終章~裁判~前日まで
戦争終結から数時間後。
各地に散らばる物言わぬ肉体を片付けていくがその処理が終わるのは何時になるのか誰にも検がもつかない。
元々、戦場は幾つかに分かれておりその悲惨さは混乱と発狂を伴うものであった。
戦端を切った地点は特に酷く一帯を赤に染め上げ命の残り香すら塗り覆われ砂浜や海のさえも重苦しい赤に彩られていた。
同じような光景は他の方角も同じようであり噎せる臭いが脳髄にこびりつき精神的病を誘発させるに十分であった。
二次三次の処理が発生し遅々として進む気配なくとも無情に処理は続けるしかない。
遅々として。進んで。壊れた人の果てを回収した。
翌日からとある者の提案を原型として効率を挙げるために各区画ごとに肉塊を並べ、表示札を項目と比較しながら検分し身元確定したものから回収していくが項目と一致しなかった場合や不明だった場合は別の方法で調査し回収していく。
さらに散乱したり破壊されまたは放棄された兵器武器の残骸や部品も余さず土ごと回収していく。
なぜなら名も知らない個人か組織集団軍団に回収され再利用される可能性が無いわけではないのだから。
効率を上げた結果は想定外に遅くなった。
原因は疲弊した上での細かな作業による時間の浪費と対する付加価値である。
均衡が取れていなかった。
進まなかった作業が更に遅れた結果は戦後賠償にかさ増しされ際限を知らず一方的に増やされていった。
勿論、賠償は全て敗者が支払うものと決まっている。なので。
敗者たる反逆者を被った一団がそれも先頭を切っていた一人だけに被せられる事となった。
いやはや恐ろしい。
だが不思議なことにこの暴利のような要求に対して反論正論暴論極論せず素直に受け入れたのだ。誰もが疑ったがその者の過去を知らされ納得してしまった。
そして当初の予定から大幅に遅れに遅れた戦場は綺麗に清掃され、気がつけばもう年を跨いで随分と過ぎ去っていた。
祝日祭日。何それ。
終わったその日には傍目に見なくとも死屍累々が重なり誰一人として動くものは無かったが。
戦場が清掃されたその場に現れた人によって死屍累々は強制的に移動させられ機具を全て片付けられ真の意味での戦場の清掃が完了が宣言された。
全員の恨みの眼差しを無視してその人は姿を煙に紛れさせ眩ませた。
寒さが珍しく和らいだ日の事である。
年を跨いで数か月にも及ぶ地獄の戦後処理に目処がついて休息日としていたその朝。発端は知られなかったが重要でもない資料が幾つか紛失していた事が発覚した。
それはある者の仕業であったのだがその存在を知るものは一人として居らず、正確には一人だけ居るにはいたが話せる状況でも状態でもない上に全てからの面会を遮断していた事であるため事態が切れるように変遷するかのように変化して詳細を知られる事もなく暫く放置という方針とされた。
さて遮断しているその内側には三つの影が存在していたが数々の侵入方法は阻害か無力化されている上に世界から遮断されているため全ての術が不可能となっている。さてさて何をしているのだろうか。
更に数日が過ぎた。
忙殺されている。ただ一人が慌ただしく右往左往というより多方面へと駆けずり回っていた。
戦場の清掃は終了していたが、それは戦場であって書類等はまた別の話である。
従って様々な書類をもって奔走していた。
全身から疲労がみてとれ頬は痩けて目の下には深い隈が刻まれている。
無休で動き続けて限界など過ぎているであろうに何をもってその体を動かしているのであろうか。
さながら労働の下僕である。
命を賭けるほどの価値は何処にあるのだろうか。
何を信じて動き続けているのだろうか。
誰も助けをしようとするものはいない。
見ているだけで観察でもするかのようである。
だが得てして本人は充実した様な表情を。
していなかった。
していたなら違っていたのだろうか何かが。
「はあぁダっルッ。これだけ働いて報酬は無しとか。まあ有っても意味ないけど。後。」
睨まれた。
話を戻そう。
忙殺されている人。
歳は見た目どおりに若く少年である。
