終章~裁判~当日
前日までの、正確には早朝までのだが。慌ただしさが夢幻かと思えるような静寂が支配していた。
引きずられた建物の更に先に抗う心すら砕く堅牢な建造物が姿を表し中へと入っていく、かに思われたのだが抵抗が強かったのか諸ともに地面に穴が開き、自由落下していった。
穴の終点には水に満たされた出口らしきものがない部屋。
慌てる二人を他所に一人は拘束を解こうとしてもがいていた。
幸い拘束が浮き輪の様な役割を果たしていたので沈むことは無かったが、体温は奪われていく。
この拘束を解くことを進言したが二人は其どころではない。
この満たされた場所が何かを知っていたから慌てる。何を慌てるのかを問うとこの場所が何かを聞かされ大慌てでどうにかしようとして。
体力を消耗して頭が冷静になり、そしてどうにか脱出した。
厳重な警備の下で仮とされた留置施設には警備が壁のように幾重にも配置され空からの侵入はもとより地面からの侵入も容易ではなく、外壁も厚さ数キロに渡る多層に合わせた合金を埋め込まれ、深さも厚さ以上に地面へ埋め込まれているため簡単には突破できないだろう。
幾重にも張り巡らされた対策を施され特別な方法も特殊な方々も無力である。
屋根も表面を特殊処理した厚い合板で接合し更に多層構造の防護で覆い隠し建物自体を見えなくしていた。
地下。光すら入る余地の無い場所にその者は収監されていた。手足を固定され口には管を加えさせられ延命させられていた。簡単に命を絶てないように。
眠りから覚めたのか呼吸が乱れる。
「ひょっほほえわあいえひょおおぉ。」
ちょっとこれはないでしょう。と言っているのだが、無意味である。
中からの音は一切が必要時以外遮断されている。
監視窓が少し開き冷徹な視線が覗き込んで暫くすると閉めて何処かへ行ってしまう。
下手な行動を取ろうとするなら仕掛けられた装置により気絶するまで痛覚を刺激され続ける。
呼吸が荒く鼓動がか細くなって意識が朦朧とし闇へと溶けていく。
であるなら何れだけ救いだったのだろうか。
呼吸は整えることさえ許されず全身に伝わる感覚がなくなっていくが意識は途切れることなく下半身が濡れていく。
どうにも成らない状況に現実逃避したい衝動へ委ねていたいのに拒否してしまい思考だけを在らない方へ向けていると視界が現実から切り離された。
それは夢。というには現実感のある光景。何時かの光景と似ているがそれは主観であるが、あの何時かと異なる部分が大きくある。
それが自分には夢、というか過去にあった現実。
悲鳴を上げたいのに心は平穏静寂地平線。
ある場面は抉られ目に見えた全てを根絶した。
吠えて何かを言っていたが光景は歪んで散って転じた。
張り詰めた空気が漂う中で呑気な欠伸をしてしまう。
狭い部屋には許容量近くの人数が入っていた。
警戒しての事であると理解はしているが、過剰だと言わざるおえない。
部屋には何もなく床さえも簡単に剥がせるような代物ではないし壁に至っては時間が経過すると同時に材質が変異する素材が使用されていた。
簡単には使えそうもない。
また溜め息1つ。
と今度は全員が身構える。
手で征して警戒が解かれる。
重い。
重すぎて痛い。主に何かが痛いんだよおぉ。
現実逃避したいぃ。
この空気。どうにか成らなかったのかなぁ。
ならないよねぇ。諦めよ。
でもさあなんでこんなに監視するのかな。
そんなに重要な存在でもあるまいしさ。
はっ、そうか何かを成そうとしてこの人数を側に。
なんて無いよね。ははは。それ程重要な存在価値もないでしょうし、逃げるという選択は今は出来ないし、体力の無駄だし。うん。動かないようにしよう。でも空気がどうにかしたいなぁ。出来ないけど。
自答して枷を軽く揺らす。
またも警戒されたが溜め息と共に目配せしようにも両眼は塞がれていたけど手で征して溜め息しか出なかったが我慢して重い空気の中で考える。今日の此れからを。
時間である。
手足の枷から伸びる鋼線を台に固定して更に指も関節を曲げられないように頭部も同じ様に固定され運ばれる。
その道は聞いていたが見えない様にされていたので確認のしようもない。だが本当ならば表には出せない道なのだろう。だからこそ上を厳重に固め全く関係のない施設を増築させ防御に特化させたのだ。
