第10話:新メンバーと労働環境改革
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第10話は、捕らわれていた新たな仲間との出会いと、異世界の「労働環境改善」のエピソードです。
過酷な現場で使い潰されかける現地の冒険者たちを前に、修平の「労働基準法スピリット」が火を噴きます!
バルガス子爵からの報酬として食料と拠点の安全を保障された修平たちは、情報収集のために街のギルドを訪れていた。
そこで彼らが目にしたのは、死んだ魚のような目をして床に倒れ込む冒険者たちの姿と、彼らを怒鳴りつけるギルド職員の姿だった。
「おい! まだ薬草採取のノルマが達成できてないぞ! 終わるまで寝るな!」
「ひいぃ……もう三日も寝てないんです……回復魔法のMPも底をついて……」
怯えて震えていたのは、白い聖職者服を着た20代半ばの女性――元ナースのヒーラー・葵だった。
彼女もまた、数日前に現代日本からこの世界へ落ちてきた失踪者の一人だった。
「回復魔法が使えるからって、無給で二十四時間労働なんてあんまりです……!」
葵が涙目で抗議するが、ギルド職員は冷たく言い放つ。
「嫌なら魔物の餌になるか? 異界人はギルドの管理下で働くのがルールだ!」
(……またか)
修平の眉間にしわが寄る。
ただでさえ未知の異世界で恐怖している人間を、弱みにつけ込んでタダ働きさせる。
典型的な「悪徳労働環境」だ。
修平は静かにギルド職員の目の前へ足を進め、ドンと手元の羊皮紙(子爵の直筆署名入り許可証)を叩きつけた。
「な、なんだ貴様は!?」
「バルガス子爵直属のプロジェクト責任者、西岡です。その女性――葵さんは、当プロジェクトの『専属産業医』としてヘッドハンティングいたします」
「はぁ!? 冗談言うな、異界人の労働権利はギルドが握って――」
「子爵閣下への報告書に『ギルドは労働者の過労死を放置し、街の公衆衛生と安全管理を軽視している』と記載してもよろしいですか?」
修平の冷ややかな目と、子爵の紋章が入った書類を目にし、ギルド職員の顔色が一変する。
「う……くっ……! 勝手に連れて行け!」
こうして無事に救出された葵は、修平から差し出された温かいスープを啜りながら、ポロポロと涙をこぼした。
「あ、ありがとうございます……! 本当に死ぬかと思いました……」
「災難でしたね。私は西岡修平。こちらの仲間たちと共に、全員で日本へ帰るための『魔王討伐プロジェクト』を進めています」
修平は葵に向かって優しく微笑み、パーティの新しい体制を説明した。
「我がチームでは『適切な休息』を最優先事項としています。葵さんには救護およびパーティのコンディショニング(健康管理)を担当していただきます。もちろん、無理な連続勤務(過労)は固く禁じます」
「は、はい……! よろしくお願いします……!」
頼もしいヒーラー・葵が加入したことで、パーティの生存率は劇的に向上した。
さらに修平は、ギルドで搾取されていた現地の冒険者たちに対しても「適正な労働時間の管理」と「シフト制の導入」を助言。冒険者たちの疲労は劇的に改善され、彼らは修平を「現場の救世主」と崇めるようになった。
「よし、これで体制はさらに強固になった」
修平はメモ帳のメンバー欄に『葵(ヒーラー/産業医)』と書き加え、ネクタイを締め直した。
「チームの健康管理(労働環境改善)があってこそ、巨大なタスク(魔王討伐)は達成できる。さあ皆さん、次の工程へ進みましょう!」
社畜から「ホワイトな現場監督」へ。
修平の改革は、異世界の労働者たちの心をも変え始めていた。
第10話をお読みいただきありがとうございました!
元ナースのヒーラー・葵を新たな仲間に迎え、チームの体制をさらに強化した修平。
次回、第11話は【進捗報告会】をお届けします!
定期的に行われる「チームの振り返り(KPT)」。
それぞれの課題と成長を確認し、仲間の結束がさらに深まる温かいエピソードです!




