兄妹の争い
何とかヴィスタ家の屋敷に無事に到着して母上と姉上との再会を果たすことができた。2人とも俺との再会に安心して抱擁を続けている。
「ああ、良かった……もしかしたらお兄様の兵に襲われているかもと思うと……」
「姉上、大丈夫ですよ、それよりも伝令を送ってくれてありがとうございます、あれがなかったらのこのこ屋敷に行って壊滅させられましたから」
「何にしてもジュンが無事でよかったわ、ゴリオン様だけでなくジュンにまで何かあったら……」
「母上、ジュンは母上を残して逝ったりなどしません、父上も必ずお救いします。ところでダリーとチップは?」
ダリーとチップは俺の小さな弟と妹だが今この応接室にはいない。その事を問うとモニカから返答がある。
「2人とも今は寝ているわ、マリーが寝かしつけてくれたけど、もうそろそろマリーもこっちに来るんじゃないかしら」
「そうですか……あの母上、姉上、再会はジュンも喜ばしいのですが喜んでばかりもいられません」
「ええ、私達はマリーの手引きでとりあえずヴィスタ家まで逃れたけど、肝心の武力に乏しいの」
「おそれながらモニカ様、我ら騎士団がモニカ様のお力になります。現在メイル団長はアダム様に対抗するための兵も集めております、モニカ様がアダム様に対抗する旗頭になっていただければ」
ダンテが騎士団が力になる事、そしてメイル団長が兵を集めている事を説明すると母が悲しそうに声を出す。
「兄妹で争わなくちゃいけないのね、こんな事にする為にあの人はアダムとモニカを後継者候補にしたわけじゃないのに……」
「おそれながらクレア様、先に自らの野心でゴリオン様を拘束し、今はモニカ様の命をも狙っているアダム様はラオール家の敵です。大儀なきアダム様を野放しにはできません」
「分かっているわ、でもアダムも我が子、せめて命だけは……どうにか……」
「母上、母上のお気持ちお察しします。ですが兄上が父上を拘束した以上ラオール家にとっては敵と言うほかないんです。それに兄上の強さは今やラオール家随一、こちらは手心を加える余裕はないのです」
母だってもはやラオール家の敵となったアダムをこのままにしてはいけない事を理解はしているはずだ、でも自分の子同士が争い、しかも場合によっては命を奪わなくてはいけない状況を考慮したら痛ましいと言う他ないな。だけど、それでも俺達はアダム達に負ける事は許されない。
「ダンテ、とりあえずまずは守りを固めよう、その上で情報を得ていこう」
「分かりました」
まず屋敷の守りを固めて、情報収集だ。




