10話 最後の戦い 6
「そっかー、ちゃんとお別れしたかったなー」
高畠を去る日、高畠駅太陽館の待合室でシンハからのお守りを受け取りながら千代ちんはそうつぶやいた。
「何かあったら切戸の文殊を頼れだってさ」
「何かって……ここより刺激的な何かなんてないでしょうけどね」
そういって駅社内をぐるりと見渡す千代ちん。
『間も無く一番線に上り列車、つばさ東京行きが参ります……』
「千代、行くよ」
千代ちんのお母さんが声をかける。
千代ちんは髪を止めていたボンボンをはずしてひとつわたしに握らせた。
「趣味合わないかもしれないけどさ、つけてくんないかな? 一緒に戦ってるって気持ちにさせて欲しいんだ……」
わたしはすぐにそのゴムを使って後ろ髪を束ねた。
それを見て千代ちんがニッと笑う。と、今度は少しはなれたところへ居る赤木君の下へと駆け寄り、ゴムを手渡すと一言二言交わして胸をドッと小突いた。
「千代―!」
千代ちんのお母さんが声を上げる。千代ちんはおどけながら改札をくぐると振り向いて、
「がんばってねー!」
と叫んで新幹線へと乗り込んだ。
つばさのドアが閉まりゆっくりと動き出し行ってしまう。
上り列車なので降りる客は無く、改札の自動ドアは閉まったままだ。
千代ちんが居ない。
いまさらながらその事実が現実感を帯びてのしかかってきた。
本当に……だいじょうぶなんだろうか……
胸がぎゅうっと締め付けられるような……
おなかがきゅうっと押さえつけられるような……
そんな時
「なぁ……」
と、赤木君がおずおずと不安そうに声をかけてきた。
「これ」
と開いた手には千代ちんのヘアゴム。
「友情の証だって渡されたんだけど……自分は別として、男女の友情は無いと思ってる、って言ってったんだが……どういう意味なんだ?」
「え?」
「本当はやっぱりオレなんかのこと……」
「いやいやいや! 千代ちんが言いたかったのはそういうことじゃなくて!」
「じゃ、どういう?」
「えーとそれは……」
千代ちんめ、最後にとんでもない置き土産を残していくなんて!
半分タイトル詐欺
もうちょっとだけ続くんじゃい




