第13話:中ボス戦:管理職の鏡
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第13話は、第2章のクライマックスとなる「中ボス戦」のエピソードです。
待ち受けていたのは、冷徹な数字と効率だけで部下を縛る「管理職タイプの魔族」。理詰めで攻めてくる強敵に対し、修平の「現場主義と泥臭い根回し」が激突します!
暗黒の森を抜けた修平たちの前に、威圧感を放つ魔王城の巨大な正門が姿を現した。
その門の前に立ちはだかっていたのは、眼鏡をかけ、幾重もの魔導書類を抱えたインテリ風の魔族――魔王軍参謀『ガルド』だった。
「ほう、暗黒の森をノーミスで突破してきたか。だが、ここから先は我が『効率管理防衛網』の管轄だ。これ以上の侵攻は認めん」
ガルドは冷徹な視線を向け、手元の魔導タブレットのような石板をフリックした。
「貴様らの行動パターンはすべてデータ化している。戦闘力、魔力、補給物資の残量……どれをとっても我が軍の最適化された防衛システムを突破できる数値ではない。無駄な抵抗はやめて投降しろ」
「データと数字だけで現場を見ない、典型的な『机上の空論型マネジメント』ですね」
修平は一歩前に進み、冷ややかに微笑んだ。
「貴様……! 我が魔王軍の高度なKPI管理(業績評価制度)を侮辱するか!」
「侮辱しているわけではありません。事実を申し上げているのです」
修平はポケットに手を突っ込み、堂々と胸を張った。
「あなたの組織の最大の問題点は、『数字を達成するために部下の心身をすり潰していること』だ。どれほど美しい工程表を作ろうとも、現場のモチベーションがゼロであれば、ちょっとしたイレギュラー(想定外)ですべてが崩壊する!」
「ふざけたことを……! 組織とは効率と成果がすべてだ! 感情論など無駄なコストに過ぎん!」
ガルドが激高し、周囲に無数の魔法弾が展開される。
「瑞穂さん、迎撃!」
「任せろ!」
瑞穂が素早く前に出て、飛来する魔法弾を長剣で鮮やかに弾き飛ばす。さらに、レンの放った炎の牽制魔法がガルドの足元を炙り、敵の体勢を崩した。
「くっ……! 連携だと……!? なぜ個々の戦闘力が低い人間どもが、これほどスムーズに連動できる!?」
ガルドが狼狽える。修平はその隙を見逃さず、決定的な一言を叩きつけた。
スコアや数字だけで部下を駒のように扱い、現場の声を切り捨てるあなたのような人間を、現代社会では何と呼ぶか知っていますか?」
「な、なんだと……?」
「――『無能な働き者(クラッシャー上司)』です!」
ガルドの顔が青ざめ、石板を落としそうになる。
「お前の作った冷酷なシステムにより、前線の魔物たちは疲弊し、いつ反乱が起きてもおかしくない状態だ。あなたの部下たちはすでに、あなたを見限っている!」
「嘘だ……! 私の管理に一切の隙はないはず……っ!」
「現場の泥臭い苦労を知らない人間に、本当の組織は動かせません!」
修平の言葉に合わせ、源さんが持っていた巨大なハンマーを地面に叩きつけ、凄まじい地響きを起こした。
その衝撃でガルドの周囲の防衛魔法陣が完全に粉砕される。
「とどめです、瑞穂さん!」
「任せろ、『定時退社・一閃!』」
瑞穂の鋭い踏み込みから放たれた一撃が、ガルドの武器を弾き飛ばし、見事に戦闘不能へと追い込んだ。
ガルドは地面に膝をつき、呆然と空を見上げる。
「効率……私の管理のどこが間違っていたというのだ……」
修平は倒れたガルドの近くに歩み寄り、そっと手を差し伸べた。
「数字はあくまで結果の指標であって、目的ではありません。部下と信頼関係を築き、働きやすい環境を作ることから逃げた時点で、あなたの負けですよ」
冷徹なエリート参謀を「泥臭い現場の正論」で論破し、修平たちはついに魔王城の第一関門を突破したのだった。
第13話をお読みいただきありがとうございました!
理詰めで攻めてくる魔王軍の中ボス・ガルドを、修平の「本質的なマネジメント論」で打ち破ったパーティ。
次回からは第3章【ブラック魔王軍との全面戦争】に突入!
第14話は【失踪者七百人の真実】をお届けします。
魔王城の地下で、囚われていた現代人たちの過酷な労働実態を目撃した修平の「労働基準法スピリット」が全開に……!?




