第8話「やっぱり闘うのか」
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どうしてこうなってしまったのだろう、どこで道を間違ったのだろう。俺は目の前にいる黒くてテカテカしたガチムチがガチの表情で睨んでくるため、ビクビクしている。
「貴様、強いな…」
「え、俺すか?そんな事ないと思いますけど…」
「カスが!貴様ではない、そちらの女だ!」
もうここに来てから罵倒しか言われてない気がしてきた。コイツことりんに興味があるのか、だがこいつのガチムチブーメランパンツ姿を直視できず、顔を手で隠している。
「あの、服を着ませんか?こちらの女の子には少し刺激が強いかと…」
「服だと?そんなものを着用すれば私の筋肉が見えないではないか!この筋肉の価値がわからないわけではないだろ?」
いや全然まったく1mmもわからない。なんならムキムキすぎてちょっと引くから俺的にはマイナス。
「せ、先輩あの人服着ましたか?」
「ううん、服を着たくないって」
「えぇぇ」
このままではことりんに悪影響だな、消すか…レロッ。俺はガチムチを狂人アピールで威嚇するために、霊剣を舐めた。
『やめろぉぉぉぉぉぉぉ!』
お、霊剣ちゃん現実世界でも話しかけられるの!?
「貴様、品がないな…。師範代としてこの道場で下品な事をする輩は許せん」
「師範代?……あっ!」
コイツどこかで見たことあると思ったら、初代師範代だ!よく見ると写真のまんまだな。
てかこいついつから成仏してないんだよ…。てかてかお前に下品って言われる俺何!?
「構えろ」
「は?」
「構えろ!女!」
え、ことりんと本当に戦いたいの。絵面的にダメだろそれは。
仕方ねえな、ことりんの好感度あげておくか。
「黙れ筋肉ダルマが…秒で沈めてやるよ」
俺にはできる、この霊剣ちゃんを使えばね!
触れたら一瞬でイカしてやるぜ!
「行くぞオラァ!!筋肉ダルマ!!!」
神龍寺からもらったこの最強の剣を筋肉ダルマ師範代に突き刺してやった。
やったか…?
「ん?何か触れたか?」
バカな…こいつ新陳代謝が良すぎて体から発する湯気に守られてやがる!
自分で言っていてなんだが意味がわからない。
「くだらんな、武器に頼らないといけないとは。お前にはこれで十分だな」
筋肉バカが俺にデコピンのポーズをしてきた。しかし通常のデコピンとは思えない程のタメがあり、指にまで血管が浮き出ていた。指ってそんなに血管出るもんなの?
「ちょ、ま、おま」
バチィンンンンン!!!!!
「ウォアあ、ヒャぁあああふぅ」
俺は道場の壁際まで吹っ飛ばされていた、デコピンは霊剣ちゃんに当たり俺は直接のダメージは防ぐ事ができたが、壁に激突したため痛いぞ。
『痛ぁぁぁ。痛ったいのぅ』
痛みとか感じる系なんだ、霊剣ちゃん。
「ふん、雑魚が。小娘いつまで顔を隠している、構えろ」
「ふ、服を着てください!!空手服とか着ないんですか?おかしいです!」
「服に何の意味がある?筋肉の動き、ねじれ、美しいコントラスト、これを見せない理由がない。お前が服を着ているのは体に自信がないからだ」
い、いや違うだろ。
「さっさと構えろ、でなければ死ぬぞ!」
まずい!前からダルマが!
俺はことりんを抱き抱えながら、横に飛んで回避した。しかし拳が服を掠め服ごとダメージを受けてしまった。くそTシャツにダメージとか需要あんのかよ。
「せ、先輩!!大丈夫ですか」
「う、うん、ダイジョウブダヨ」
「す、すみません。私のせいで、私が弱いから…」
いや、弱いというか相手がキモいというか。
「ふん、くだらんな。なぜその小娘を守る?弱いお前が?小娘は一度殴らんと目が覚めないだろ」
俺は無神経なその言葉を聞いて頭に血が登ってしまったようだ。
こいつは大切な事を何もわかっていない。俺は…
かわいい後輩守るのに理由なんてあるのかよ!
「めっちゃ見た目可愛いくて、ストライクだからだよ!」
「!!」
し、しまった逆だ…
「せ、先輩…!?」
ま、まずい、まずいですよこれ。とんでもないことを…
焦っていると筋肉カス野郎がすごい勢いで近づいてきた。
「軟弱!軟弱!軟弱!軟弱!軟弱!」
「ぐはっ!ごへっ!きえぇ!」
ま、まずい!まじで死ぬぅぅぅ!
バシッ!
「ぬっ!」
こ、ことりん?片手で筋肉リンチ野郎の拳を!?
「いい加減にしてください、さっきから人を軟弱だとか、カスだとか。情けない私を守ってくれた先輩を…それに比べてあなたは一方的に」
「くっ、は、離せ!」
ことりんの目からハイライトが消えていく…何だこの威圧感。
「天誅!天誅!天誅!天誅!天誅!」
「ぬぅ、ぬぅ!ぬぅ!ぬぅぅぅ!」
目にも見えぬパンチ、一撃毎の風圧が半端じゃない!!!
というかやられてる時のこいつの声きも!!
「トドメです…」
ことりんは俺の手から霊剣ちゃんを取り上げて、吹き飛んだ筋肉馬鹿に剣を槍投げのように構えた。
『こ、この力は…何だこれは霊力ではない何かが…』
ビュンンンンンン!
剣が一直線に筋肉キモいに近づいていく、そして湯気を突き破り体を貫通して剣は壁に突き刺さった。
「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅうぅぅ!」
断末魔もキモいが、初代師範代の体が少しずつ薄くなってきた。
「やっと…やっと私を超えてくれるに」
ドンっ!!!!
何かを言おうとした初代師範代に容赦無くトドメをさすことりん。
緩やかに消えて行こうとしたところを容赦無くキャンセルし、即効で成仏(?)させた。
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「し、四宮さん…?」
何だか雰囲気が違う、さっきまでの元気で純真な感じではなく、こうミステリアスな…
「先輩ありがとうございます」
「え、いや、こちらこそ助けて頂いたようで」
「先輩かっこよかったです。私誰かに守られたこと一度もなくて…自分が少し強いと思っていたから」
いや少しじゃなくて、強すぎぃ。
「私強いって何か思い出しました。力や技だけじゃないですよね」
「ま、まあね。心技体とあらゆる要素があるから」
俺は心特化だからな。
「ずっと、空手で全国制覇をしてから物足りなさを感じてました」
全国、まさか神龍寺の言っていた…
「先輩と出会えて嬉しい、そう思いました。一緒の大学でよかった。これからもよろしくお願いしますね」
少しずつ、いつものことりんの表情に戻っていた。少し照れながらも輝く笑顔で。
『わし、壁に刺さっとるのだが…』




