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出撃の為に

 屋敷の使用人が噂していた兄アダムを後継者候補から外し、姉モニカを代わりに候補に据えるという話の実情は、アダムを後継者候補から外すことはしないが、モニカも候補に加え、2人のうちどちらがふさわしいかを見極める為のものであった。


 モニカは今一つ納得していない部分があるものの、後継者候補である事は意識して過ごしていく事を俺に話してくれた。


 父の決断に俺も多少思う事はあるが、俺は騎士団長になるべく今日もメイル達と訓練にいそしんでいた。


「はっ!おりゃ!たあ!」

「えい!やあ!とう!」


 今日の実戦訓練の相手はメイルだ、相変わらず剣さばきは見事だ。さすがにこれ程の技術は俺にはまだないな。


「お疲れさまでしたジュン様!」

「こちらこそ、いやあさすがだなメイル、剣技ではまだまだかなわないな」

「そんな事はありません、私もうかうかしているとすぐにジュン様に追い抜かれかねませんからね」

「必ずしも一番強い必要はないが、騎士団を束ねるにはある程度強さは必要だからな」


 必ずしも一番強い必要はない。それはラオール家の当主も同じではないか?俺もモニカが正式な後継者なら素直に受け入れられたか、まだアダムは外れていないからな。とはいえ、やはり武を重んじるならば強さも必要なのか?


 うーーーん!ああ!どうすりゃあいいんだ!


 ……何にしても最終的に後継者を決めるのは父上だし、俺もそれに従うしかないからな。そう考えていると嫌な声が聞こえてきた。


「おお!メイル団長!少し良いか?」

「パリア殿?いかがなされましたか?」


 アダムの腰巾着、もとい補佐官のパリアがどういう訳かこの騎士団の訓練所にやって来た。自分が補佐している兄や自分自身がいろいろやらかしておいてよくも俺達の前に顔を出せたな。


「メイル団長、貴殿ら騎士団に魔物討伐の出撃要請をしたい。これはアダム様の命令だ」

「もしやアダム様の指揮下に加わるのですか?アダム様はまだお忙しいはず」

「いや、今回の出撃は貴殿ら騎士団のみで行ってもらおう。場所はここだ、それから」


 そう言ってパリアは地図を広げて今回魔物がいる巣の場所を示すとともに魔物の大まかな数や種族も記してくれていた。


「パリア殿、ここまで調べてくださったのですね、前の出撃の時はほとんど情報を下ろさなかったのに」

「アダム様も我らも貴殿らとの連携はしっかりする必要があると反省したのだ。これは私からのせめてもの誠意だ」

「情報はありがたいですが、これほどの数を騎士団のみで討伐できるかは不安が残りますね全員で出撃すれば屋敷の守りも手薄になりますし」

「心配はいらん、私が雇った兵を貴殿らの指揮下に加えればよい。不安ならば別でや兵を雇って屋敷は守っておく」


 パリアの奴、兄の笠をかぶるようなことはせずに俺達に戦力まで提供してくれるとは、これは信用していいのか?

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