光魔は書類作成と整理。更には情報の収集や真偽の調査などを方々に依頼したり発生する報酬の交渉なりで膨れ上がり続ける借金の数字を目にするだけで目眩や疲労が蓄積し疲労を実感する。
だが本人にしてみれば今さらである。なので思考は瞬時に別へと向かっていた。
「さて後は皆さんが到着するまでまだまだ時間がかかりますし情報だと先生と元上位にええと幻術使いと危険人物でしたかね。本当に何をしているのでしょうか。」
端末を操作しながら個別の項目を同時に表示させ再度読んでいく。
「ふうぅ。全く戦時なら判りますけど、交渉の席に着かせるまでが普通に可笑しいでしょう。て此方も他人事のようにいえないけど。それにしても。」
流し読みながら個別の情報を再度読んでいく。
「はふあの方々は有名無名の集まりなら面白いのですが、全員全てが有名な方々。僕があの方々の上に立つなんて烏滸がましい気がしますけど。」
「くははは。そんな事を気にしてたのかよボウズ。」
「あ、居たのですか。もう到着してたんですね一番乗りです。多分。」
「は、はははは。驚かないのか。」
「さあ、驚いて生産性があるなら驚きますよ。おお凄い。」
「くく。嫌みだな。さて、他の奴らは到着してねえのかい。」
「きひひ答えは否だよ。到着してる。」
「へえ。」
「うん。やはりこの作り方は違うね。なら普通に話そうか。到着したよ。先程ね。」
「おう、来たのかい。幻術の。それにしてもそれが素。かい。」
「まあ、そうです。私は中でも弱い部類に入りますから虚勢くらいは張らないと。」
「くはっふかかかかか。謙遜ではないな。だが俺でも弱いよ。歳を重ねて幾らか力を付けているがまだまだだよ。さてボウズ此れからどうするよ。」
「まだ準備も資料も他を含めて足りてないので粉殺する気持ちで待っていてください。丁重なおもてなしは期待しないように。普通に異物と認識してますから全員が。まあ命は自身で守ってくれたなら嬉ぃな。」
笑っていて背後で否定され振り返ると。
「全くといっても苛立つよ。本当に。で到着して何があるのか判るかね少年。それと預かって来たよ。ほら、これが頼まれた品物だ。まあ知ってたろうがね。」
「そうですね受け取っときます。ではあと多分一人だし入りましょうか。この部屋には数々の処置を施してますから心配はありませんよ。」
集まった全員が部屋へと入る。
最後が入室して閉まると同時に外界との接続が切断された。
「では、其々のこれまで、というよりあの直前までの報告を提出してもらいましたけど。なんですか。これは僕が居ない間に随分と面倒な方向にねじ曲げてくれましたね。はあ廃島、半壊殆ど破壊。それと負傷者や命を落とした方々。むむ。損害賠償とか遺族へと支払いとか、廃島に関連した諸々に掛かる経費を統合して、借金が留まる事なく。これを個人で支払えとは鬼畜ですね。」
「そうなのか、今さらだと思うがその辺りはまた交渉の席でだそうだ。」
「そうですか。ではこの幾つかに共通している存在は知ってますか。」
おう。と強い返事をした元上位。
「簡単には手に入らないよう操作されたが俺は見つけたぞ。」
「そうですか。で他の、て聞く必要は無いですね。」
他の態度というより目線は手元の資料を見ていた。
「端末に書いてあるから説明する義務はない。と言うことですか。ですけど、この中で書いてある全てが全てではないですよね。書けないことも含めて教えて下さい。」
「へっ。おもしれえな。ならじいさんあんたから話せよ。まだ話してない事。あるだろ。」
「いや、俺の話はお前達の話が終わってからだ。さてあの存在が1つの懸念材料になると理解しているのかコゾウ。」
「懸念する程の材料なんですね。そうですか。では仕方ない他の方々から先に話を聞きましようか。誰にしますか。」
「ふふ。なら私からにしましょうか。そうですね。まず、あれの存在を知ったのは分かれてから相当経ってからですね。まあ幾つかの島を渡り歩いた先々に不可解な事柄が頻繁してまして、最初は足らない事だとして流してましたが。交渉の資料を集めている時に幾つか紛失している書類等が探しても見つからず。ですが内容はそれ程重要ではなかったので放置してました。ええ。」
