表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】あの子は剣聖!! この子はエルフ!? そしてオレは操縦士-パイロット-!!!  作者: PRN
9章2節 あの子は……心無人? この子はサイコパス!? そしてオレはモテてる?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

188/656

『※イラスト有り』188話 されば3匹が駆る

聖女処刑へのカウントダウン


贖うために

夜に溶け込む黒3つ


希望を信じて

世を忍ぶ影3つ


操縦士

ゾンビ

少年?

 窓から聞こえる音。樽に注がれたエールをぐびりぐびりと喉に通す。

 美しき民草も美麗な兵もが一緒くたになって、労働を終えた喜び――仮面を被った偽りの平和を甘受する。生の日常は、死を思わぬかぎり文字通り永遠につづく。

 闇のなか。耳を澄ませば、屋内から聖女処刑の話題が飛び交っている。平穏であるがゆえに、飛び込んできた新鮮なニュース(つまみ)は甘露だ。それが同種だとして、敵だと認識した相手であれば、なお酒がうまいだろう。

 覇道の呪いによって、他種族を忌み嫌う民たち。それを平等たらしめん唄うテレーレ・フォアウト・ティールを、聖女と崇めるものはもはや皆無といえよう。

 聖女システムにとらわれた少女は、死にゆく未来で記憶を失っても再び生まれ落とされる。今度は民たちに愛されずに。


「……指輪のせいで転移できなかったらやばかった」


 抜き足差し足。肌のアウトラインを透かすほどぺったりと貼りついたα型の試作品のパイロットスーツは、黒い。手首足首まで夜に溶け込むほどに黒い。

 超過技術(オーバーテクノロジー)である流動生体繊維は、垢を食べて体を清潔にたもってくれる。だから明人は、ここ3日ほど風呂に入っていない。つまり頭は不潔のまま。もはや頭皮は皮脂というより動物性の油を被ったかの如くぬめりを帯びて毛束を作っていた。

 そんな不潔な無頼漢につづく小さな影がひとつ。

 ちょこちょこと独楽鼠(こまねずみ)のように歩を刻みつつ姿勢を低くとる。

 黒髪と紺の衣装は、夜闇によく紛れる。

 前に習うようクロトは、路地裏の壁に背を貼りつけた。


「そんなことってあるんですか?」


「わからない。でも支援魔法は効かなかった」


「へー、そうなんですねぇ」


 にじりにじり。慎重な足どりで背を汚す。

 がに股になっていけばスカートもまた開いて閉じる。

 ニーソックスに包まれた白枝の如き足が闇に浮かぶ。たとえ胸が元に戻ったとして化粧が栄えた顔は、当たり前に愛らしい。


 夜ふけにも神の御業の蒼月は、ふくふくと大陸を眺める。割れることのない空から優しくも冴えた蒼が聖なる都を見下ろす。

 長きに渡る物語であれ創造神は、飽きもしない。それはずっとはじまりから終わりの見えない厚い物語。手がけた種族が織りなす白と黒の物語。ただそっとなるがままに、ときの流るるがままに。

 しかし世界を見守る創造神にツバを吐きかけるような行動をとる者がここにいた。

 こそこそと蒼の届かない路地裏の影に潜り込む。転移魔法陣より這いでたドブネズミは、夜を駆る。

 等間隔の並木を隠れ蓑にして明人は、注意深く周囲を見やる。


「……」


 隠密行動になれているはずもないためいささかぎこちない。

 映像や本で見たスパイを意識してこそこそと。なにせ国家に波乱を呼び起こそうとする者は、しょせん操縦士(パイロット)

 愛機がないならただの人間。そんな愛機も、きっと時が満ちるのを顔を丸くして待ちわびていることだろう。


「っ……!」


 後続にハンドサインで静止を指示する。

 路地裏の影がひくりと蠢いて、止まった。

 松明をもった兵士がひとり。それでも紅に揺らぐ焔は、離れていても見えやすい。

 顔を路地へ引っ込めた明人も、肺を止めて気配を殺す。敵が去るのを待つ。

 ちゃらちゃらと鉄片の当たる音が近づいてくる。

 兵士の着たラメラーアーマーよくにた鎧は、精巧であれどメンテナンスの容易な技術だった。

 それこそが敵が強大である証でもある。平和の形成による文化の発展。荒れごとのないエーテル族だからといって、決して遊んでいるわけではない。技術開発や研究など、もろもろが他種族以上に進歩している。まともにぶつかりあえば、類を見ないほどの出血を連合軍は余儀なくされるだろう。


