墟だった。
「これは……酷いな。戦闘の痕跡だ」
瑞穂が焦げた柱に触れ、警戒を強める。
村の中央にあった広場へ進むと、そこには力尽きたように座り込む数人の村人たちの姿があった。
彼らは修平たちの奇妙な身なり(スーツ、迷彩服、作業着、制服)を見ると、怯えたように体を縮こまらせる。
修平は即座に両手を広げ、腰を低くして歩み寄った。
「怪しい者ではありません。我々は遠くから流れてきた旅の者です。……この村で一体何があったのですか?」
言葉が通じるか不安だったが、異世界召喚の副産物か、会話は問題なく成り立った。
衰弱した村の老人が、絞り出すような声で語り始める。
「『魔王軍』じゃ……。奴らは定期的にやってきては、若い者を連れ去り、食料を奪っていく……。それだけじゃない、最近は『異界から落ちてきた人間』も片っ端から捕らえて、魔王城の地下工事でタコ部屋労働をさせているらしい……」
「……なっ!?」
瑞穂と源さんが息をのむ。
首都圏で相次いでいた「四百人以上の行方不明事件」。その真実が、いま明かされたのだ。
失踪した現代人たちは、この異世界の魔王によって労働力として強制徴用されていたのだ。
「……なるほど」
修平は静かに眼鏡の位置を直した。
その瞳の奥に、いつもは穏やかなサラリーマンのそれにない、静かな怒りの炎が灯る。
「無休・無給の強制労働。安全配慮義務の欠如。そして無断での人材拉致……。典型的な、いや、究極の『ブラック組織』ですね」
修平はスーツのジャケットを羽織り直すと、仲間たちに向かって振り返った。
「皆さん。目標を更新します。単に生き残るだけではダメです。捕らわれた現代人たちを救出し、この理不尽な構造を根本から破壊する――つまり『魔王討伐』を行います」
「魔王討伐……!? ボクたちがですか!?」
レンが驚きで目を丸くする。修平は力強く頷いた。
「はい。ですが無謀な突撃はしません。まずはこの廃村を我々の第一拠点(支社)として再建します。源さんにはインフラの修復、瑞穂さんには防衛網の構築、レン君には生活ラインの確保をお願いします」
修平はメモ帳に大きな文字で書き込んだ。
【プロジェクト名:魔王軍の解体および現代帰還作戦】
「ターゲットは魔王。納期(討伐完了)は、全員が無事に有給休暇を取って元の生活に戻るまでです。……いいですね?」
修平の言葉に、最初は唖然としていた三人だったが、やがて頼もしい笑みを浮かべた。
「ふっ……上等だ。ブラック魔王軍の天下もここまでだな」
「おうよ! 現場監督の命令とありゃ、立派な砦に仕上げてやるぜ!」
「ボクも頑張ります! みんなで絶対に日本へ帰りましょう!」
廃墟となった村の一角で、社畜サラリーマン率いる異色のパーティによる、前代未聞の「業務改善系・魔王討伐プロジェクト」が正式に発足した。
第6話をお読みいただきありがとうございました!
第7話は【気難しい領主と「名刺交換」】をお届けします。
補給のために訪れた街で、偏屈な領主から強烈な洗礼を受ける修平たち。
現代の社畜スキル「圧倒的根回し」が、ファンタジーの貴族に通用するのか……!?




