判断の誤り
屋敷に帰還すると早速父であるゴリオンに呼び出されて、兄アダムの指揮下を離れた事について問いかけられている俺はメイルが自分達を救おうとした事を主張している言葉を聞き入っていた。
「我らが追い詰められたその時にジュン様が救援に参ってくれました、そのおかげで我が隊は壊滅を免れ、村も救われました、これはまぎれもない事実です」
「メイル団長、今はジュンが貴君らや村を救った事ではなく我が指揮下を離れた事の問題を話しているのだ、そこは分けなければならんだろう!」
「お言葉ですが、アダム様、アダム様ご自身が救援に駆け付けて下さるかもう少し多くの兵を送っていただければ我らが窮地に陥る事はなかったと思います」
「メイル、貴様まで俺を非難するか、父上、思惑は分かりかねますがメイル団長は命令違反のジュンを擁護するばかりか私への非難があります!これを許しておいてよろしいので?」
アダム!俺だけでなく、メイルにまで矛先を向けたか、さすがに兄といえど許しておかないぞ。
「いや待て、アダム、メイル団長の救援の為に兵を送ったのは確かだろうが、どれほど送ったのだ?」
「え、いや、それは今は……」
「重要な事だ、答えよ!」
「恐れながら父上、仮に私自身、あるいは多くの兵を救援に出すと巣のせん滅が遅れ、結局は周囲への被害は免れなかったと判断し、メイル団長には我が隊の1割ほどの兵を救援に出しました」
父上?どことなくだが兄の行いを糾弾しているようにも感じる。これは俺やメイルにとって追い風になるか?
「だが、お前が判断を誤らなければ確実に救えたのはその時点で襲われていた村だ」
「わ、私が判断を誤ったと……」
「ゴリオン様、アダム様は先々を見通してのご判断、誤りとおっしゃるのは酷なのでは?」
「パリア、敵の戦力の見積もりを明らかにアダムは誤っている。その擁護はいささか無理があるのではないか?」
おお、兄の判断が誤っていたと父は思ったのか。そうだな現場にいた俺もそれは感じたからこその命令違反なんだよな。
「だがジュン、少し気になった事がある。お前はアダムの指揮下を命令違反で勝手に離れたと聞いたが、それは本当に勝手に離れたのか?」
「ん?あの父上おっしゃっている意味が分からないのですが……」
「命令違反なのは間違いないと思ってはいるが、お前自身はアダムに対してこの進言をしたかどうかを聞いている」
「兄上にはメイル団長を助けるよう進言しました、ですが何度訴えても聞きいれていただけず、それでやむなく……」
どうやら父は完全に俺の味方というわけでもなさそうだ、一体どうするんだろう?