「…………」


 音階はそのままに。敵の足音がちょうど明人の真裏で止まった。

 敵を背に木を隔て、信じる。


「……」


 聖女が未来を託す指輪のことも、奇怪なひらめきという薄い特性をもつヒュームのことも。今できることは、たったのそれだけ。

 動くときはすべてを終わらせるとき。今はただじっと耐えて忍ぶ。

 舞台に上がる演者たちは、この都で虐げられ続けている者たち。それらが華麗に踊る舞台を明人は、整える。

 すると研ぎ澄まされた聴覚に、腑抜けた声が聞こえてきた。


「ふぁぁぁ……だりぃ。まったく、聖女が処刑されるまで夜間も警戒体制とはな。グラーグン様も注意深いお方だ」


 すると願いが届いたわけではないだろうに、足音が遠ざかっていく。


「……ふぅぅ」


 冷えた胸板からゆっくりと空気を吐き出す。

 酸素を供給できないことよりも肺が動いていないほうが苦しさを覚えるというもの。

 ヒュームが表で見つかれば、もし逃げ切れたとしても捜査の手が奴隷街にまで至るだろう。そうなればたとえ腐敗した下水のアジトでもきっと発見されてしまう。

 兵士のこぼした愚痴のように、聖女処刑のセンシティブな時期で敵の親玉が気を抜くはずがない。

 だからこそレジスタンスは、グラーグンがヒュームを捕縛して帰還した今宵に賭けた。

 それは帰還の前ならば気づかれる、ゆっくりしていては聖女処刑までに間に合わない。まさに綱渡りの賭け。もうすでにテレーレの余命のカウントダウンは、はじまっている。

 小さいリーダーは、こう言った。


『せーだいな帰還パレードだったらしいんだーな。だから今夜はちょっとだけ手薄だと思うんだ-』


 甲高くも癖のある声色。それでも口調は男臭い。

 そんなドワーフのメス、レジスタンスのリーダーによって練りに練られた計画は、希望そのものだった。

 足りなかったのは、表に行くための方法だけ。しかしそれもフィナセスが聖都側に転移魔法陣を描くことで瞬く間に解消された。


「……。…………。…………」


 もう一度周囲に注意をうながした明人は、異常がないことを確認して、後続にハンドサインを送る。

 するとふたつ分の影が、のこのこと姿を現した。

 可愛い少年の後にもうひとり。黒のベストにノリの入った黒いパンツ。エレガントかつリーガルなウェイターがいた。


「危なかったですねぇ、けっこうヒヤヒヤでしたよ。まぁ僕のからだは死んでるからずっとヒヤヒヤしてるんですけどね」


 人当たりのよいニコニコの笑みで、終焉なき腐肉食いの腐肉食いのほう、ハリム・E・フォルセト・ジャールは、軽口を言う。

 それをクロトは、小声で返した。


「冗談になってませんし笑えませんからね?」


「あははは、ゾンビジョークってやつですよ」


「はぁ……」


 ちょこんと肩を落として胸のリボンが、はたと揺らぐ。

 たとえ奮い立ったとて顔だけは、少女のように可愛いまま。細い肢体は頼りない。

 1人とふたりの男たちの指に光る模造品は、体内マナを吸い尽くす。

 人間と魔法の使えないヒュームがふたり。現実を重く受け止めた明人は、そぞろになった構えを引き締めなおした。


「ほら、バカゾンビ。冗談言ってないでさっさと行くぞ」


「……フニーキさんは僕より冷たいんじゃないですかねぇ?」


 エーテル族の日常に溶けいったのは、揃いに揃った黒髪が3つ。

 歩調は小刻みに、静寂を好む。向かう先は、処刑塔の建設現場である広場だった。

 ハリムの着いてきた理由は、聖女を救わんと鼓舞する明人たちと少し異なる。

 すべては妹のため。魂の抜け殻となって世界に居座りつづける妹の肉体を殺すため。レジスタンスとして行動を共にする理由も妹準拠となっている。

 目的地には、削られても弾かれても体が戻ってしまう謎を明らかにする方法があるかもしれない、と。

 視界に広がる城郭から伸びたメインストリートは、真っ直ぐ都の中央を城まで貫く。

