第5話「白い世界―俺もこんな場所に来るようになったか」
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ランニング少女との出会いから3日、あれから俺は走っていなかった。
神龍寺が実家の用事でいないせいでボッチ大学生活、モチベーションが上がらなかったのだ。
つまり神龍寺のせいとなる。しかし少し早く起きて霊剣での電気マッサージは続けていた。
「ああああああああ!強くなったなぁお前も!」
相変わらずこの剣には拒否をされているが、少しずつ拒絶が強くなっている。
しかしマッサージ機と同様、慣れてくるものでむしろ都合が良かった。
「んんんんん!どうした?もっと来いよ!あっああああ、きくぅぅぅぅぅ!」
この剣、会話できてるんじゃないかと思わせるくらいには反応がいい。
拒絶ではなく逆に気を使ってくれているのかもしれないな。
「ふぅ、だいぶすっきりしたな。もうこれなしじゃ生きていけないぜ」
全身を霊剣でほぐし、大学へ向かう準備をする。
数日連絡の無かった神龍寺から連絡が来ていた。なんと明日帰ってきてくれるらしい。
おかえり太もも!明日は太ももをジロジロ見て、神龍寺の反応を見てみるか…
その後も俺は神龍寺の太ももの事ばかり考え、いつの間にか大学に到着していた。習慣っておそろしいね。
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「太もも!」
講義中に寝てしまっていたようだ、何かを叫びながら起床してしまい講師に怒られてしまった。周囲の視線もどことなく痛い。
無事…ではないが講義が終わったところで、恐らく同級生らしき人間に話しかけられた。今日は雪だな。
「あのさ、神龍寺さんの友達?だよね」
当然俺に用事ではないようだ。神龍寺は友達こそいないが、色々優秀な奴だし地味に人気がある。見た目もいいしな…俺と違って。
「うん、まあ」
「神龍寺さんに会いたいって後輩がいてさ、武道館の道場あるでしょ?あそこに午後3時に来てもらうように頼んでくれないかな」
「え、いや今日は…」
「ごめんね、神龍寺さんと仲いいの君しか心当たりないんだ」
「いやだから」
「じゃあお願いします!」
足早にいう事だけ言って立ち去っていった。え、そんなに俺と話すの嫌なの?
てかどうしようマジで神龍寺いないんだけど。俺が行くしかないかぁ。
これで告白とかだったらどうする!?代わりに来た俺って何なのってならない?
「はぁ、めんどうでごわす。あーなんか講義中に変な寝方して首こったなぁ」
約束の時間まで少しあるな、こんな時は…。
カバンの中から霊剣を取り出し、首に当てて長椅子に横になる。
ふぅ、便利だなぁこの剣、なんだか眠く…。
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『おい』
ふぁぁ、まだ眠いよぉ。あと50分…
『起きろ、愚図』
あん?えっ、なんだかあたり一面が真っ白…。
これは、漫画やアニメでみる精神の世界!
まさか、ついに俺もこの領域に!
『私は無視か?』
声のする方を見ると、長く綺麗な白髪に、赤目で色白、白い着物を着ていかにも神聖ですよ的な女性がそこにいた。きっと下着も白だな(願望)
わかるぞ、こいつは間違いなく俺に素質を見出して、この異空間に俺を招待した。恐らく俺は選ばれし者なのだ、ここから俺の人生の歯車は狂いだす…。
『違う』
「違うの?下着の色が?」
『ちっ』
舌打ちをされながら、軽蔑した視線をこちらに向けられた。
てか心の中読めますのぉ!?
『お前は選ばれてなどいない、私は拒否をしているはずだ』
「はい?出会って5秒で拒否ぃ?」
『5秒ではない、数日前に主よりお前に渡されたものだ』
こんな美人を渡された…?テンション上がるなぁ。
というかこれ夢だわ普通に。
『夢であって夢ではない、私は今も貴様の首に枕代わりにさせられている』
首に枕ぁ?まさか…マッサージ剣のことか?
『霊剣だ!』
やはりか…
「あの、ちなみにここは?」
『貴様の矮小な夢の中だ、脳みそが小さいせいかこの世界も狭いな』
心臓に来るわぁ。なんなんいきなりディスられて。
てか神聖な霊剣ってこんなに口悪いの?
「すみません、霊剣殿がどのようなご用件で」
『わからんのか?』
「うん、さっぱり!」
『この私をマッサージ機代わりにするなぁぁぁぁぁ!』
うぉっ!急にヒステリック出さないでくださいよぉ。
どうやらこの霊剣激おこである。
『拒否られてるのがわからんのか!いい加減主に返せよ!』
ん-、充電不要・木製でコンパクト・強さもコードレスなのに文句なし・しかも美人。
返す理由がないなぁ。
「拒否するぅ!」
『何故だ!返せ!返せ!返却しろぉ!』
うるさい奴だ、起きちゃおっかなぁ
『貴様…』
「いいの?起きちゃうけど、君の態度次第だけど」
『くっ…』
「ほら、起きないでくださいご主人様と言ってみ、そしたらもう少し真剣に話を聞いてもいい」
『…起きないで…ください』
「で、続きは?ん?」
『…』
「はよ、はよ、はよ!!」
『言えるかぁ!死ねぇ!』
痛ったぁ!は、ここは。首がビリビリする。
そうか霊剣を首に敷いて寝ていたのか。なんか妙にリアルな夢だったな。
ツンデレ霊剣美少女とか最高すぎるだろ。
さてそろそろ行くか…、約束の時間だしな。俺は誰かも知らない後輩と会うために道場へ向かうのであった。
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道場の扉の前に来て、ふと先日神龍寺と話したことを思い出した。
空手のすごいヤツがいるって話だったか。きっと筋肉マンだろう。
ま、でも後輩だし、上下関係では俺が上だし、最悪逃げるし問題ないだろ。
「うっす」
低い声で扉を開け、中にいる奴らに速攻牽制をかけるが、人は一人しかいなかった。
「あ、急に呼び出してすみません。初めまし…て?」
「やっと見つけましたよ!毎日ランニングしてお探ししておりました!お金返します!」
なんとそこには朝のランニングガールがいた。まさかここから神龍寺無しの状態で面倒ごとに巻き込まれるとは、この時の俺は微塵も考えていなかった。