杞憂で終わったのだが。
止まり何かに乗り込み上と横を移動する。短時間だが気持ち悪い、吐きそうになるが口内に固形物を入れられているため吐き出すことは不可能である。
吐きたい衝動は腹に溜まっていく。
下の穴も両方塞がれているので簡単には出せそうもない。溜まりに溜まる。
乾いた笑いが心の中で出ていた。
何かから降りた後もしばらく複数の通路を行き到着した。開廷である。
準備に滞りはなく、しかし傍聴席には何故か一人だけ座っているにもかかわらず誰も気にせず進められていく。
その手には単純な構造の機器が握りられ表情は何故か暗い。
準備は万全に整い遂に開廷する。
裁判長が入り開廷を宣言する。
傍聴席には一人も居ない。
事が事であり、その被害も膨大なためもし暴動でも起きたら止める術がないというのが実情である。
被告人とされた者達が次々と呼び出され主文を読み上げた後は質疑応答の形で裁判は進行していく。
裁判といっても略式であり形だけを整えた対外的な意味合いで開廷しているに過ぎず、故に。その進行は速く。検察弁護等の代弁者は居らず、資料を読み上げて罪状を読み内容の確認作業のようにして判決を述べて退室させていく。
人数としては多くはないが、しかし一人一人の罪は重く述べられ判決も何故かうやうやしく受け取っていた。
そして最後の一人。
今戦争の発端として更に世界を混乱に導いた首謀者としてこの最後に回された裁判だけは世界中に時間同期させ流されていく。
世界が注目している。
音が鳴り響く。
「これより最後の裁判を開廷します。被告人は入廷してください。」
扉が開き拘束された被告人が警備員7人に囲まれ入ってくる。
その枷は外されるが目隠しだけは外される事はない。
「本当であれば全ての枷を外すのが通例なのですが被告人は瞳で相手の全てを奪う力を有しているためこのような処置と為ることをご容赦願いたい。」
咳払いをして手元の端末を操作背後の画面に大きく映し出される。
「主文。簡潔に罪状を読み上げたいのですが、罪状が多いので先から3つを読み上げさせてもらいます。被告人は幾つもの罪を重ねていました。1つ。製造運用使用を禁止されている武器兵器の所持並びに使用貸与による特殊武器兵器に関する争乱罪。1つ。有無に関わらず強制介入し更に混乱させた事による騒乱罪。1つ大量虐殺による全陣営に与えた虐殺罪。他の罪状は資料として配布します。
さて何か意見はあるかな。少年。」
問われた被告人。少年は目隠しに触れるが諦めて起立をただす。
「では被告人何かあるのなら発言してください。」
口を開くが溺れるかのように開閉させ閉じて俯き深く息を吐き出す。
「では何もないようなのでこれにて閉廷とさせてもらいます。」
「んんんちょい待って何か言うのを許されるのなら発言したいけどもよう。なあ裁判長。確認なんだけど、これは何に対しての裁判ですか。いやね、これが年末辺りに勃発させた戦争に対する裁判ならそれはそれ始まる前に話はついてたはずなんだけど。知りませんかね。おやなら早く確認した方が良いと思いますがね。」
驚くのは当然だ。この裁判は先の戦争に対する法廷であり、それ以外は関係していない。
世界に配された情報にも記されているのだ。
さらに驚いたのは被告たる少年。
「聞いてないしなんだよそれ、それで裁判長。僕が聞いてたのは戦争に関してもですけど、それより以前の関連した事による賠償責任もこの場で判定するとか聞いてたんだけど。なんでさっきからあの戦争に関した罪状しか述べないのかな。えと、遺族、も悲しむね。それで良いのかな裁判長。いや、上位のモノタチはさ。」
空気が変遷した。
「ああ、見ていたのか。なら話が早い。此処へ降りてきて話をしようじゃないの。」
「こかかかかかかかか。爽快だのう。壊れてよいなら表してもよい」
「いいから速く来いと言ってるだろう。焦らして何を期待しているのかね。」
「むほっ。よかよか。では、これでどうかのう。」
「うお。」
声は背後に。
「ほはっ。驚いたのう。」
肩が振るえる。