 手入れの行き届いた色鮮やかな花壇に、左右を飾る様々な店。いつかきたときのまま、まるで時が止まっているかのよう。


「……変わらないな。ここは……」


 ぼそり。大陸の戦乱を鎮めた明人だからこそそんな感想をもつことができる。

 この街だけはずっと変わらない。変わらないままだからこそ変えなくてはならない。

 しかしあのときとは違って街は、火を落としたかの如くしんみりとしていた。中心を越えたふくよかな月は、星の海を静かに下る。

 メインストリートを稲妻のように右へ左へ。まるで布を縫うように黒の男たちは、影に忍ぶ。

 延々と城までつづく石畳の道は、視界が通りやすい。つまり遠間から警らがやってきてもわかりやすい。逆を言えば、気を抜いた瞬間に見つかる。

 ときおり兵士が横を通るも紙一重で視線をかわしていく。全員が確固たる決意によって突き動かされていた。


「……しょうがない」


 広場の目の前。丁度最後の建物の影でいったん明人の足が止まった。

 後ろからついてきているふたりの息が荒々しい。距離にして1kmほどの隠密行動。中腰で走ると普段以上に疲労のたまりが格段に早い。


「はあ……ちょっと休憩を、提案してっ、いいですかね?」


 明人の心を代弁をするように。ハリムは、血色の欠片もない真っ白な額を袖で拭う。

 ベストを羽織った肩が激しく上下に振れる。

 ゴムのような死んだ色をした肌が汗でびしょびしょになっていた。


「ぼ、ぼくは……はぁ……まだ……! いけます……!」


 その横でクロトも膝小僧に手を当てて、頭を垂らす。

 やる気の割にハリム以上に疲れを見せ、呼吸するたび髪から汗が滴り落ちた。

 当然明人も肯定の意を示す。


「少し休もうか」


 満身創痍を連れていったところで(ろく)なことにはならない。身の丈に合った仕事を降るのも上司の役目。

 安堵の表情を浮かべたふたりは、ずるずると壁に背中を預けて、均整のとれた優雅な石畳にへたり込んだ。


「はぁっ、はぁっ……! あ、ありがとうございます……」


「か、帰りのこと考えると……頭が痛くなってきますね。実際にはならないですけど」


 風音とふたり分のかすれた吐息だけが響いて夜闇に消えていく。

 明人も目的地を目でとらえながら、建物と建物の狭間の影にどっかり座り込む。

 つつがない秋の乾いた風が裏路地を吹き抜ける。湿った頬をなでてひんやりとした冷を運んでくれた。

 堂々たる門を前にした円形の広場に、しとしとと耳心地の良い音が鳴り響く。六角形の噴水は、絶え間なくしぶいて月明かりにきらめめく。

 汗だくで息を整えていたクロトは、火照った指でそれを差す。


「あ、あのフニーキさん。水を飲んできてもいいですか?」


 少女の如き輪郭が辛そうに歪む。

 男だとわかっていてもはだけられた紺のブラウスからちらりと見せる薄い胸元が、夜でも眩しい。

 広場に敵どころか生物の気配はない。あるのは噴水と、グラーグンが聖女の首を跳ねるためにこちしらえた処刑塔だけ。イベントを前に整理されたと考えるのが妥当なところ。

 目的地である鐘のある教会は、すでに見えている。問題があるとするならば、そこに常駐している兵士がひとりいることくらい。


「んー……そうだなぁ」


「お、お願いします。喉がカラカラで……」


 瞳を潤ませたクロトの懇願(こんがん)だった。

 しばし考えるふりをした明人は、閃いた様相を振る舞い、音を立てずに手を打った。


「あーそうだー。いいことを思いついたぞー」


 ぱちり。レザーベルトに繋がった腰の合成皮革素材のポーチから薬瓶をとりだす。

 なかには液体、ピンク色をしたオシャレな色合いのドリンクがなみなみと詰まっている。


「ホラー、こんなときのために水分補給飲料もってきてオイタンダー」


 それを渡してやるとクロトの目が、ぱぁっと星のように輝いた。