「質問ですけど、その紛失していた資料の中身は判りますか。」
「そうだねぇ。例えを1つ申し上げるなら。その島の歴史関連ですね。」
「それだけですか。」
「まあ例えの1つだよ。複数あるさ、後で追記しておくよ。そしてその後にあの繋がりの切れる直前で理解したよ。紛失の原因はこのものだと。」
「そうですか。では次は誰が。」
「僕だ。先に言っておくが同じようなものだ。」
「構いません。擦り合わせが目的ですから。」
「そうか。では話そうか。同じ様に交渉を主目的として僕も行動してました。しかしながらある地点より不可能だと考えられる出来事が数件報告され島の歴史から奥深くにて封印されている禁書登録された書物の紛失や価値のある品の一部欠損等々。それも担当している幾つかにそれらが発生してました。しかし、幾度調査してもその犯人に繋がる痕跡や証拠が一切見つからないというさらなる不可解。其々の共通点も精査しましたが見つからず、もし無理矢理にですが見つけたとしたなら、そうですね。知識の強奪。でしょうか。最後はそちらの方と同じ様に通してみて理解しました。結局、失われたものは戻らずですけど。」
「ふうん。その失われた品とかの重要度は。」
「高くは無いとは、言いきれない。何せ禁書も含まれているし、歴史的な価値のある書物も含まれていたので。」
「ならそれらに対する賠償も上乗せしましょう。どうせ増えたところで些末な事ですから。さて。次は。」
「ふむ。俺になるのか。まあ本当に似たり寄ったりだな。差違を挙げるならだが、俺はその痕跡を辿った事がある。途中で止めたけど。正解だったよ。」
「では話してください。」
「おう。」
割愛された部分はあるのだが。
異なる部分は。
「さっきも言ったけど正体を探るために手を尽くしたよ。そうだな事の発端は紛失とかそう言った事ではなく。空間の機微な揺らぎが見えてね。少し気になったもので探りを入れたのが始めだったな。まあ進展は中々成らず。不可視の正体は見えず腹の底から不愉快極まりなく。で数日を費やして、その正体と行動原理を掴みかけて、素直に全てから引いたよ。何故。と聞かれたら、こう答えるよ。もし触れたなら世界が敵になる。とね。だから探りを止めて本来の目的である交渉に専念したのだよ。こんなところかな。」
「良かったですね。あらゆる色々な様々な意味で。」
「ほう。知っているのかな。」
「さて最後は貴方ですよ。先生。」
『んふふふ。見えてましたか。元主。」
一人を除いた全員がその存在に驚いて身構えた。
「ふふ。何時から気付いていたのですか。」
「さあ、何時からだろうね。知らね。」
「そうですか。して、私の話ですか。宜しい。では話しましょうか。私の、と言ってもあの存在には出会わず。その様な話は在りませんけどね。ですが面白い事象には御目にかかりましたねぇ。」
機微な動きであったがその僅かな動きは光魔に向けられたものであり、
「では話してください。」
と流して先を進めさせる。
「それはそれは中々に面白い出会い。と言ってしまうと語弊めいた誤りがあるのですがね。正確には遠くからの観察と行った方が良いのでしょうか。さて、その存在は意識の外から溢れるように突然に前触れなくその地点に現れました。ああ先に言っておきますが、交渉や介入時点とは無関係ですよ。私の暇潰しの最中でしたから。言っておきますが、サボっていたわけではありませんから。さてその存在は何をしていたのか気にはなりましたが、呼び出しがありまして目をほんの一瞬離しただけで、消えていたわけでなく、距離を詰められていました。ハッキリ言いまして元主。貴方とはまた異質な何かを感じましたそれ故その場を早急に離れ戻ったのですが。呼び掛けた者の方へ自然な流れで向かったのでその後に付けられているという事はなく、やり過ごした筈です。」
「何者かを聞いても無意味ですよね。」
「気付かなければ害はなく。気付くと側にいる。という世界に溶け込んでいる存在。と言えば良いのでしょうか。何分、近づいていたといっても距離はまだありましたので。」
「ふうん。背格好なんかは覚えてますか。」
