閑話 拘束された当主
ジュンがヴィスタ家の屋敷にて姉であるモニカと合流を果たしているころ、アダムはラオール家の屋敷やその周辺の制圧を粛々と行っていた。一方でラオール家当主でジュン達の父親であるゴリオンはとある一室で兵達に監視されていた。
身柄そのものは拘束されたものの、縄や紐などで縛りつけられてはいなく、部屋の中ならば歩き回れていたのだ。
「おい!アダムは今どうしている?アダムと話をさせろ!」
「アダム様はただいま、屋敷周辺の混乱を鎮めるべく出撃されております、今しばらくお待ちを」
「混乱だと?その混乱もアダムやお前達が起こしたではないか」
「……」
現在アダムは完全に屋敷を掌握すべく異変を感じて動いた兵の鎮圧にあたっていた。兵の鎮圧をして屋敷と周辺を完全制圧するのが目的なのだ。
軟禁と言える扱いを受けているゴリオンは早々にアダムと話させるよう兵に要求するが、なかなか通らず、苛立ちと困惑を感じていた。
そしてそんなゴリオンの元にアダムと補佐官であるパリアが現れたのだ。
「ご気分はいかがですか父上?」
「……最悪だ……アダムよ何故私を拘束し、このように軟禁するか説明してもらおうか」
「ならば父上、すぐに父上は隠居していただき、私に当主の座を譲っていただきましょう」
「何だと⁉それがお前の要求か!!」
アダムは父親へ隠居並びに自分に当主の座を譲れと要求するが、さすがにゴリオンもそう簡単に首を縦には振らなかった。
「なるほどな、自らの失態を棚に上げ、私に対して武力にて恫喝という事か……だがアダムよそのような形での当主の簒奪はサイブ王国が許しはせぬぞ!」
「父上が心配する事ではありません、私は古きラオール家を新たなるラオール家に生まれ変わらせますから」
「新しいラオール家?お前は一体何を考えている?」
「すぐにご返答はいただけないようなので、私はこれにて失礼します、当主代理としてしなければならない事が多いですから」
そう言って、アダムは部屋から立ち去り、アダムが立ち去った直後にパリアがゴリオンに対して声をかける。
「ゴリオン様、あなたはすばらしい領主であり主君でした、だが娘可愛さにアダム様の正当性を薄めたのは看過できませんな」
「そうかパリア、お前がアダムを焚きつけたのか、何と不埒な」
「不埒?私は正当性のあるアダム様こそ当主にふさわしいと思ったまでです」
「その正当性を自ら薄めたのは他でもないアダムだ!アダムもお前も私欲で動いているに過ぎん!」
軟禁状態の続くゴリオン!彼の運命は?