「あ、ありがとうございますっ。でも……いいんですか? これ、なんか高そうな?」


「イイヨイインダヨー。飲み物ってのは、飲まれるためにあるんダカラサー」


 そう言って明人は、暖かい笑みを作って、しっしと手を振る。

 そんな優しさあふれる兄と弟のような光景を前にしたハリムは、目を閉じて感情の読めない顔をしていた。

 こくりこくり。白細い喉を鳴らしてクロトは、薬瓶の中身をうまそうに、一息で飲み干す。


「ぷはぁ、美味しかったですっ」


「そうか、よかったなっ。ははっ、本当によかったのかなっ?」


 明人は今回に限って嘘をついていない。

 言葉の意は、受けとる相手側の責任である。


「ところでこれ、なんていう飲み物なんですか? 甘くてクリーミーで、女の子が好きそうな味でしたけど」


 あどけない顔を傾けたクロトは、薬瓶に鼻を近づけてすんすんと匂いを嗅いだ。


「いい匂いっ。できればサナとルナにも飲ませてあげたいなぁ、なんてっ。ふふっ、冗談です」


 そう言って肩をすくめると、濡れた前髪がさらりと揺らぐ。

 だから明人は、こう答える。


「あのふたりには必要ないよ。元から大きいし」


 もはや手中に収めた。

 汚れなき友だち思いの無垢な少年に、闇と影に彩られた邪悪な笑みが向けられる。


「え? おおき――んむぅ!?」


 即座にそのグロスの塗られた口を手で塞ぐ。

 次の瞬間クロトは理解しただろう。自分が一服盛られたことに。

 ブラウスの胸部がむくむくとせり上がる。はちきれんばかりの白い豊かな肉がまるで地球の月のように膨らんでいく。


「んむっ、んむむむぅっ!」


「騒ぐな、暴れるな。性転換のほうじゃなくてよかったと思ってくれ」


 明人が飲ませたのは、つい数刻ほど前に効力をなくした豊胸薬。

 

 追い豊胸薬。

 

 それを聞いたクロトは、目に涙を浮かべてますます激しく暴れだした。


「むぐぅっ!? むぐむぐぐぅ!」


 じたばた。その小さく貧弱な肉体で暴れようとも日常的に鍛えている明人の力には抗えきれず。

 もはや足は、地面から離れて空を蹴るばかり。中途半端に開いたブラウスからは、こぼれそうなほど肉厚のそれが一緒になって躍動する。


「………………」


 そんな暴漢と豊満を聞くハリムは、先ほどと変わらず目を閉じたまま黙す。

 助けないし、止めない。まるでこの残酷な世界を閉じるかのように、嵐が過ぎ去るのを待つかのように。

 ゾンビはただ佇むだけだった。



○○○○○

1種族に1匹のL (o) L (i) 枠となります

LLロリクラスは、完全個人的な趣味なので絵師様が変わることもあります

あと、脱がせます

R指定なのでTwitterのほうにあげたりします


審判の天使

エルエル・ヴァルハラ

挿絵(By みてみん)

身長:142cm 体重:0kg B92 W58 H68

年齢:乙女りょうせいの秘密

性別:元男性よりの両性(明人にハメられて女性よりの両性となる

種族:天使

能力:審判魔法

   聖魔法

   Unknown

趣味:のんびり日向ぼっこ

好き:笑顔 

   創造神

   平和

嫌い:暴力

   不敬

   不誠実


※注釈:意外とバカではない

    意外とバカでもある

    意外と偉い


出会いの一コマのSS

……………


「か、かじょうに、ひっく……てんかいのたみが、うぅぅ……ちじょうにせっしょくしちゃ、ダメですのよぉ……」


「因果応報だろ!? オマエらが神より賜りし宝物アーティファクトなんぞをばら撒いたことが原因だろうがっ!」


「そ、それは……! ぐすっ、ワタクシたちは関係ないですのよぉ!」


「うるせぇ! 男なら言い訳するなッ!」


「わあああん! いたい! いたいですのよおお!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