第4話:リソースの最適化
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第4話は、限られた物資と環境の中でチームの力を最大化する「適材適所」のエピソードです。
異世界の厳しい現実に直面する中、修平の「業務効率化」が冴え渡ります!
洞窟の一角にある、比較的安全な小部屋。
壁に打ち込まれた源さんのハーケンと、レンの生活魔法『プチ・ファイア』による小さな火種が、暗がりをほのかに照らしていた。
「よし、全員無傷で第一エリアの哨戒完了だ。……だが、深刻な問題がある」
修平はスーツのジャケットを脱ぎ、パイプ椅子ならぬ平らな岩に腰を下ろすと、ビジネスバッグからノートを取り出した。
「物資の限界だ。水はペットボトルに残り半分。食料は私が持っていたカロリーメイトが二箱と、レン君のポケットにあったキャンディが数個。持続可能な日数で言えば、持ってあと一日半というところか」
「うぐっ……」と、レンが胃を押さえて喉を鳴らした。高校生の成長期、お腹が空くのは当然だ。
「水と食料の現地調達が最優先課題だな」
瑞穂が腕を組み、真剣な面持ちで頷く。
「その通りです。ですが、闇雲に動くのは燃料の無駄遣い(リソースの浪費)にしかならない。ここで一度、我々の『保有資産』と『適性』を完全に可視化(見える化)しましょう」
修平はノートのページを新しく開き、素早い手つきでマトリクス表を書き込んだ。
「名付けて【パーティ・スキル&アセットシート】です」
「す、すきるあせっと……?」
源さんが首をかしげる。
「要するに、誰が何を得意としていて、どんな道具を持っているかの一覧表です。……まず源さん。大工道具一式に加え、木材や石材の強度判定、簡単な簡易拠点の構築が可能ですね?」
「おう、任せとけ。このくらいの石造りなら、崩れないように補強するくらいはお手前組みだ」
「素晴らしい。源さんは『インフラ整備・環境改善担当』です。次にレン君。指先からの発火に加え、暗闇を照らす光の魔法、それと……水を作り出す魔法は使えたりしないか?」
「えっ!? 水ですか……うーん、手を洗う時に『水出ろー』って念じたら、ちょっとだけ指先からピチョピチョ出たことはありますけど……」
「採用です!」
修平はノートに勢いよくペンを走らせた。
「レン君は『エネルギー供給および生活インフラ担当』。少量の水でも濾過と組み合わせれば飲料水になる。君は我がパーティのライフラインだ」
「ぼ、ボクがライフライン……!」
期待を込められた眼差しに、レンの顔にパッと誇らしげな色が灯る。
「そして瑞穂さん。自衛官としての戦闘技術、近接格闘、および危険察知能力。文句なしの『セキュリティ&メインアタッカー』です」
「ふっ……分類されると、なんだか背筋が伸びるな」
瑞穂が苦笑しながらも、どこか嬉しそうに頷いた。
「そして私、西岡は全体の『プロジェクトマネジメント』および『ロジスティクス(物流・進行管理)』を担当します。直接的な戦闘力はゼロですが、皆さんが最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、状況判断と環境調整に全力を尽くします」
修平はペンを置き、全員の顔を見回した。
「一人ひとりの力は小さくても、適材適所で組み合わされば大きな成果を生む。これが組織の力です。さあ、次は水資源の確保工程に入ります。レン君が水魔法の出力を上げられるよう、源さん、何か容器を作れませんか?」
「よしきた! そのへんに転がってる硬い木根をくり抜いて、立派なコップと桶を作ってやるよ!」
「頼みます。瑞穂さんはその間、周辺の警戒と……できれば食用になりそうなキノコや草のサンプリングをお願いします。毒の判定は私がスマホのオフラインメモに保存してあるサバイバル知識で照合します」
「了解だ、西岡隊長!」
迷いが消えた三人 は各自のタスクに向かって即座に動き出した。
チート能力も神からの祝福もない。
だが、そこには現代社会の厳しい現場で磨き上げられた、泥臭くも確実な「組織運営」の魔法が働いていた。
わずか一時間後。
源さんが作った木製の桶には、レンがコツをつかんで生み出した綺麗な水がたっぷりと溜まり、瑞穂が採取してきた安全な野草によって、彼らは異世界で初めての「温かいスープ(レンの火魔法で加熱)」にありつくことができたのだった。
第4話をお読みいただきありがとうございました!
特別な能力がなくても、各自の強みを活かした役割分担(適材適所)で一歩ずつ前進する修平たち。
次回、第5話は【社畜の真骨頂「ストレス耐性」】をお届けします!
異世界の劣悪な環境に疲弊する仲間たちの中、残業月100時間を生き抜いてきた修平の「真の強さ」が発揮される……!?