「そうかそうか。怖いのか。なればだ呼び出しはソチであろう。素直に従い現れてやったのだ。このまま帰れとぬかすなよ。ボン。」
振るえる肩が動いて指先が席を指す。
座れということであろう。
「のう、対価はなにかの楽しみにしておるよ。」
着席して笑いを貼り付けている。
振るえた肩は止まり顔を裁判長へと向ける。
「でだ、この裁判に対する結果はさっきも言ったけど着いてるのよ。この数日の間にさ。勿論、この裁判に関連した資料の作成やら他、に、も。ぐういうぅ。」
何事も無かったように端末を操作して大きな画面に映し出される。
それは戦前に交渉された映像と戦後の映像。
確かに結審していた。
「一言一句間違いなく加工すらしていないと誓うよ。さて、ならこの裁判は何に対しての裁判かな。」
「そうさのう。見る限りでは細工されてはないのう。」
「黙れジジイ。んでまた聞きますよ。この裁判は何に対しての裁判なんでしょうか。」
「一時中断とする。」
部屋に一人。二人三人と増えていき、最後には十三人が部屋に姿を現した。
勿論、実態ではないが。
元々居た一人が言葉を述べる。
しかし他に何かを言うことはない。
助言をこうたのだが何故か全員が嗣ぐんだ。
提示された映像と配布された資料を合わせても、もう結果は見えていた。
しかし、このままでは筋が拗れてしまう。
用意した道筋が瓦解し修正など出来なくなってしまう。
裁判の映像は現実と完全に同期させて放送しているため細工も不可能である。
その様な事をしたなら間違いなく世界中からの非難は避けられない。
だからこその集まりであったのだが、全員黙り方策を見つけ出せないでいた。
時間だけを無駄に消費していき再開の直前に提案が示され乗ることとした。
さて別の部屋には許容量を越える人数が犇めきあっていた。
なんの前触れもなく一人の入室で空気は一層の高まりを見せて指示で全員が退室した。
目隠しを取り、対岸の椅子に座す。
「目を開けよ。」
目を開けるとあの老人が居た。
「ひひひお前さんは何を求めておる。何ゆえに焦っておるのだろうな。」
「何を言ってるんだこの老体は。初対面で不明な事を宣うなど耄碌してんのかい爺さんよ。」
「ふぉほっ。若いのう、まだまだじゃ。」
言葉の終わり同時に圧を部屋に掛ける。
「ふほほ。どうじゃ久方ぶりであろう。」
が言葉に反して。
「んん。何を言っているのかね。会ったこともないのに久方ぶりと言われても言われてもな。」
「むむ。」
涼しい態度で疑問を投げる。
「なら、これで、どうじゃ。」
「これで、と、言われても意味不明なんだけど。本当に何がしたいんだ爺さんよ。」
「やせ我慢は毒。ならこれで最後。」
部屋といわず、建物全てを覆うほどの圧。
眼前の者は流石に堪えたのか俯いていた。
「ははははがま」
「んではははははと言った方が良いのかな爺さんよ。」
「な、ななななな。なぜ。いや、貴様、何者だ。有り得ん。絶対たる力を前にどうして。」
「いや、どうしても何もないよ。何をしたいのかを聞いてるのは此方だよ。なぁ。」
何者であろうともこの世界で絶対の力を充てられて何も感じないというのは有り得ない否常である。
老人のこれまでは然したる問題もなく謳歌してきた、幾度もの反対者に会ってきたが全ては天に与えられた絶対存在の片鱗を行使して世界を平伏させてきた。
これから先も永遠に。
これはなんだ。自身を自覚した瞬間から祝福という戦武の所有を認識して全てを配下にしてきた。目の前に存在するこのグズも同様だ。
過去に出合い、そして後悔させてきたのだ。
その光景はこの瞬間であっても思いだし笑えてくる。
その同じグズが何を。ぎ、ひっかはっあがが
「んんん。なんだ、爺さん。もしかして威圧をかましてたのか。そうか。なら。命までは取らないでおいてあげよう。先の人生は全てを床に伏してもらうけど。」
部屋には一瞬の悲鳴と後には静寂が残った。
直後に入ってくる面々に軽く挨拶をして老体を運ばせるように算段をして部屋から出た。
肩を落として柔らかな寝具に埋もれて眠りたいが、そうもいかないと頬を抓ったりしながら歩いて、とある部屋へとなんか同じような行動が度々あるなと思いがら向かっていった。
裁判再開である。
