8話 暴走のはて 5
「やっと自販機だ……なんか飲むもの……」
千代ちんが商店の自販機に向かって駆け出した。
スポーツドリンクを買って一息で飲み干す。
続けてさらに二本のスポーツドリンクのボタンを押し、
「はい、泣いた分の水分補給しないと」
と、言いながらそのうちの一本をわたしにくれた。
「そんな……」
とは言ったものの、涙は自然とあふれてくる。
「泣くのよ泣くの、涙が枯れるまで泣くの。古い歌じゃないけどさ、泣いて泣いて吹っ切るしかないじゃない、こんな失恋はさ……」
「そんな、失恋なんて……そんなんじゃないわ……」
「なんにせよ……情がうつっちゃったってのは……いろいろと切ないッハ」
シンハがわたしを見上げながらつぶやいた。
おそらく自分と岩井戸の関係になぞらえたのだろう、彼の目もまた潤んでいるように見えた。
「でもシンハの文珠を全部集めるには赤木君を浄化させないといけないんでしょ」
「そうだッハ。文珠を集めること……それがぼくらの一番の目的だということを忘れてはいけないッハ」
千代ちんの問いにシンハが答える。
「たとえ赤木が本懐を遂げた後であっても、いや、赤木が本懐を遂げればこそ……ダデーナーを元の文珠に戻せるのはピオニィのファウンテンだけになってしまうッハ……」
「それって……」
千代ちんが言葉を詰まらせる。
わたしは街へと向かって歩き出した。
黙って突っ立っているといろいろとつまらないことを考えてしまうような気がした。
二人も言葉無く後をついてくる。
沈みゆく夕日がやたらとまぶしかった。




