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君と願いを紡ぐ街  作者: うさぎさん⭐︎


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8話 想い人


 雪に染まる夕刻。

 一人の女の子が、街の外れの、寂れた稲荷神社にやってくる。

 賽銭を箱に入れ、二礼二拍手一礼した。

「神様。お稲荷様。 

 彼女のいる男の子を好きになってしまいました。

 どうか、彼と仲良くなれますように」

 木の葉が舞い、狐の耳と尻尾の生えた和服の男の子が現れる。

「OK! お前の願いに、協力するぜ!」


 花乃《かの》は目を瞬かせた。

(あれ、冬牙くんにそっくり?)

「どうした?」

「な、なんでもないです!」

「で、好きなヤツってどんな?」

「明るくって、かっこよくて。、でも笑うとかわいくて、王子様みたいな人です」

「ふーん。で、彼女ってのは、もうそいつとつきあって長いのか?」

「いえ、最近だと思います」

「へえ〜〜」

 冬牙は腕組む。

「もう、諦めるべきでしょうか?」

「まさか。奪っちゃえよ!」

「ええ〜〜!」

「おまえ、かわいいから大丈夫!」

 冬牙は、ウインクする。

「そ、そうでしょうか?」

「いいか、花乃。男ってのは、単純だ。

 まず、見た目を変れば、ドキッとするはずだ」

「み、見た目! が、がんばります」

「それから、話しかける! 

 話しかけられて悪い気はしない。

 笑顔があれば、尚よし」

「わかりました! ありがとうございました」

 花乃は去って行った。

 冬牙は悦に浸っていた。

「オレって、天才!」


 翌日。

 花乃は、髪につけた、買ったばかりのかわいいヘアピンをひと撫でし、教室に入った。

(いざ、勝負!)

 花乃は、男の子たちが笑う窓辺に行くと、

「お、おはよう!」

 笑顔でそう言った。

 冬牙と、その周りにいた男子が、花乃を見た。

(あれ? 花乃?)

 不思議そうに、冬牙が首を傾げる。

「と、冬牙くん。もう、学校慣れた?」

「あー? うん」

 気を利かせて、他の男子たちが離れていく。

「あれ? その髪飾り」

(昨日はなかったな?)

 花乃に似合う、ピンクの石のついたヘアピンだった。

「かわいいな!」

 花乃が真っ赤になった。


 冬牙は、ふと、鈴がこちらを見ているのに気づく。

「鈴!」

 嬉しくなって、冬牙は鈴の席に飛んでいく。

「どうした? オレのこと見て?」

「し、知らない!」

「え……」

 鈴は、席を立ち、廊下に向かう。

「ま、待てよ! 鈴! なに怒ってるんだ?」


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