裁判長が入廷し被告人を再度入廷させる。
乾いた音が響く。
「これより再開します。ですが今回の裁判には双方に齟齬が在ったことを認めます。さてこの裁判は先の年末戦争に関連した裁判に変わりないと述べておきます。しかし当該の戦争ではなく至るまでに関連した事柄に対しての裁判と述べておきます。
では主文。は変わりませんが追加罪状。島々で戦闘への強制介入からの一方的な交渉という優位的独占交渉罪。多国籍艦隊殲滅による虐殺と捕虜の殺害による殺人罪。複数の島を廃墟にした土地消失罪。そして最も重い。数々の島々にて行われた実験の様な事象と資料の改竄による虚偽不正罪。まだ追加は在りますが先と同様に資料として閲覧は可能です。では数々の罪状についての意見があるなら伺いましょうか。」
視線を被告人に向けると。
「んぐぐぐぐくく。んが、んけけけけけ。ふあっ、んあああ、なに、もう終ったの。ふえ。」
眠りこけボケていた。
不敬罪が適用されたのは言うまでもない。
眠りを否定していたが映像と口端の涎が証拠となり逃げは出来なかった。
「良いかな少年よ。君には全ての行動に対しての罪が加算されると理解しなさい。1つの行動で複数の罪を背負う。嫌でしょう。なら大人しく質問に答えなさい。」
「んんん。」
悩むように眉間に指を軽く押し充てる。
「ん。いや今さら感ですね。何をもってしても様々な罪が初めから重なってますので1つ二つと増えたとして感情なんて揺らぎませんよ。無論、あなた方の上にしては死活問題かも知れませんが。さてこれで上位侮辱罪の追加ですね。では一つ一つに対しての答えを用意してますけど、うん。時間の支配者が嘆きますね。まあ無駄なので簡潔に言わせてもらいますね。全てに肯定します。否定も拒否も拒絶もありません。僕が全ての原因で元凶で根幹ですから。証明する品々はあなた方の手元にあると聞いてますが、今さら否定しても意味はありませんね。そうだ更に罪を追加で。上位という何かに対しての罪を。そうですね上位暴行罪。とでも付け加えてください。あ、あのご老体に関連した罪ではなく、」
呼吸を1つ。
「はっ、あの場で高みの見物を決め込んでいた諸々達に対しての暴行罪というより完全に命奪罪ですか。まあぁ、あれの中にその上位の存在が居た場合ですけどね。さてその証明としてこの記録を提出しますよ。」
軽い音が裁判長達の端末から鳴る。
怪しげに睨むがのほほんとした表情で観ることを指し示す。
端末を操作し内容を読み込んで1つの動画を開く。その内容は複数の軍上層部、そして後には上位が楽しげに、最後には炎に包まれ物も言えない存在となって映像が切れた。
「その情報に関しては嘘も偽りもそして改竄や改変もないと約束するよ。さてこれにて僕は世界を敵に回したことになりますね。ではここで1つ。見て聞いて感じている者共へ注ぐ。お前達が過去から連なり所有しているキョウの品々を返換願いたいな。あくまで現状は願いたいだけである。この先は強制的に徴収、最終的には一方的に強制回収します。なので早めの自主返還をお願いしますね。では僕はこれで退廷します。そうですね。判決は命譲渡以上の罰。ですね。」
優雅すぎる礼をして床が外れて落ちていった。
嫌な音はしなかったが一連の流れを見て止められる隙もなく、即座に修復されてから全員が正気に戻ると同時に慌ただしく事態が想定外へと向かっていった。
戦々恐々虎視眈々にして奇々怪々。
あの穴は何。という質問に。あれは即座に刑を執行するための仕掛け。という回答を得たのが出て直後。さらに時間短縮のためという効率を考えた結果だそうだ。
しかし話が全く違うのだ。
計画としては何をどう反論したところで有罪は確定していた。言うなれば茶番だ。何を取り繕うとも確定した事柄を覆すなど無理なのだが、あのような仕掛けは聞いていない。としかしそれらは事前に資料として配布しましたと。反論。だが、そんな資料など見ていない。と再反論。移動しながら白熱していくが其々が持っている資料を見せ合うという事でその場は落ち着き、件の少年確保のを目的とした捜索隊結成のため大広間へと集められた。
