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僕の隣にいたのは、たぶん生きていない人  作者: 楽太郎


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第4話「ランニングの出会い」

---


 遊園地の除霊から少し日がたち、4月の中旬となっていた。

 今日は趣向を変えて大学のオープンテラスで食事をしている。除霊バイト代も入ったし、今日はスペシャルランチ定食だ!

 しかし冷静になると普通に日光がうざい、現代では日焼けは光老化がなちゃらかんちゃらなので、ほとんどの生徒が室内で食事をしている。

 そういえば後輩が既に入学して新しい学生生活を送っているはずだが、誰がどれがよくわからないな。

 

「新入生か…」


「後輩が気になるのかい?」


「ああ、一人くらい変わった除霊師とかいるのかなって」


「誰の事をいっているのかな?」


 いつの間にか目の前の椅子に神龍寺が座っていた。

 この子気配を消すの上手すぎぃ!


「特に変わった新入生がいるとは聞いていないね。私のような変わった霊媒師はね」


 神龍寺がジト目になっている。新しい表情だ。トロフィーを獲得できたのではないだろうか。


「そうか、それは残念だな。神龍寺も仲間が欲しかったろ」


 俺はクールにかつ冷静に受け流す。


「今はそこまで仲間は必要としていないかな。一人いれば十分だしね」


「お、おう…」


 そのセリフは心臓にくるぅ!


「そういえば空手で優秀な後輩は入ったようだよ?なんでも高校で全国優勝とか」


「なるほどな、そいつには逆らわないようにしよう」


 きっと相当な筋肉だろう。俺は独断と偏見で屈強なガチムチを想像した。


「まあ僕たちが関わる可能性はほぼないんじゃないかな。現に一人とも関わっていないだろう?」


 僕たちは友達がいない!ついでにサークルにも入っていない!


「そんなことより、これを君に渡しておこうと思って」


 神龍寺から木製の短剣を渡された。

 これって霊剣じゃないか。遊園地ではお世話になりました。


「え、どうした?これって結構大切な物なんじゃないのか」


「遊園地で君が使いこなしているのを見て、君に渡そうと思ったんだ。基本的には穏便に除霊をするから機会は少ないと思うけど、やっぱり戦闘の時は二人のほうが心強いしね」


 ついに俺は戦闘要員としてカウントされるのか。

 しかもこの霊剣、普通に俺を拒んでいる。だって持ってみたらビリビリするもん。

 遊園地では普通に触れたのにな。なんでぇ?


「いや、これ、ビリビリするんだけど」


「そうかビビっときたんだねよかった。じゃあ僕は用事があるから失礼するよ、数日は多分いないと思う」


「え?どっかいくの?」


「ああ、実家にね。おじい様に呼ばれてしまったよ」


 そういえば神龍寺の家って由緒正しい感じだっけ。まあ名前からしてそうか。


「もう大学の外で迎えの車が来ているみたいだ、寂しくなるが待たせるのも忍びないしね。」


「いってらっしゃい、神龍寺」


 そういうと、少し寂しそうに手を振り、神龍寺は去っていった。

 こうして友達が神龍寺しかいない俺の大学ぼっち生活がスタートした。


---


 早朝、俺は早めに起きてジャージに着替えていた。

 いつぞやに神龍寺に言われたが、運動不足なのだ。今日から毎日ランニングするぞい!

 おっと上のジャージを着る前に上半身裸の俺は腰に霊剣を当てた。


「くぅぅぅぅ!効くなぁぁぁ!」


 この霊剣はずっと俺を拒んでビリビリしてくる。しかしそれを逆手に取って電気マッサージとして使用しているのだ!

 寝起きに腰や首に当てることで、凝り固まった体を解している。体が軽くなった感じするな、ランニングの後は足にも使ってみるか。


「よっしゃ!行くぞ!」


 ジャージを着用した俺は賃貸アパートから勢いよく出て、誰もいない道路でクラウチングスタートの態勢になった。


「GO!」


 俺は勢いよく走り始めた。今俺は風を切っている。

 しかし、そんな俺の横を通り過ぎる女の子がいた。


「お疲れ様です!」


 爽やかな挨拶と共に俺を突き放していく。

 なんだぁ、コイツ?お疲れじゃねえよ、疲れてるように見えるってか?俺に喧嘩売ってんのか。

 俺はペースをフルボルテージに変換し、一気にその女の子を抜いた。


「おつかれー!」


 抜き際にあいさつをし返してやった。 

 どうだ…はぁはぁ…世界は…はぁはぁ…広いんだよ…。


「はぁはぁ…かはっ」


 慣れない運動で全力疾走をしたツケが来た。

 俺はたまらず、ちょうど目の前の公園に入り倒れた。

 ばかな、まだ数分だぞ。


「あの、大丈夫ですか!?」


 先ほどの女の子が心配そうに声をかけてくる。


「だい…ひゅー、ひゅー、じょぶ、ひゅー、ひゅー…」

 

 呼吸が風切り音のようになる俺。

 でも少しずつ落ち着いてきて、のどの渇きを覚えた。

 そういえば起きてから何も飲んでいない。


「これ飲んでください!」


 女の子から、ペットボトルを渡されて、俺は勢いよく飲んだ。


「ごくっ、ごくっ!ポカリうまぁ…」


「よかった、何とか大丈夫そうですね」


 この子普通に優しいな。さっきは張り合ってしまってごめんなさい。

 よく見ると肩まで降りた綺麗で真っすぐな黒髪で活発そうな可愛らしい女の子だった。

 見た目からして、歳は近そうだ、年下か?


「あ、ありがとう…えっとポカリのお金、今財布もってなくて…」


「いいですよ!助け合いが大事ですから!」


 ほんまええ子やぁ…こんな女の子に喧嘩うってんのかぁとか思ったの俺!?


「いや…必ず返すよ。この辺をよく走っているの?」


「はい!実は最近近所に住み始めましたので、このあたりを毎日走ってますよ!」


「へぇ、じゃご近所さんか。俺も今日からランニングを始めたんだ、次会ったときにお金返すよ」


「誠実ですね…そういう人私とても好きです!」


 トゥンク、この子は無自覚で…キラキラの笑顔、活発で明るい感じ。

 俺が陰ならこの子は光。俺とは生きている世界が違う…。


「あ、いけない。ノルマを終わらせないと。それではまた!」


 すごいスピードで走り去っていく。いやなんて脚力だよ。

 とりあえずあの子にお金を返すまではランニング続けるか。

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