終章~裁判~後日
これは幾つかの選択肢の果てに在る世界の一筋だろう。
一筋。いや道だろう。
この景色か。違う映像は絶叫と絶望と破滅が合わさった淡く悪辣な未来。
その先には世界を破滅。違う1つの次元を消し去る程の憎悪が世界を呑んでいく。そう呑んでいく。呑み込んでいくではなく呑んでいく。際限なく他を苛むように蹂躙し呑んで消していくという現象すらない終わりを見ていた。
何かが笑っていた。笑いの光景を別の時に見ていたが、流れてくる怨嗟は狂わせるようである。
しかしその自身は狂ったように微笑んでいた。
その世界は終焉を迎えて消えていった。
見える前で着々と造られていく装置。
周辺には高い壁が築かれていく。
道を海を空を遮るための高い壁が築かれてその頂上はいずれ見えなくなるだろう。
海上では幾つもの船が停泊していた。
目的は。
周辺は外壁に覆われ一般は見えないようにされていた。
内側では急速に出来上がっていく装置。
防御壁と呼称される建設中の壁の上には全てを束ねる監督達。
一人で全てを賄える程の能力を持つ者は居ない。それ故に区画を分けて建造されているのだが、各監督の大元というよりも雇い主。
が別々なために意志疎通が容易でなく、その防御壁は見た目は整っているが内部構造は歪に合わされており接合部も甘い部分が見受けられていた。
だが、速度重視の建造はそれすらも無視され後々まで語り継がれる災害の要因となる。はずだ。
完成に数日という短期での完了となり出来上がった一帯を封鎖しての舞台。
世界へと公表される映像での娯楽と見せしめ。
公開裁判から幾日とも数日ともいう日数内には幾つかの災いめいた事件や事故が多発したが全てが内密に一人の活躍で処理された。公表される事はないが関係者はその存在が世界の歪だと認識してしまった。
とある部屋での出来事。それは小さくとも一都市を破滅させるに充分であり世界を混乱させるに有り余る対価である。
改修改築増築された施設を元に戻すための復元作業は急いで行われていた。
舞台とは別の作業者が短期作業で敢行させた。歴史的には奇跡の復元とされる御業と語り継がれる。
別の場所では複数が一人を囲んで暴利を貪るように襲っていたのだが返り討ちに合い、全員が後悔した。
3月14日。その日は再度、世界に強制配信された。
簡単な作業日。
数えられない人が包まれた特殊な繊維で編まれた布が規則正しく並んでいた。側には箱と蓋。更に横には同じ穴。合同葬儀。
哀しみに暮れる遺族達の哀しみは逝くばかりか。
東西南北に乗っ取った葬送が執り行われていた。
混乱はあったが複数の力の説得で呑んでくれた遺族達に主催者は感謝した。
開催された葬儀は獣人能力者無能関係なしに執り行われた。
先の悲惨を痛感して説得に応じたという側面もある。
ではその内容は別々に執行され、とある爺さんが憤慨して再度、日を改めて執り行われるという事態が世界を震撼させ伝播させ魚の鳴き声ということで行われた。
執行当日。世界が現実時間と全く差異なく同期し公開された。
先の公開された裁判にて主犯が知れ渡っていたために偽りを用意する事はない。
そのままに見守る中で粛々と行使される。
静寂に包まれたその壇上には大きな威風堂々とした厳かにして過剰ともいえる数多の機構が内在しているにも関わらず、装置の行使は此度の一度だけである。
無駄に掛けたにしては異様だろう。
壁には無数の録画機材が埋め込まれ様々な角度から撮影されていた。
逃げることは不可能とでも云うようである。
警告音が響き床の一部分が収納され棺が現れる。
床と一緒に立ち上げられ、いつの間にか側に二人が立ち棺の蓋を外すと拘束された主犯が納まっていた。
轡と頭部の固定。指の固定。各首の固定肩は大きな針金が貫いて拘束具に繋がっていた。
具に見ると頬には乾いた後があるが誰も気にしない。
其々が棺に繋がれ固定されていた。
二人が行動する。繋がれた拘束線を同素材で造り上げられた道具で切断する。
倒れる間もなく床から出た伸びる腕で打突され上方へと打ち上げられ装置から同じような腕に似た半生物が固定器具に付着し引き寄せて衝撃音と共に固定する。
同時に取り付けられていた全ての金具が大罪人へと深く浅くと様々に刺しこみ皮膚を変色させたり感度を上げたりといった処置を施していく。
処置が全て終わり二人が舞台を降りていったと入れ替わりに一人の者が壇上へと姿を見せた。
画面がその者の顔を映す。
先の裁判で裁判長を勤めた人物。ではなく、若く年齢的には三十代中頃といったところだろう。
拡声器を持ち電源を入れると1つの咳払い。
「では、これより慣例に従い、ええ、処罰を行うものとします。罪状は、現在、画面に流れていると思われるが、在りすぎるので割愛させて貰う。では判決。「生命強制剥奪」の刑に処す。これは確定した事であるので覆すことは不可能である。本人もこれらの罪状と追加された分を含めて情緒酌量はないと判断された。では。これより執行する。」
再びの警告音が響く。
そして壁に穴が開かれその向こう側から人が濁流のように押し寄せ処刑増築まで接近していたが強固に施された多重の壁に遮られ、それでも尚、目線は前を向いていた。
全員の表情は負の感情に支配され、目先には処刑台にて固定された主犯。目と口を塞がれ見えず発せずに針より細い負の感情に刺されていた。
この者達は全員が先の戦争で命を喪った縁者達であり近しい者ほど、その負は深く根深いものである。
もし、柵を講じていなければ流れは全てを呑み込み主犯だけでなく暴徒化し、世界が混乱していたであろう。
それ故にこうして縁者達がこの場にて画面越しではなく目の前で主犯の終わりを見届けるという権利を与えられたのだ。
時間は刻まれ過ぎ去り終わりを迎えていく。
「ではこれより執行するにあたり注意が一点。これを機に世界全体会議の開催をこの場にて宣言させて貰います。これは加盟島含めた全ての承認を得ていますので中断することは出来ないでしょう。開催は追って発表します。では執行。」
こうして装置は起動し主犯は処刑された。
喰われ犯され浸され削られ燃やされ最後に。
何も残らず残せず残させもしない。
世界に伝播した映像は後に語り継がれる。一種の神話のように。




