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閑話 処分の理由

 サイブ王国ブハン地方領主ゴリオン・ラオールは子息であるジュン・ラオールが騎士団の訓練で訓練所の床を破壊したという申告を受け、処分を下した。


 処分を下し終えると執務室に側近と共に戻り、仕事の続きを再開した。しばらくすると部屋の扉をノックする音と外より何者かの声が聞こえてきた。


「失礼いたします、アダムにございます!父上少しお話よろしいでしょうか?」

「入るがよい」


 ゴリオンに促されて執務室に入室したのはゴリオンの長男であるアダム・ラオールである。アダムは領主の継承権も1位であり、事実上の時期後継者として現在は政務の一部も執り行っているのだ。


「ジュンに処分を下したそうですね」

「少し厳しかったか?」

「逆です!いくらなんでも甘すぎだと思い、抗議に参りました」

「処分が甘いとな、では何故そう思ったか話してみろ」


 アダムはジュンへの処分があまりに甘いのではないかと思い、抗議に来たが、それに対し父より理由の説明を求められて応える。


「聞いた話によると模擬戦で床を破壊したようですね、我が家の騎士団は精強な者達で構成されております、その鍛錬の場を力の誇示で破壊する者が騎士団にふさわしいとは思えません」

「ジュンが騎士団にふさわしくないと?」

「ええ、継承権の低いジュンに役割を与えるのは理解できますが、力を自らを誇示し、味方をも破壊しかねない者は騎士団にふさわしいとは思えません!」

「それだけか?」


 力の誇示が行き過ぎているとアダムは主張するが更なる説明をゴリオンは求めた。


「それだけではありません、子息だからと甘い処分を下しては我がラオール家の威信にも関わります、騎士団の不信を招きかねません」

「なるほど、だがな私はジュンが力の誇示という理由でそのような事に至ったとは思えんのだ」

「は?」

「心なしかジュンが自らの過ちを告白したときに騎士団の者達、特にメイルとダンテは心苦しそうに見えた」


 ゴリオンはジュンの処分が比較的軽い理由を説明するがアダムは理解できていないようであり更に続けた。


「彼らはジュンの処分を望んでいなかったと?」

「そういう事だ、メイルを通してジュンが信を得ていたかもしれんし、ジュンが関わってはいないとは思わんが床の破壊にも別の理由があったのかもしれん」

「そんな曖昧な理由で処分を軽くしたのですか⁉父上!いくら何でも甘すぎなのでは」

「ジュンの行いを非難するのは良いがお前はどうなのだ?聞けば戦果は挙げているが、書類の仕事はモニカに相当投げているそうだな」

「父上、そ、それは互いに役割を果たしているにすぎません、それに父上当主の役割は領民を守る事、私はそれを次期当主として全うしているに過ぎません」

「まあ良い……、だがモニカの負担を少しは軽減するよう努めよ」


 ゴリオンとアダム、それまで上手くいっていた親子関係であったが、ここに来て幾ばくかのすれ違いを見せ始めてきた。

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