兄との討論
兄アダムは自身の魔法による魔物のせん滅を戦いのスタイルとしながらもうちもらしに備えて多くの兵を出撃させるよう考えている事を話すが物資や資金を多く無駄にしているのではないかという指摘をメイルから受けると表情がこわばり、俺にも問いかけてきた。
「ジュン、お前も俺のやり方、うちもらしに備えて兵を多く連れて行くのが物資や資金の無駄、そう考えているのか?」
いきなりまるで問い詰めるような聞き方をしてくるな。実際姉モニカは戦費がかさんで困るような話もしていたし、それ自体は事実なんだろうけど、兄の真意を聞く為にもここは俺も正面から問いに答えるか。
「おそれながら、戦には規模に応じて必要な兵数があると俺も習いましたし、話を聞く限り兄上は過剰に兵を投入しているかと」
「ふむ」
「しかも、兄上は魔法でのせん滅をする為、結果として兵の活躍はなく、遠征の為の物資を多く浪費している事もまた事実かと思います」
「それがお前の考えであり疑問か、確かに俺は兵を多く導入して一時的に物資を浪費しているのは事実ではあるな」
いま一時的と言ったのか?つまりこの浪費は一時的なものですぐに浪費ではない。そう言いたいのか?
「お前や父上、モニカは俺のやり方に懐疑的なようだが、俺は領内の脅威を払う為にやっている。領内が安定してくれば兵の動員もさほど必要なくなるからな」
「ですが兄上、魔法によるせん滅も兄上独自のやり方です。兄上ほどの方ならば最低限の兵を用意すれば逃がさずにすむ方法も実行できたはずです」
「俺は万全を期しているだけだ、俺自身も敵の脅威から身を守らねばならないしなそれには多くの兵が必要だ」
「ですが……」
俺はまだ兄の発言に納得できないから食い下がろうとするが、兄は強く一喝してきた。
「くどいぞ!これは俺の、領内を安定化するための策なのだ!」
「兄上……」
「父上はモニカに政務を投げている事も非難しているが、ろくに役割分担もせずに軍事も内政も執り行っている父上のやり方も古いと思うがな」
「兄上……」
今までは父の避難など行っていなかったアダムだったが、事あろうに父のやり方を古いと断じた。
「俺は領主として力がある身、領民を守る為に力を行使しているに過ぎん、モニカには得意事をさせているし問題があるとは思えん」
「……」
「ジュン、お前はこの先騎士団長になるのだろう、ならば今後も俺の指揮下に入ることが多くあるであろうし、あまり俺に反発する事は領内の乱れを生みかねんぞ」
アダム、そんな脅しまでかけてくるなんて。




