納得できず
兄アダムに対して過剰に兵を投入して結局自らに力だけで魔物を討伐している事に納得できない俺はアダムに対して食い下がろうとするが、アダムは今後俺が騎士団長になる事から自分の指揮下に入る事が多くなる事を告げ、その度に反発する事は領内の乱れを生むと、事実上の脅迫めいた発言をし、それに対しメイルが異を唱えた。
「アダム様、今のはジュン様に対する脅しととらえかねられません、それこそアダム様ご自身の不信を生みかねません」
「メイル団長、仕える家の子とはいえジュンは教え子当然で可愛いのは分かる、俺も弟が可愛い気持ちはあるからな」
「え?」
「だが、将来ラオール家を背負うものとして、そういう情は隙を生みかねん、むやみに反発するならばたとえ弟でも警告は必要であろう」
何が弟が可愛いだ、確かに昔は魔力0と鑑定された俺にも気遣いを見せてくれたし、俺の修行を気にかけてもくれた。だが今は継承順位1位というのが、どこか増長を生んでいるような気がする。ただそれだけでなくあのパリアとの関りにもそういった原因がありそうな気がする。
「ジュン、この話はここで終わりだ、我々は魔物を討伐しなければならんし、俺はもう休ませてもらうぞ」
そう言ってアダムは今いる陣を出て、就寝用の陣へと戻っていき、アダムの兵も続々とその場をあとにし、軍議の為の陣の中にいるのはいまや俺達騎士団だけになった。
「メイル、兄上や兄上の兵はもうこの近くにはいないか?」
「まだ周囲の見張りの兵がおりますね、どうしたんですか?」
「それなら俺の陣に来てくれ、やっぱりまださっきの事で気になる事がある」
「そうですか、ではまいります」
一見正論ぽく兄は自分の考えを話しているが、よくよく聞いてみるといくつかかなり勢いで自分の考えを通そうとしている事が見えたので、その事がまだ気になりメイルや他の騎士と兄や兄の兵達に聞かれないよう話をしようと考えたのだ。
俺は自分の就寝用の陣にメイルや他の騎士を入れてさっきの気になる話の続きを始めた。
「とりあえずこの辺りには兄上の兵はいないな」
「ええ、それでジュン様、何かお気になった事でもあるのですか?」
「何かというよりまだ全体的に納得いってない感じかな、兄上も無理やり話を打ち切った感じだし」
「ええ、私もそう思います、アダム様はラオール家最強の兵ではあるのかもしれませんが将としての資質はいささか疑問があります」
魔力の高さや剣の腕から間違いなくラオール家内で1,2を争う実力者ではあるが将としての資質に陰りが見え始めたのだ。