「いえ、遠くであり対象と成りうる物も無かったので。詳細には無理ですね。」
「そうですか。まあそれなら現時点では片隅に留め置いてください。皆さんも同様です。さて終わりですか。」
「もう1つ。」
「どうぞ。」
「元所属教団支部とは別思想の支部が1つ、消滅しました。よもやと思うのですが、元主。貴方は。」
「成り行きだからしょうがない。否定したところで後々に知られるから正直に言うと。うん。なんかあの時と近い状況で引き込まれてあの場所に居て、更に紆余曲折等々を経て同様に崩壊させて脱出しましたよ。結局は引き込んだ理由が判りませんけどね。」
頭を抱えたい衝動を抑えるように繕うが。
「支部と云えども総本山にとっても末にしてもあの実験は普通に戴けない。そしてその影に隠して進行していた計画の1つも知っていたから一人が残って全てはあの場で命を失ったよね。んでその先にある面白い1つは俺が確保した。なんで上げようと下げようと無かったことにしてくれないかな。残りは早々に送ってたから悪しからず。んで後で合わせますよ。残った。そんで数えられない試験を通過した人。だけが現在はあの人達の管理下にあります。これが終わってから引き合わせます。それで良いですか。不服なら後で話し合いましょう。」
「くふは。怖いですね。まあよろしい。それで良いでしょう。では上位たる貴方の話を聞きましょうか。我々の情報は簡単に開示しました。では貴方の隠した情報を述べて下さいますかな。」
どうにか堪えた。
「そう言うかクロよ。だがまだ足りんよ。」
「不足と言うなら僕にしては面白い路線になりますけど。結界は変更するのかな。それなりに面白いですね。」
全身を負に関する走りが覆っていく。
「く、く。ボウズよ。本当に判らないな。何がしたいのだ。」
「ん。さぁ。知らね。さてとか故にとか無用ですよね。なら知己の外側を教えてもらえますか。これによっての答えで、分岐しますからね。」
滅びを瞬間に理解した。
「おあ。良いぜ。話してやるよ。存在と理由に意味と価値をな。」
発端とするならあの人の考えとされているが古すぎて今を生きる者達はその真相を知らない。なら俺が知っているのかと聞かれたなら否定するしかないな。ああ。魂を賭けて誓ってやる。でもなボウズとその他よ。心して掛かることだ。驚異は恐怖を伴って眼前に現れる。現出した時には遅く、そして根を絶やす事を是。とする。
五臓六腑に刻むことを進めるぜ。
さてその始まりは誰も知らず誰も判らず。そして誰も理解出来ない外側の領域。だからこそあの人は作ったんだよ。本当の初期にして始まりの1つをな。だが、世界が赦さなかった。その創造した存在は形を残すことなく消滅し世界に刻まれることはなかった。
まあ資料で、その時の世界にとって驚異となったんだろう。だから全てを焼却した。それも在任の怠慢と強欲としてな。
しかし時は移り変わりその知識すら表も裏も関係なく忘却された時代にその思想を体現する存在が現れた。
おう、第三次の折りにな原型から進化した全く新しい思考の下で製造開発運用された。
たしか。名を。
おうそうだ。その名前だ。でだ、それは製造側の呼称でな、敵さんからは歪なる変容と云われてたな。誰が名付けたかは知らねえが。此方はまあ云いえて妙と思って誰も反論しなかったよ。
そして第三次終結と同時に資料関連施設諸々含めて焼却したはずなんだがな。誰の差し金か意図していたのか知らねえが、まあまさか。だよな。新世代を開発投入してくるとは考えてもいなかったよ。
そんであの場での先代と今代が出会ったが、ここで1つ俺にも判らねえことがあらあ。
どうして先代が今代に、それも1つだけでなく全てを破壊し尽くしたのか。だ。
次世代に対して先代が勝てる要素は1つもない。とされている。その理由が判るかね。
そうだ。先代までの経験知識情報を元にして発展型を造り開発されていく。謂わば進化というものだ。
しかしだ今代と先代の性能差は圧倒的かつ絶望的な開きがある。何せ先の大戦での実戦成績が反映されていたからな。簡単に覆るなんて有り得ないのよ。
なのにだ。簡単に覆しやがった。それも圧倒的な力量差をもってな。
