表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/84

8話 暴走のはて 5

「やっと自販機だ……なんか飲むもの……」

 千代ちんが商店の自販機に向かって駆け出した。

 スポーツドリンクを買って一息で飲み干す。

 続けてさらに二本のスポーツドリンクのボタンを押し、

「はい、泣いた分の水分補給しないと」

と、言いながらそのうちの一本をわたしにくれた。

「そんな……」

 とは言ったものの、涙は自然とあふれてくる。

「泣くのよ泣くの、涙が枯れるまで泣くの。古い歌じゃないけどさ、泣いて泣いて吹っ切るしかないじゃない、こんな失恋はさ……」

「そんな、失恋なんて……そんなんじゃないわ……」

「なんにせよ……情がうつっちゃったってのは……いろいろと切ないッハ」

 シンハがわたしを見上げながらつぶやいた。

 おそらく自分と岩井戸の関係になぞらえたのだろう、彼の目もまた潤んでいるように見えた。

「でもシンハの文珠を全部集めるには赤木君を浄化させないといけないんでしょ」

「そうだッハ。文珠を集めること……それがぼくらの一番の目的だということを忘れてはいけないッハ」

 千代ちんの問いにシンハが答える。

「たとえ赤木が本懐を遂げた後であっても、いや、赤木が本懐を遂げればこそ……ダデーナーを元の文珠に戻せるのはピオニィのファウンテンだけになってしまうッハ……」

「それって……」

 千代ちんが言葉を詰まらせる。

 わたしは街へと向かって歩き出した。

 黙って突っ立っているといろいろとつまらないことを考えてしまうような気がした。

 二人も言葉無く後をついてくる。

 沈みゆく夕日がやたらとまぶしかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