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君と願いを紡ぐ街  作者: うさぎさん⭐︎


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2話 恩返し


「すまなかった」

 耳と──尻尾まで生えた男の子が、目の前にいた。

 鈴は、なぜかとてもドキドキしていた。

「オレは、冬牙《とうが》。

 君に助けられた、狐──妖狐だ」

 男の子は、鈴と同い年くらい、中学生くらいに見える。

「狐?」

 確かに、耳や尻尾は狐のそれだったが、あの時のかわいい狐とは似ても似つかない。

「君に恩返しがしたくて、君の同級生に化けてきた。 

 でも……なんつうか、君があまりにかわいくて、抑えられなくて」

「え……。か、かわいい?」

「一目惚れなんだ」

 冬牙は恥ずかしそうに、頬を掻いた。

「え……」

「ぎゅーって、もういちど、したい」

 鈴を見つめて、そういった。

「や、なに言って……」

「鈴、感謝している。

 だめか?」 

 なにも言えずにいると、冬牙は気落ちしたのか、下を向いた。

 耳と尻尾が、力なく垂れ下がる。

「手を握るのは?」

「え」

「鈴が嫌なら、しない」

 真剣な目を向けられた。

 鈴は、なぜか抗えなかった。

「……いいよ」

 真っ赤になって、言った。

「手、くらいなら……」

「鈴!」

 冬牙は、すぐに鈴の手を取った。

 電流が走ったみたいだった。

 鈴は、心臓が早鐘になったようなのに、甘い甘い気持ちになる。

「冬牙……くん」

「鈴。会えて嬉しい。

 抱きしめるのは、だめ?」

「だ、だめ……」

「そっか」

 冬牙は、鈴の手にキスすると、立ち上がった。

「困らせて、ごめん。

 助けてくれて、ありがとう。

 じゃあな」

 そういうと、冬牙は行ってしまう。

「あ……!」 

 鈴は急に悲しくなった。

 布団の上で、冬牙の温もりの残る手を、胸の方へ引き寄せる。

「冬牙くん……」

 起き上がると、玄関へ走った。

 しかし、そこにはもう、誰もいなかった。

 


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