幾つかの班に分かれての捜索は絶対だが、配布された建物内の見取り図に幾つかの差異が見受けられ、其々の差異を修正するための短時間ながら時間を取られてしまったが誤差の範囲である。
この建物。裁判所。とされているが実際は裁判所ではなく不良品などの廃棄場所を早急に増設やら魔改造して建てられた廃棄物処理施設である。
そう廃棄物の処理のためだけの施設。
なのでその施設などがそのままに残され、操業は現時点で大部分停止中だが関連した部屋は残された上に魔改造等の影響で建物内や周囲は入り組んで迷宮と化していた。
早朝の閉じ込められた水に満たされた部屋はこの施設で最も重要で危険な場所。
最終処理装置である全てを溶かす熔解炉。
炉。と言われているが炉というより部屋。いや寧ろ胃袋と言った方が正しいのかもしれない。
瞬時の熔解ではなく少しずつ解かしていく熔解炉。
時間を掛ける理由は溶かしたモノから抽出された成分である。最後は廃棄するが出口には混ざった成分をろ過し貯めていくように造られていたものの現在は誤作動を起こしたのかろ過されずに全てが成分貯蔵室へと流れて許容量が超過していて故障してしまっていた。
固形物が随分と貯まっていて数日後には回収作業に入る予定であったのが全てが徒労に終ってしまった。
今回落ちていった穴の先は誰も知らない。言えることは、その熔解炉とは別の場所だということだけで魔改造の影響か入り込みすぎて誰にも把握しきれないのだ。捜索対象は少年たる被告人一人だが影響と増築で壁の厚さも通常よりあり、反響による壁を透過する捜索も難航する。
逃亡を阻止するために施した措置が裏目にでた形となってしまった。
さてこの建物は廃棄物処理施設を魔改造したが元々は地下三階と地上一階で構成されていたのだが魔改造と増築で地下七階地上七階で構成されていた。まあ殆どが図面通りであれば分厚い壁で隔てるように構成されていたのだ。
しかし実際は全く異なっていた。
本来であれば地上には増設と強化を施すだけである。のだが実際は複雑に内部を改造され本来在るはずの部屋は床に作り替えられていたり上下階へと続く階段等が別の場所に在ったりと混乱が極めていた。
地下も同様で地上よりさらに複雑に改築されていたし危険な領域と化していた。。
綻びもなく特殊な合板と塗料により簡単に見つけられない。
手をこまねいているわけにも行かず、ならばと追加で人員を投入した。獣人と有力者の混成班にしたのだが間違っていたのか後に発覚する獣人の惨たらしい状態に近い重傷者と同等の有力者の惨状が秘密に処理されたが随分と先で突如公表され世界が戦争へと進んでいくかもしれない。
ではこの時には何が起こっていたのかは誰に知る術は一切ない。
時刻は正午を過ぎて数時間。目的の少年を確保した。
何故か清々しい顔をして脱力したように一階の大広間で倒れていた。
少年は救護室へ運ばれ措置を施されていた。
発見当初、少年は息は浅く鼓動すら停止ししかけていた。
運び込まれた救護室では数々の措置を試していたが息を吹き返す事はなく、夕方にその命の灯を終えた事が書類にて報告された。
慌ててこの状況を説明出来る者などない。
最重要人たる少年が命を終らせてしまったのだ。
最高の手筈を整え不足の事態にも対応できる体制を事前に準備していたにも関わらず力及ばず最重要人が指の間をすり抜けていった。
しかしここで不明な事が起きる。
少年の肉体は何かに利用されないように厳重管理され複数の人の前で火葬もされ、残された遺物は秘密裏に埋葬されたはずで、数日後に納めた墓を暴くと其処には何も無かったのだ。
遺物は無くなってあたが正確には別の物が収まっていた。
端末である。
それは数々の処理を施された端末で特定の方式を入力して初めて起動させる事ができるのだが、発見した者達は何故かその方法知っていた。
開いた画面を操作すると複数の資料が残されていた。
その1つ1つがこの世界の根幹を揺るがす映像や画像であるため、もし観るなら世界を敵に回すことになる。という注意事項が大きく表示されていた。
何人かは自身の安寧を担保にして辞退し残った何人かは全てを差し出す覚悟で観ることを決意した。