驚いた。そしてお前達の話で全てに納得したよ。
そしてその引き金を引いたのは。
「ボウズ。お前だろ。それもあの存在は完全な異常。俺の手元にある情報にも在ったはずの記述が無くなっていた。最初から無かったことにされたように。だ。」
「ほほう。それは危険な。世界を書き換えるような行いでは。」
「世界を。ふはふふ。確かにその様な力を有しているのなら危険極まりない。ですが証明は簡単ではないでしょう。私の幻術をもってしても少年にはもう効くことはない。」
「へえ。なら伝を使ってその証拠を集めさせることも可能だけどどうする。」
「ん。それって此のことかな。」
驚きの声を発するより先に原因であるその一太刀が現れた。
床に刺さるのかと思われたが床に触れると数回跳ねて床に横たわった。
「これがその原因を作った一太刀。名前を。そうですね。仮に小さな世界改編とでも言っておきましょうか。まあ仮なので先々で変更するでしょうけど。」
全員が身構えた。
「見えたか。お前達。」
返答は全員の横への振り。
「あ、そう言えば見せたことありませんでしたか。いや、ほらこうして。こうすると。」
次には穂先に細い穴の空いた槍。
「これは、そうですね。仮ですけど。次元干渉爆縮大槍。と付けましょうか。今は。心配しないでください。この力をこんな空間で使ったら皆さんが世界とは別の世界に弾き飛ばされますから。」
「あの元主。本当にそれはどういう仕組みで出しているのですか。」
「ん、あれそっちですか。そうですね簡単にいうと僕には目に見えない随伴する倉庫みたいなのが在るんですよね。その扉を何時でも開閉出きるんです。あ、僕以外は使用できないので。」
咳払い1つ。
「て、話が逸れましたね。先の世界改編でウェイトゥルースに関しては心配しなくとも何かに支配されるとか恭順を誓うとかは完全に消滅させましたので誰であろうと何者であろうと所有する権利を主張したとしても前提とした権利すら無かったことにしましたので。んではどうしてかという表情ですね全員。簡単ですよ。あれは今回の戦争に投入された世代の1つ前には相違ないですけど、あれはその中でもかなり面白い個体だったので全てから切り離して放逐してみました。いやまさかあれ程の進化を遂げているとは考えてもいませんでした。ははは。」
「ははは。ではありませんよっ元主。それが本当ならその証拠、血眼になって「それは無いかな。だってあの時のことを理解してその上で証拠として証明できる物的な品なんてありませんから。もしあるとしたらそれは。ふふはふふ。捏造ですよ。現に手元に有るんだし。」と反論すら赦されませんか。」
「いえいえ。時間を浪費したく無かったので素直に答えてみました。」
「じゃあよその証拠があったとしたら。捏造じゃあなくちゃんとした証明もありできる。ということだよな。」
「ええ、そうですね。あるんですか。これ以外に証明できる何かが。」
笑っていた。
「そうですか。なら気を付けてください。確実に今の話が広まったなら、貴方の保証ができませんから。」
「それで証拠は。」
「ねえよ。手元にはな。その時には提出するさ。」
「他の皆さんはどうですか。もし全てを話していなければこの場で共有し擦り合わせておきたいのですが。ダメ。ですか。」
「いいかな。実はこの近辺で同じ様な出来事が発生していたと聞いている。信憑性もなにも今まで忘れていたのでどうでも良かったけど。もしかしてそれもか。」
「ほほう。そうです、か。判りました、では此方に上げさせてもらいます。勿論。今後の事を考えて厳重な管理体制を構築させますから。あ、無理ですよ。そんな複雑な情報構築なんてのは。さて、ウェイトゥルースに関してはこの辺りで。次に、先の戦争に関しての彼方側の反論に対しての再反論に関した構築ですけど…」
こうして数日間五人での戦後処理やらなんやらの意見交換が交わされ最後に。
「ではこれをもって俺の監視権限を解くものとします。即ち自由です。これは公式に記録され裁判時点では影響無いものと考えてください。うん。自由に発言してくださいね。では解散です。お疲れさまでした。」
