第14話:失踪者七百人の真実
お読みいただきありがとうございます!
ここからいよいよ最終章、第3章【ブラック魔王軍との全面戦争】が開幕します!
第14話は、魔王城の地下に潜入し、捕らわれていた現代人たちの過酷な現実に直面するエピソードです。
仲間たちの惨状を目にした修平の怒りが、過去最高レベルで爆発します!
ガルドを破り、魔王城の地下深くへと潜入した修平たち。
湿った薄暗い階段を下りきった先で彼らの視界に飛び込んできたのは、言葉を失うような凄惨な光景だった。
「……うソだろ、これ……」
源さんが手斧を握りしめたまま、絶句する。
そこは広大な地下採掘場だった。
激しい煤煙が立ち込める中、ツルハシを振るい、巨大な鉱石を運んでいるのは――スーツ姿のサラリーマン、作業着を着た作業員、制服姿の学生たち。
ニュースで報じられていた「首都圏の失踪者七百人」が、ボロボロの服を纏い、死んだような目で無休・無給の強制労働をさせられていたのだ。
「おい、手を休めるな! 今日のノルマが終わらなければ食事は抜きだぞ!」
鞭を持った魔物たちが、倒れ込みそうになるサラリーマンの背中を容赦なく打ち据える。
「あ、う……もう、限界です……。昨日も一昨昨日も徹夜で……」
「黙れ! 異界人の代わりなどいくらでも召喚できるのだ!」
悲痛な叫びと、魔物たちの冷酷な怒号。
それは修平がかつて経験したどんなブラック企業よりも、残虐で理不尽な「人権侵害の現場」だった。
「……ひどい……こんなの、あんまりです……!」
葵が口元を手で覆い、涙を浮かべる。レンも恐怖で体を震わせていた。
瑞穂が長剣を引き抜き、刃を鋭く光らせる。
「西岡殿、合図をくれ! 今すぐあの魔物どもを斬り伏せる!」
だが、修平はすぐには動かなかった。
眼鏡を外し、胸ポケットから取り出したクロスで静かにレンズを拭く。
その動作は恐ろしいほど静かだったが、彼の全身から立ち上るプレッシャーに、仲間たちすら息をのんだ。
修平は再び眼鏡を装着すると、冷徹な一歩を踏み出した。
「瑞穂さん。敵の警備兵の無力化を」
「了解!」
「源さん、奴らの鍵を奪い、囚われている人々の拘束を解いてください」
「任せとけ!」
「葵さん、レン君、負傷者の救護および安全な避難ルートの確保を」
「「はいっ!」」
修平の指令と同時に、チームが疾風のごとく駆け出した。
瑞穂の閃光のような剣技が魔物たちの武器を破壊し、源さんが豪快に牢の鍵を叩き割る。レンの炎と葵の回復魔法が、弱り切っていた現代人たちを包み込んだ。
あっという間に鎮圧される現場。
呆然とする元・社畜たちの前に、修平が静かに歩み寄った。
「皆さん、長らくお待たせいたしました。日本国・専門商社営業部の西岡修平と申します」
修平はボロボロになった同胞たちに向かって、胸を張り、深くおじぎをした。
「労働基準法および基本的人権を無視した『不当労働』の現場は、本日をもって我がプロジェクトが差押え(差し止め)いたします。……安心してください。全員で、無事に日本へ帰りましょう!」
「「「う、うわぁぁぁぁあんっ!!」」」
地下採掘場に、救われた現代人たちの嗚咽と大歓声が響き渡った。
失踪者たちの救出を完了した修平は、まっすぐな視線を魔王城の最上階へと向けた。
残るタスクはあと一つ。
――この最悪なブラック組織の「トップ(魔王)」の解任だ。
第14話をお読みいただきありがとうございました!
ついに失踪者たちの救出に成功し、物語は最終局面へ!
次回、第15話は【最終決戦:ブラック魔王との「労使交渉」】をお届けします!
圧倒的な武力と権力で君臨する魔王に対し、修平が突きつける最後の「改善要求書」とは……!?
長かった異世界出張の結末を、ぜひ見届けてください!




