不問とし
アダム本人も行動に問題はあったが、それに輪をかけてパリアやパリアの子供達が後継者であるアダムの威を借りてモニカの侍女であるマリーに対して圧をかけていた事が追及されてさすがにアダムも狼狽してしまい、もはや反論の余地はなかった。
「またモニカやマリーからも聞き取りをしておく、それまでは今しばらく自らの行いを律しておくがよい!」
「はい……」
「パリア、お前もよく言い聞かせておけ、またこのようなことがあればお前もただではすまぬぞ」
「はっ……」
とりあえず今後モニカやマリーからも事情を聴いて、兄に対する処遇を決めるんだな。自業自得とはいえ哀れにすら感じるな。
「さてジュンよ、お前がアダムの指揮下から離れた事だが……」
「はい……」
「今回は不問としよう、結果メイルの部隊の壊滅を防ぎ村も守り切った功績と合わせた事も考慮してな」
「あ、ありがとうございます」
不服そうな表情をアダムがしているが、ひとまず俺としては助かったな、メイルもどことなく安心しているかのような表情だ。
「それでは下がってよいぞ皆の者」
「はっ!」
父に促されて俺達は父の執務室をあとにし、俺とメイルは訓練所に、そしてアダムとパリアはあの方向はアダムの執務室か。
「ジュン様、不問としていただいた、本当に安心しております」
「まあ兄上が結構、問題を生んでいた事と、父上も兄上の指揮が間違っていたと思ったからなんだろうな」
「ジュン様、お助けに来ていただいたことは感謝していますし、村の者もジュン様には感謝しているでしょう。ですがこれだけはお聞きいただきたいのです」
「何だ?」
感謝の気持ちをメイルは俺に伝えるとともに、更に何か言いたい事があるようで少し唇を噛みしめ言い放った。
「今回はゴリオン様の寛大なお気持ちが不問とさせてくださいましたが、ジュン様もアダム様の指揮下から外れるような事は今後は控えていただきたいのです」
「それは俺が処分されるからか?」
「ええ、我らにとってはジュン様は必要なお方、無用な反発で失いたくないのです」
「……兄上はラオール家を継ぐだろうし、そうなれば今日のように父上は兄上のやり方に口はだせないか……そうなれば遠慮なく俺を処罰する。そう言いたいんだな?」
兄アダムに問題はある。だけどそれでも俺はアダムがラオール家を継ぐ。そう信じて疑わなかったが、俺の知らぬところで密かに父がある決意をしていたのだった。そしてその決意はラオール家に新たな波乱を呼ぶ序章に過ぎないのだと。




