地位の脅かし
父ゴリオンに俺達兄弟の間で諍いがあったのではないかと問われアダムは即座に否定するが、自分の後継者順位1位に俺が不満を抱いているのではないかと言い、更にその理由も話し始めた。
「それでアダムよ、気功スキルと属性の合わせを知り、不満を抱いたと申すが、その理由を話せ」
「父上、私がラオール家の後継者としてふさわしいとなったのは決して長男だからというわけではなく、魔力の強さ、そして属性適正が多かったことが理由でしたね」
「うむ、それはラオール家の習わしだからな、今更その話をしてどうしたのだ?」
「その事にジュンが別系統の力を得た事で不満を抱いたのではと私は思っております」
気功スキルと属性の合わせ技、これちょっといちいち言いずらいし、エレメントオーラとでも名付けるか、とりあえずこの名をいいタイミングで発表するとして、このエレメントオーラは確かに魔法とは違う系統の力だけど、これでラオール家の継承順位が上がるなんて俺は思ってはいないけどな。
「その力はメイル団長でさえ防戦一方になる魔物を打ち倒し、訓練所の石を破壊するという事は模擬戦でダンテ副団長をも圧倒した事になる、ジュンが私に対して何かしらの対抗心を抱いてもおかしくはありません」
「どうなのだ?ジュン」
「め、滅相もありません。私のこの気功スキル……いえ、エレメントオーラというスキルと名付けましたが、この技術は魔力を使用するわけではありません。ラオール家をそのような者が継げば民衆並びに王家より不信を抱かれるので、私にそのような心はありません」
「お前がそう思っていても、お前を担ぐものは現れるかもしれん。お前にその者らを突っぱねる事ができるとは思えんがな」
俺を担ぐものが出てくるだって、それはつまり誰かが俺を担いでラオール家の当主を継がせようという事か?騎士のメイルやダンテがそんな事をするわけはないし、他にもラオール家の政務を担当している者はいるし、そいつらか?
「なるほどな、これまでの話でよく分かった。アダム、お前はジュンが自分の地位を脅かすことを恐れている、相違ないか?」
「正直申せば、ただジュン本人というよりも何者かが……」
「そうならぬようにジュンに強く処分を望んだ、自らの行為は棚にあげ、あの時のようにな!」
「あの時⁉まさか父上……」
まさかアダムが俺を自らの地位を脅かす存在と見ていたとは、だけどそれでこれまでの俺が関係ない部分の正当化はされていないし、俺に対して重い処分を望んだのもそういう私情があってか。だけどあの時って?