この後の数日間は全員が顔を合わせるということなく過ぎ去っていく。勿論、一人を除いての平和な日々が続いていたのだが。
其々の最終日最後の行動に翌日への影響は在るようで無いような。無いようで在るような。
元上位。
マダガスト。
歳を感じさせない行動力は誰がみても引いてしまう。
その一端がこの日の最後にあった。
向かう先は。
部屋の前に居た。数回もの呼吸を整えてから部屋へと入っていった。
元危険人物。
スレイブ。
振るえるように歩いていた。しかしその瞳には確固たる意志が宿る。
意を示して目的の場所へと向かう。
幻術使い。
イルシオン。
自身の力に価値を見いだそうと鍛練を怠らず励んでいたが引っ掛かりではなく不可解な力を感じてある部屋を訪れて入っていった。
元総主。
クロイツ。
現在は医療に専念しながら幾つか過去の伝を使っての情報を集めていた。
端末にではなく貴重な紙にひたすら何かを書き込んで最後まで書き上げると一息つくことなく部屋を出ていった。
暗い部屋にて光魔が画面に向かっていた。
内容は何かに関しての報告書を作成中である。
「何をしているのですか。元主。」
「んわっ。ナ、ななな何ですかいきなり。」
「いえ一応、呼び鈴と呼び掛けはしたのですが、全く無反応だったもので心配になり。」
「ああ、そう。返答しなくてすみませんね先生。集中しすぎて周りが見えなくなっていたようです。で何か用ですか。」
「いえ、明日は、というよりもう日付が変わって今日ですが。本番なのですから早めの就寝をと思いまして。」
「そうですか。それではお休みなさい。」
「おやす、いえいえ、違います。貴方への進言ですよ。今日は早いのですから早めに寝てくださいと。」
「んん。むり。」
「即答ですか。」
「提出用がまだ終わってないし。」
「終わってて、必要書類等は全て提出した筈ですが、まさかまだ在ったのですか。」
「ん。え、嫌々、違う違う。これは別の提出書類。忙殺されて此方を疎かにしてたのを思い出して急いで書き上げてるところです。」
何故か落胆され。
「貴方は何を言っているのですか。この戦争に関する全ての情報は世界機密に指定されているのですよ。何処へ提出しようとしているのですか。」
ん。
「学園上層部。といっても担任と理事会に校長と後は島主宛かな。内容は別々に改編するけど。いや大変で。」
「な、貴方は何を聞いていたのですか。だから世界」
「それはそれ、これは別口だからていうか此れを提出しないと進級できないし、もしできなかったら責任取ってくれますかね。この言い方は何か妙な文脈みたいな。」
小声で驚き。
「そうですか。ははは。そうですね。そうでした。いやそれが今回の主目的と云いますか。そうですね。余りに濃密過ぎたこの約一年でしたからねぇ忘れてましたよ。」
「何をです。」
「貴方が、まだ少年で学生と云う身分であるということをですよ。」
「先生。酷い。」
「心無い言葉を並べて相手を貶そうとしたとして元主。貴方に利はありませんね。」
「判っているなら正直な話をしましょう。何を目的に来られたのですか。
「先ほどから申し上げてますよ。速く寝てくださいと。」
「可能であるならそうしたいけど。無理だね。と再度返答するよ。」
「おふうぅ。」
その瞬間の表情、彼にしてみれば褒美ととっても過言ではなく、不意のために意識を持っていかれ掛けたが何とか堪えた。
「先生。普通に同性のそれも少年のだだ普通に笑った表情に何を悶えているんですか。気持ち悪「ひょほうはあぁ。」吐きそう。」
堂々巡りがこの後も一時間ほど続き強制退去をもって終わりとした。
その後も早朝近くになってやっと終わらせ就寝となった。
睡眠時間は無いに等しかったが。
早朝。
空は晴れ晴れとしていた。なら良かったのだろうか。しかし何処までも続く薄雲に僅かな日差しがその地だけを照らしていた。
何かを暗示するように。
なんてのはなくただの偶然で直ぐに雲に隠れて厚い雲が覆い被さって曇天な空へと変貌していった。
曇天の下に一人が全身を拘束され頭部には袋を被せられ四人で引きずられて会場となる建物へと入っていく所だった。




