9話 目撃
鈴は、焦っていた。
最近、冬牙と花乃が仲良く見える。
実際、話しているところを何度か見たし、花乃はなぜか、どんどん綺麗になる。
髪も切ったみたいし、制服のリボンの結び方もおしゃれになったし、プリーツスカートの長さまで変わって変わっている。
男子の、彼女を見る目線も変わったようだ。
花乃をよいという男子も増えた。
(やばいかも?)
鈴は、その日の放課後、勇気を出して冬牙に言った。
「冬牙くん、一緒に帰らない?」
だが──。
「先に帰れ」
そういわれてしまった。
鈴の顔が暗くなる。
鈴は、いつもと違う道にいた。学校から気の赴くままに歩いてしまった。
「寒っ」
帰ろうとしたときだった。
冬牙を見かけた。
いつもと違う顔をている。とても、真剣な眼差しだ。
思わず、追いかけていた。
小さな稲荷神社に、冬牙は入っていく。
鈴は、躊躇したが、後をついて行った。
「……鈴、なんのようだ」
見ると、狐の耳と尻尾の姿の冬牙が、少し憮然とこちらを見ている。
「冬牙くんこそ、ここでなにしてるの?」
「帰れと言ったはずだが」
「なにか、 私に隠してる?」
「隠してない」
「うそ」
「……言ってないだけ」
鈴は、ゆっくり言った。
「話して欲しいよ。だって……私たち、つきあってるんでしょ?」
「え……そうなのか?」
「なによ! あんたが先にそういったんでしょ」
「いや……嬉しくて」
冬牙の顔がにやけ──狐の耳まで赤くなっている。
「あのな、オレは……ここで修行してるんだ」
冬牙から説明され、鈴は呟いた。
「そうだったの」
「ごめん、黙ってって。心配かけたくなかったから」
石段に腰かけて、二人は話した。
「私も、冬牙くんの力になりたい」
「え?」
鈴はまっすぐな瞳で、冬牙を見た。
「私にも協力させて」