『これを観たということは後悔すら賭けの対象にしたと考えるものとする。さて契約を下で表示されている場所で人数分押して貰おう。続きはその後に。警告。不正と発覚した瞬間にこの端末は自動処理されるので気をつけて貰いたい。』
頷くと躊躇もせず押した。
『これで契約されました。ではお好きな資料を選択してくもらいますが、先にこれより世界の真実の一端をお見せしましょう。先にです。これを視てその先を知りたいなら同じように押してください。』
自動で再生された動画を視て終わると同じ様な警告文が表示され、少しの相談をして押す。
全員から汗が頬を流れ画面に落ちた。
『おお。少しは躊躇しますか。しかし押しましたね宜しい。では全てをお見せしましょう世界の真実を余すことなく。』
映し出された真実はその場の残存者全員が納得できないようにしかし心では理解していた。
真実は常識を覆してしまった。
この真実を隠すためその場から逃げるように、しかし悟られないように平静を被り後にした。
さて集まってもらった理由は理解していますか皆さん。なに、説教などという生易しい行いはしませんよ。ええ。しかしですねぇ。計画が複、数、も頓挫したり、大、幅な遅延を、余儀なくされましたねぇ。ああ全く本当に底から沸き上がる感情なんて抑えるのに苦労しますよ。ねぇ。皆さんは、どう思いますかね。
では結論から言いますね。論外です。
それゆえに期待はしませんよ。此度は外からの思わない行動が原因としましょうか。まあ此を期にして一層の奮起と進行を願いたいですねぇ。では一人一人の、言い訳を聞きましょうか。納得したなら罰則は軽くしますよ。えぇもし逆ならばんふくくく、面白いですねぇ。
うん。どう繕ってもやはり納得できませんねぇ。さて皆さんへの執行は此度の最後に行います。ふふ。心配なさらずに。一族郎党関係各位至るまで処罰しますよ。楽しみにしてください。ふはふふふ。
もう一組。
あなた方は何をしているのですか。あれ程に言ったはずですよね。ではどうして数々の実験場全て使い物に成らなくなったのですか。止められたよね。何度投入し何度入れ換えたのか。それで結果がこの体たらくとは嘆かわしい。此までも幾つかの見破りはありましが、此ほどに排除されたのは初。ではないでしょうか。は、誰が発言を許可しましたか。勝手に発言をすると言うことは反旗と受け取りますね。終りなさい。
つまりませんね。逃げを受けて破滅を与えたのに何も生産しないとはやはり今回の人員は間違いですね。仕方ない。全員、終りなさい。
はあぁ少しは生産性を望んでも無為な事でしたね。
これ等は後々の為の役に、立つのかだろうか。立たなかったらどうするか少し楽しみだな。
それで何をどうするのかな。この損失に対しての補填を見いだせるのかな。言うだけなら何者でも言えるよね。実行し結果を残してこその価値というもの。それを証明できるかな。出来ないよね。なら無駄なのだから命を散らして詫びなさい。
ふぅ。これは困ったねぇ。これまで進んでいた計画が向こう年単位。それも新芽から大木に為るまでの膨大な時間をまた掛かけないとは。面倒な。まあ、今回の原因である存在は自分で終らせたので、もう居ないと、思いたいですね。はあしかし、本来なら世界に喧伝するために公開して知らしめる手筈であったのに。む。もしかして、これは。嫌々、違うでしょう。
まあ終ったことです。同時進行させていた計画も在りますし。それに本格的な着手をしますか。 さてさてどうなりますかな。この先の世界は。
楽しみですねぇ。
壊して進み。進んで手にしたものは時間を取り残して零れ落ちていく。
何も残らず何も越えられず失ってばかりだった。
失ってから気づくなんてこともなく時間を進んで忘れていく。
何が間違っていたのか。そんな事でさえ考えず進んで生きて、それで最後に残るのは何時も喜びから離れた感情が支配していた。
て、これ誰の独白だよ。
違うて。んんん。なんだろうね。普通にさ終れないのかね。それか終らせたくないのかね。
はあ区切りはついたかな一応は。
ついてて欲しいけど。無理だろうなぁ。
捻りを差し込んでみたけど、さてさて、どう対応するのかね。
まあ関係ないように細工はしてたけど、どうなるかな。
細工が始動するかは後の進行状況次第かな。はぁ。




